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とったどぉ〜〜!

大変長くお休みして申し訳ありませんでした。

あっはっはっ、うっふっふっ ♡

あぁ、笑いが止まらない。嫌な事がいっぺんで吹っ飛んでいくわ!

旅の成果がてんこ盛り!みんなで苦労した事も、今ではいい思い出よっ。

冴えた白と金のかかった温かい白をはじめとしたピンクや黒やピーコックグリーンの真珠。

大蜘蛛の糸で作った布と糸。

金の蛾と銀の蛾の繭から紡いだ金の糸と銀の糸。

様々な種類のレースの数々。

魔物の骨を混ぜて作った真っ白な陶器。

炭焼き小屋で作り始めた木酢液。

国内に自生する植物から採った精油の数々。

パンとお菓子作りに欠かせない膨らし粉。

干鱈、干蛸、スルメに干しホタテ。おまけにドライフルーツまであるわ。

ウハウハよーーーっ!えへっえへへへへぇ〜〜〜〜。


「姫さまぁ、戻ってきてくださいよー。それじゃあまるでお金の好きな忍者のたまごの少年みたいですよー。」

リュートが遠慮がちに肩を叩いてブランシュを正気に戻す。それを横目で見ながら合流したカティアとコリーナが納品書一覧を見ながら感嘆の息を漏らした。

「それが何なのか分かりませんけど、こう見るとスゴイですよね。ここまで揃うと圧巻です。」

「一応年々順調に生産されつつありますが、まだまだ希少です。国内外に流通させるにはまだ時期焦燥かと。」

「これらを輸出して外貨を稼いで食糧を輸入するのが、食糧問題の手っ取り早い解決方法なんだけど……」

前世の知識にあった日本の農業はここでは通用しない。日本は温暖で水も豊富な国だったが、この地は寒すぎた。

亡き母も色々試していたようだ。

動物の糞尿を発酵させて肥料にしようとしたが気温が低いため発酵できず、疫病の元になりそうだったので森で捕まえたスライムで消滅させていた。

土地の栄養を回転させる為、ジャガイモはないので地元の芋と大豆やカブと小麦で畑を回転させ、一定の収穫を見込めるようにした。

さらに農村にカードゲームやリバーシなどの娯楽とコンドームを提供して性病の予防と出生率を下げて食糧の消費を抑えようとしていたが、未だ国民の全てに満足に食糧は行き渡っていない。


「騎士さまや鉱山などで働く重労働者は流石に一日三食だけど、未だに一般は一日2食だもんな。しかも肝心の農民はまだ二食だし、辛いなぁ〜。」

「生産者が手に届かないってどうなのよ……最近は逃散も少なくなってきたらしいけど、まだまだ生活は苦しいし。農地が少ないってのも問題なんだよねー。」

辛い現実に溜息を吐く主従。

旧幸ある山の国は文字通り山が多く、海岸線はリアス式海岸で平地が少ない。山、港町、海という環境なので畑は作る余裕がない。段々畑という手もあるが、水を組み上げる手間がかかる。かなり難色を示された。

旧静かな湖畔の森の国は多くの湖と森があり、平原は少ない。

旧静かな湖畔の森の国から旧幸ある山の国の海まで船が交差できるほど広い河が流れているが、その近辺のわずかな平地は街が並び畑は少なかった。

森を開拓するという手もあるが、森を居住区にしている種族があるため、争いの種になっていた。

「山芋やゴボウを見つけられたのは良かったけどねー。モンスターでも食べられるのを増やしたいけど、イマイチ世間の反応が……」

「地道に大豆粉やそば粉やドングリとかで小麦のカサ増しや代用するしかないでしょうね。あとは特産品の販売でお金稼いで冷害に強い品種改良を目指すしかないでしょう。」


お米……グスン。


コメはあったが温帯の植物であったため栽培できず輸入に頼るしかないのだが、この国まで来るまでに虫に喰われたり古くなったりするのが現状であった。

品種が改良されるまで10年は軽くかかるだろう。それ以前にみんなを説得するのが先だが。

「しかし姫さま。これらの品を使い女王さまのお召し物を作られるとお聞きしましたが、新年ではなく夏の社交に合わせるのですか?」

「本当は新年に合わせられたら良いんだけどねー。新年の宴まであと三ヶ月程度しかないから、まだ技術が試作段階のものでは無理があるわ。品も少ないから宣伝程度にしかならないし。

まずは新年の宴で軽く様子見。本命は夏の社交シーズンと夏祭りね。夏は交通の便が良いから他国の大使もたくさん来るし、それこそこぞってお義母様に宣伝してもらいましょう。

商会を立ち上げてパーツを専売という方法もあるけど、デザイナーを育てて既製品を見本として作ってこれらを様々組み合わせて作ったドレスを販売するという手も捨て難いわ。

幸い紙があるからカタログを作ってお土産に持たせる事もできるし。」

「『カタログ』ですか?」

「平たく言えば見本帳ですよ。繊細な絵も銅版画なら可能ですし、木版画で色をつけるという手もあります。」

コリーナの質問に姫と従者が丁寧に説明した。夢は広いな大きいな。

そこへ旅の仲間のドワーフの老人が飛び込んできた。

「姫さまっ!小僧っ!すごい事と、もんのすんごく面倒な事が起きたぞいっ」

「えぇっ!? 何それ、飴と鞭みたいなフレーズ。」

「ガントじいちゃん、とりあえず危ないからその板ガラス置いて。」

「ガント様、落ち着いてください。何があったのですか?

まずはお茶を入れますのでどうぞ一服……」

「それどころじゃないっ!まずはこのガラスっ!鏡に聞いた処方を施したら、石ぶつけても割れるどころか傷一つつかないモンが出来上がった!なんじゃこりゃあ!」

唾を飛ばして興奮しながら詰め寄るご老人に、思わず差し出された板ガラスを盾にするリュート。

従者の気配りに感謝してブランシュはニッコリ笑った。

「『強化ガラス』っていうのよ。今建設中の王都の城と城壁に配置するよう手配しましょう?

あとコレいっぱい作って鉄骨の骨組みで温室を温泉地や王城に作りましょう。

そしたら冬でも野菜作れるし、温かい地域の作物や植物も栽培できるわ ♫」

「やっぱり基本は省エネですよねー。温泉や鉄を加熱したりパン作ったりする窯の熱を再利用できたら最高ですもんねー。」

ねーと顔を見合わせニッコリ笑う幼い主従。

今現在旧幸ある山の国と旧静かな湖畔の森の国の元国境の湖のそばの森を切り開き、亡き王妃の企画した省エネ設計を組み入れた城と王都が建設中であった。

上下水道完備。スライムによる排水処理施設。前世の知識による冷暖房省エネ構造。夢は更に広がり、身も踊る。

「ガント殿、もんのすんごく面倒な事とはなんですか?」

コリーナが冷静に話を戻した。

「……あぁ、簡単にいうと納品されるはずの品が一部城以外に流れた、かもしれん。」

ピキッと部屋の空気が固まった。ギ・ギ・ギッと首を回し老人に向き合う主従。

「……『かもしれん』とは?」

「納品に訪れるはずの者が行方不明だ。現地から報告があった数と合わんし、一緒に消えたと見て良いだろう。なんらかの事情で遅くなっている可能性もあるが。」

「どの品が?確か事情を知る信用における人物が任されていたはずですが?」

「消えたのはセイレーンのお嬢さんとピンクの真珠40粒だ……どエライことになるぞ」

「ソレかぁ!よりにもよって!」

「そっちの方が一大事じゃないですかーっ!!」

やっぱり一筋縄ではいかなかったようである。




その頃某所ではーーー。


「うふふふ。やっぱり美しい物はそれにふさわしい者が持つのが当たり前よね?」

目を細めて山と盛られたピンクの真珠を手に取る美しい令嬢がいた。

申し訳ありません。一か月近く大変心折れそうな事がありまして、ゴタゴタして遅れました。

以後、不定期になるかと思います。

ごめんなさい。m(_ _)m

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