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【詩】戯言マニュアル         【シリーズ】

戯言ランナー

作者: FRIDAY

 

 彼方へと続く一本道

 変わり映えのしない景色

 延々と走り続けている


 前にも道 後ろにも道

 遥か向こうに誰かの背中

 こちらを追い来る足音はない


 沿道に連なる観衆に

 彼へと届く視線はない

 彼へと向かう声援はない


 自分の足音しか聞こえない

 のたりのたりと重い音

 泥に沈むような鈍い音


 呼気は熱く蒸気に変わり

 吸気は冷たく喉にひりつき

 胸が焼け付くように痛い


 遥か遠くの背中の群れは

 走っても走っても小さいままで

 どれだけ行っても追いつきゃしねえ


 埃だらけに泥まみれ

 噴き出す汗が全身で粘つき

 朦朧として視界が翳る

 

 脚はもう回らない

 振り続ける腕に力もない

 倦怠感が停止を誘う



 誰も彼を顧みない

 彼はとうとう道を外れた



 誰かの後には続かない

 誰の背中も追いはしない

 無人の荒れ地に影ひとつ


 遮るものもなく風が吹く

 前にも後ろにも誰もいない

 前にも後ろにも道はない

 

 足場は悪く向かい風

 しるべになるものも何もないが

 荒い息の中小さく嘯く



 目的地など必要ない

 誰かの道など辿らない

 誰かの歴史などなぞらない


 誰の背中も目指さない

 誰にも道を残さない



 それが最後に残った誇り


 

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 「誰の道もなぞらない」というところに気骨を感じますが、それは尊敬すべき師を探せ出せなかった時のいいわけでもあるわけですよ。
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