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異世界喚ばれた俺のチートがエロ本召喚  作者: うただん
第二章・俺のチートが自重しないんだけど。
27/37

13・「光よ、来たれ、と」

次話、投稿します。

 しまった。

ひょっとしたら「国民よ!立て」とか「立てよ!国民」とか言うチャンスだったんじゃないか?

あんな渋い声じゃないけど、一度は言ってみたい台詞の一つをみすみすチャンスを逃すなどと。

くっ、不覚っ!


と、ばかげたことを考えながら、白亜の塔に向かう。

随行するのは、アンジェロだ。

アンジェロは黙って俺に着いてきているが、聞きたいことは山とあるだろう。

ともかくもまずは第三代聖女のエルフちゃんだ。


「まずは、あのエルフちゃんを助け出す。質問はその後に聞こう」


それだけ言うと俺はさらに加速した。

今の俺はこの国の契約による楔より解き放たれている。

魔力が制限されていた状態でのばんぺき君の繊細な操作から得られたこの肉体強化Byばんぺん君の変態機動についてこれるならついてくるがいい!ふはは。

まあ、口を真一文字に結んで紅潮した顔で必死についてくるアンジェロ君を置いていけるわけがないのだが、ね!

ちなみに俺にはショタ属性は無いよ?本当だよ?


さておき。


騎士や兵士が逃げ惑う中、俺は白亜の塔に辿りつき、一気に螺旋階段を駆け上がった。


この階段の上に、この世界でこの身体になって、初の同族である第三代目の聖女であった(・・・)エルフちゃんがいる。

予想が正しければ、長年に渡り契約に縛られてきたが故に失ってしまった生きる意志も戻っているはず。


俺が仲間の命と引き換えに脅迫でもって結ばされた契約。

名を奪われ自意識すら縛られて、新たに名付られた聖女という存在になることで、この国の王座という存在に魔力を随時提供する。

それがどんな技術や魔法で出来ていたかはわからないが、俺は大方そんなところだろうと当たりをつけていた。

名を奪うということはケルビンやバークレイで行われていたことだ。

実際に自分が名を奪われる体験をして、それを確信したわけだが。

契約魔法とは、名前と対象物、行為を結びつける魔法なのだろう。

名を奪うという行為は、あくまで契約主が被契約者に対し、有利に立つ為。

或いは、それも契約魔法の形態の一つなのかもしれない。


実は殆ど悪ノリで言っていたのだが、俺の問いかけは何にも考えていなかった。

ケルビンたちを別の何か、別の存在にすることで、名を奪われた対象を変えた行為はそのまま、名を奪った対象にも有効だろう、その程度しか思っていなかったんだが。

しかし、あの王の言うとおり、俺の契約が王座に対して結ばれたものであるなら、それはそれで矛盾が生じている、はずだ。

王座に対して契約を結ぶというのは、何となく理由が分かる。

人とエルフとでは、寿命の点で圧倒的につりあわない。

今回の王のように次代がバカだったり、政争をしているような状況で王が暗殺されたり、次代が潰しあったりしては、最悪契約の再更新が出来ずに聖女と言う存在を手放すことに繋がる。

だったら、王座と契約してしまえさえすれば、王が空位になったとしても国の力は損なわれない。

まあ、俺だったらそう考える。


とまあ、契約魔法の秘を知っていたものは今や、魔物と化してしまったので答えは永久に分からないんだが……

幾つかの取り止めの無い考えから、意識を戻す。

目の前には、この1カ月お世話になってきたお部屋の扉。


さっくりとばんぺん君で吹き飛ばす。

その先の魔法を封じ込める鉄格子も少し抵抗があったが、ばんぺん君マキシマムシュートであえなく吹き飛ぶ。


さて、ご対面だっと。


「お姉様っ!」


「ごふっ」


完全に油断をしていたからか、みぞおちに良いのをもらってしまった。


「お姉様、お姉さまー」


ぐりぐりと頭を擦り付けてくる、聖女、エルフちゃん。

え、ここで妹キャラぶっこんでくるんすか、等と思考がぐるんぐるんするのを、何とか押し留める。

ついでにヘッドアタックを食らった胃もぐるぐる言っているんだがそれも我慢する。


「なんで、おねえさま?」


出てきた言葉は何のひねりも無い疑問だけだった。


「エルフ様っ!」


アンジェロは目をきらきらさせてるし、エルフちゃんもきらきらした目で俺を見てる。

ていうか、この娘、こんなに色が黒かったっけ?

白い透き通るような肌が、夏休み終わりました、くらいの褐色肌になっている。


「えと、まずは、あれだ。自己紹介しようか?」


「名前はお姉様がつけてくださいっ!」


上目遣いで見つめてくるエルフちゃん。

なんというか、無邪気、と言うより色っぽい。

あれ、これ発情してる??


「元の名前があるんじゃないの?」


恐る恐る聞いてみる。

返ってくるのは、何故かこの世の全てに絶望したような顔。


「いやいやいや。え?契約魔法は解けてるんでしょう??」


「はい!忌まわしき契約魔法は確かに解けました。

 ですが、私はお姉様から頂いためくるめく快感の全てに心も身体も作り変えられてしまったのです!」


もう、ハテナしか出ない。

ていうか、アンジェロ君のジト目が痛い。


「い、良いから、まずはここから逃げるよ!?」


「ああん、強引なお姉様素敵っ!抱いてっ」


「素敵、抱いて!じゃねーよ」

思わずノータイムで突っ込む。


「意識無いときはあんな可憐な娘だったのに。

 可憐な……よしっ、進まないから、こうしよう、君の名前はカレンだ!」


「はいっ、お姉様!」


ぱぁと花が咲いたような笑顔を見せるエルフちゃん、改め、カレンちゃん。

その瞬間見覚えのある魔法陣に魔力光が発光した。


「これで、私とお姉様の契約は成立しましたー!

 さー、イきましょー」


今、行くって言ってなかったよね?

と思う間もなく、襟首をすごい力で掴まれてなすがままに引き摺られる俺。


出口に向かうカレン、完全な肉食獣の顔である。

その目の前に、事の成行きが把握できず立ちつくしていたアンジェロ。

カレンとアンジェロの視線が初めて交差した。


「アンジェロ様。

 ありがとう……」


本の一瞬、それが恐らくは本人のものだったのだろう柔らかな笑顔を浮かべ、カレンがアンジェロの額にそっと口付けをする。


「はいっ!」


感極まって紅潮した顔で頷くアンジェロ。


「こほん。

 良い場面だけども。さっさと逃げるぞ。

 アンジェロ、カレンを連れてアーテやマールレーンと合流、民を纏めて逃げ出すぞ」


さっきのやり取りの間に掴まれていた襟首をばんぺん君で強引に剥がすと俺は咳払いをして、主導権を取り戻す。

さすがです、お姉様とか言っているカレンをアンジェロに押し付け、俺達は白亜の塔を後にしたのだった。


□■□■□■□■


謁見の間はすっかりと破壊しつくされ、王座は瓦礫の塊と化していた。


アンジェロとカレンが無事アーテ率いる避難民グループへ合流するべく足を向けたのを確認すると俺は謁見の間に向かった。

そして、たどり着いたのがこの露天となった城の中枢部である。


なんてことは無い。

この世界に魔王と魔物を作り出したカタはつけておかねばならないのだ。


と、その前に。


俺は異空間から二人を呼び出した。


異形の獣人となったケルベロとベルセルだ。

狼系の獣人ケルベロは元・ケルビン、黒豹の獣人ベルセルは元・バークレイ。

二人はゆっくりと目を開けると、きょろきょろと辺りを見回した。


「俺っちは……」

「主様!」


「ケルベロ、ベルセル」


いち早く俺に気付いたベルセルが忠犬のように俺にかしずく。

しまった、こいつは犬系にしておけばよかった。

そんなことを思うも時既に遅し。

俺は二人にマギーとミーニャの護衛を改めてお願いをした。


「俺が万が一追いつかなくても、マギーとミーニャを南大陸に届けてほしい。

 そうしたら、お前らは無事無罪放免だ。過去のことは水に流すよ。

 なんて、言ってもさ。

 ……すまん。お前らの身体は……」


そういうとやれやれといった感じでケルベロが首後ろに手を当てて首を回す。


「命あってのモノダネってね。

 俺っちをくそったれな契約から解放してくれたんだ。

 感謝こそすれ憎みはしないよ」


「ケイ様は一緒に行かれないのですか?」


ベルセルが心配そうに見つめてくる。

まあ、ケルベロと違い、まるっと頭が豹のそれなので、眼光厳しいのだが。


「いや、一緒に行くつもりだよ。

 なに、ちょっと後始末をさ」


そう言って俺は二人を促した。

崩れ落ちた壁の影から、背後から、忍び寄る気配を感じたからだ。

獣人種となり感覚も鋭敏になったのだろう。

二人はただ頷いて、踵を返す。


「あ、そういや、あの空間から出たばかりだからまだ見ていないだろうけど、人に会うときはローブかなにかで顔を隠せよ。

 マギーとミーニャには、ちゃんと伝えてあるから、二人については大丈夫だろうけどっ!」


俺の声を背中に受けて、軽く右手を挙げて了解の意を示すと、二人は軽快に走り去っていった。


走り去る二人の背中を見送って俺は再び元玉座の方へ見返る。


そこには異形の王、魔王。

そして側に立つゴブリンとオークの王。


物陰から湧き出てくるのはそれぞれの眷属だ。


ちなみに魔王はバラ○スっぽい何かから複眼の大きな肉塊になっていた。

所々触手が生えたり引っ込んだりするのはちょっと、というか、かなり生理的な嫌悪感を誘う。


彼らにはその欲望に相応しい姿になるように、俺の知識を加えながら肉体改造を加えた。

もちろんエロゲ、エロ本限定の知識なんだが、王の姿が固まりきらないのは、バカ王子二人の処遇を決めかねていた優柔不断具合が反映されているとでも言うのだろうか。

考えても答えの出ないことに頭を悩ませるのは主義じゃないので、とりあえず置いておく。


「さて、お望みの姿になれた気分はどうかな?」


「キサマ!」

「グ、グ、グガ」


王子二人からは一応声らしきものが出てきた。

王はまだ会話できないか。


「どうだ?

 全能感あるだろ?

 人でもない、エルフでもドワーフでもどの亜人でもない。

 魔物と魔王、言わば三つ目の種族ってことさ。眷属は人の恐怖に反応して闇と魔力から無限に沸く。

 王子二人には特別に生殖機能を残してあるから、血脈もばっちり」


そう言って周りを見渡す。

小さいゴブリンから、愚鈍そうなオークまで、闇から次々に生まれていく様を見て目を細める。

元々、彼らに与えた王魔の種は、調教する姫の恐怖心に反応して闇から魔力を吸収、眷属を生み出すアイテムだ。

お披露目式典を恐慌状態に落とし込んだイベント効果もあって、次々に眷属が生まれ出している。

ちなみに、こいつらの本当の主は、俺になるはずだ。

だから、魔物に囲まれているこの場で、実はこの俺に危険は無い。はず。

ちょっと、オークロードのミケッロさん?そんな怖い目で睨まないでくれます?


「ひっ、ひひひぃ」


そんな時だ。

物陰から生まれ出す異形に追い出され、謁見の間の横の扉から男が這い出てきた。

スーデン宰相だ。

そういえば、さっきのお披露目のあのイベントでもいち早く逃げていたな。

と、その手に握られた一本の宝飾剣が目に入る。

火事場泥棒?

それとも、玉座と同じくそれも何かいわくつきのアイテムなのかな?

そう思い、うきうきしながらスーデンに近づく俺。

目の前に並ぶ異形の化け物とこの場面に似つかわしくないとびっきりの笑顔で寄ってくる俺に、完全に腰を抜かしたスーデンが鞘から抜きもせずに剣をやみくもに振り回す。


「なにをしているかっ!」


突如、声が響いた。

ゴブリンやオークがギャッギャ言ってる雑音に一本、凛と通る声だった。


「アンジェロ王子っ!」


スーデンが血相を変える。

いや、元から今の魔物に囲まれた状況に顔を青くしていたから、あんまり変わりないのだけれど。


「お、おお王家の証となる宝剣はここに!

 この忠臣スーデンめが大事に守りっ」


ほうほうの体で腰を抜かしながらも謁見の間にたどり着いたばかりのアンジェロに摺り寄って行こうとしたスーデンが言葉を最後まで言い切ることなく消えた。

消えたと言うとミステリーだが、なんてことはない。

今だ進化途中の魔王が繭、というか肉塊から生えた触手の一つが彼を掴み取り、飲み込んでしまったのだ。

残されたのは彼の手から離され地に落ちた宝剣。


「ケイ様っ!」


アンジェロが恐怖を押し込んでなんとか俺の元にやってくる。

彼自身状況は掴めていないだろうから、この禍々しい魔物の中を突っ切ってくる彼の勇気をほめてあげたい。

事実、謁見の間の入り口付近でマールレーンとカレンが顔を顰めこちらに向かって一歩も踏み出せていないのだ。


そういえば、彼に俺の名前を教えただろうかと思う。

ひょっとしたら、この場に姿の見えないアーテたちから聞いたのかもしれない。

予断は迂闊ではあるが、皆は無事に逃げられたのだろう。


であるならば、今、このタイミングで俺は何をするべきか。


目を象った文様の浮かぶ両手(・・)を宝剣に添え、鞘を持ちアンジェロに持ち手を向ける。


初めてではあるが、ここに俺は概念を召喚することにした。


「アンジェロ王子。

 この剣を抜き、こう叫ぶのです」


アンジェロが神妙な顔で頷く。


「光よ、来たれ、と」


「光よ、来たれ!」


迷わずに、精一杯の声を振り絞りアンジェロが叫ぶ。

途端。

謁見の間は光に包まれた。


俺が召喚した概念。

それは、魔王と勇者の物語だ。


この光自身は実は何の効果も無い。

概念を召喚したことによるエフェクトのようなものだ。


俺がこの国を去れば、本来であれば主を失った魔物と魔王は無軌道に勢力を拡大していく。

実際、王魔の種を使用するイベントでとあるフラグを立てるとその自身が作り出した魔物に殺されるバッドエンドがあった。

だから、彼らに命令を与えなくてはいけない、そう思っていた矢先のアンジェロ登場だ。


「Binding Braves」(緑茶通信作・2009年)で語られる勇者と魔王の伝説。

主人公は女魔王を下し、女勇者を捕獲し、美姫を陥れる。

それは魔王と勇者が連綿と繰り返す神のシステムへの反逆であった……

そんなエロゲで語られる「勇者」と「魔王」の概念をここに呼び出したのだ。

この召喚により、魔物たちは魔王を主に抱きこの城で力を蓄え、勇者に討伐される運命と定められる。

もちろん、手を出す外敵にはその人外の力を持って対抗するだろう。


彼の父親と兄二人を奪い、今、彼を勇者というある種のシステムの礎に置く。

人柱だ。

アンジェロは聡い子ではあるが邪気の無い。

この子にそれを背負わせることに罪悪感を覚えながらも。


彼が成長し、魔王を倒した時には全てを明かし、彼の判断にこの身を委ねようと決意して。


俺は光がおさまりゆく中心に震えながら立つ小さな勇者をそっと抱きしめた。

そうして、彼の手を取り、未だ茫然とするマールレーンとカレンに発破をかける。

国を失った彼らを、正式に主を抱いた魔物たちが覚醒する前に、安全なところに保護する為に。

俺たちは、後ろを振り返りもせずにただ、ひたすらに走り出したのだった。

これにて第二章、終了となります。

閑話を挟んで、次は第三章です。

閑話は土日にアップできればと考えていますが、第三章は

一週置くかもしれません。

誤字脱字誤用ご指摘、ご感想お待ちしております!

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