私が今日に至るまで
初めまして。ブランシュ=ネージュと申します。
私はいわゆる『転生者』というヤツです。そこ、ドン引きしない。私が一番恥ずかしいんだから。
記憶が戻ったのは、三歳の頃。目の前でいきなり母が倒れてそのまま亡くなりました。
その時泣きながら必死に母を呼び、心臓マッサージと人工呼吸をしている途中に思い出して来たんです。
自分の前世の知識が頭の中に溢れ、目眩がしましたが必死でした。結局侍女や騎士達に母から引き離され、宮廷医に母を引き渡しましたが、母は還らぬ人となりました。
それから3年喪に服しましたが、その間私はこの世界を知ろうと猛勉強しました。
なんせ前世の世界によく似た別世界。うっかり前世の常識で対応するとトンデモナイ事になりかねない。
リンゴが大好物だったんだけど品種によっては毒だったりとか、狼男や吸血鬼はいるけど共存しているとか。最初知った時びっくりしたけどね。
頭カチコチの勘違いやらかして、取り返しのつかない失敗しそうだと思いました。(確信)
片っ端から羊皮紙読みまくり侍女から護衛騎士から大臣まで質問し勉学にハマる傍ら、紙と鉛筆とインクと活版印刷を今生に再現しました。だって欲しかったんだモン!
ところがあんまり私がのめり込むので、母を喪ったショックの為と勘違いした父が娘の為と言って隣国の女王(当時18歳。若い!)と再婚しました。何故そうなる……。
ウチらの国々の近所に大国がありまして、コレが喧嘩っ早いのキナ臭いの危ない国だったんですね〜。そこで同盟&合併と言う意味も含んだ(両国にとってはコッチが主流)結婚だったんです………。
いや、てっきり助平オヤジの趣味かと………当時一日三度の食事に会うか会わないかの父が何トチ狂ってんだぁと思ってました。(だって昔から女好きの浮気三昧で有名だったし。知らないって怖い……)
誤解が解けて自分の立ち位置が微妙にまずい事を理解した私は、結婚式当日に両親と臣下の前で高らかに宣言致しました。
「未来の宰相を目指します。国王陛下、女王陛下、次代の王を支えます」と。
大臣達と将軍達に両親の事をくれぐれも頼み込み、国の問題点を把握し解決すべく旅に出ました。(建て前はそうですが、本音は新婚さんのお邪魔虫になりたくなかったんです。)
一緒について来てくれた教育係の方々と国内各地を巡り、その都度改善点や特産物を報告書として提出しました。
私が提案した事業や農地改革の成果は両親からの手紙と共に送ってもらい、マズマズの成果を上げていたのは知っていましたが、なんだか叔父や義母達の手紙がなんだか元気がないように思ったので、4年ぶりに帰る事にしたんです。
久しぶりに帰省して大臣達と義母の乳母さんと女官長と父の侍従にお話を聞いたところ、とんでもない問題が発生してました。
気を利かせて新婚生活を送らせていたつもりが、まさかの不仲!
父は義母の元を訪れるも義母に懐妊の兆しはなく、最近は仕事もせず他の女にうつつを抜かし遊び歩いているそうです。
女王は政務を黙々とこなすものの気は塞がりがちで、最近は自室で鏡を見て過ごす日々だとか……。
ここは一旦旧静かな湖畔の森の国の王族の姫を側妃として迎えるか、という話も出ていたそうです。
しかし、執務能力と責任感は明らかに女王が上。
そもそも対等である、という条件で結婚したうえ、非があるのはどう見ても父です。
バカ父のアレを潰して病と称し退位させるかと相談する為義母の自室を訪れたところ、鏡につぶやく義母を見て、冒頭のセリフを思わず投げつけたのでした。




