表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第2弾 忘れ物の話をしていたら、なぜか記憶の書き換えの話になった件 ~記憶の所有権とロールバック領域を巡る僕らの放課後~  作者: とまCo
第3話 巻き戻された昨日(ロールバック)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/37

第3話 巻き戻された昨日(ロールバック)~巻き戻された昨日の違和感~ [1/3]

 放課後の教室。昨日と同じ時間、同じ光景のはずなのに、B君の表情だけが妙に落ち着かない。

 机に肘をつきながら、彼は何度も自分のスマホを見返していた。


A君『……B、どうした? さっきからずっとスマホ見てるけど』


B君「いや……なんか変なんだよ。俺の記憶がさ」


O君《記憶? A君みたいに“抜けた”の?》


B君「いや、抜けたっていうより……“戻った”感じ」


A君『戻った……?』


 B君はスマホの画面をA君たちに見せた。

 そこには昨日のメッセージ履歴が表示されている。


B君「これ、昨日の俺が送ったメッセージなんだけどさ……」


O君うん


B君「俺、これ送った記憶が“二種類”あるんだよ」


A君『二種類……?』


 B君は深呼吸して続けた。


B君「一つは、普通に送った記憶。

  でももう一つは……“送ってない記憶”なんだよ」


O君《……それ、矛盾してるよね》


B君「そう。でさ、今日の昼くらいに急に“送ってない方の記憶”が強くなって……

  気づいたら、昨日の記憶が“巻き戻ってた”んだよ」


A君『巻き戻るって……どういうこと?』


B君「昨日の俺が言ったことが、微妙に違うんだよ。

  例えば――」


 B君は机を指でトントンと叩いた。


B君「昨日、Aに“宿題やった?”って聞かれた時、

  俺は“まだ”って答えた記憶があるんだよ」


A君『うん、言ってたな』


B君「でもさ……“やったって答えた記憶”もあるんだよ」


O君《二つの記憶があるってこと?》


B君「そう。で、今日になって“やったって答えた記憶”の方が強くなって……

  気づいたら、昨日の俺の言動が“そっちに書き換わってた”」


A君『……それ、俺の“欠落”と似てるな』


O君《いや、A君とは違う。

  A君は“無くなる”けど、B君は“戻ってる”》


 O君は黒板の前に歩き、AB君の隣に立った。


O君《A君のは“欠落”。

  B君のは“ロールバック”。》


 AB君は白いチョークを手に取り、黒板に大きく書いた。


 ――「巻き戻し(ロールバック)」。


AB君【B君の現象は、記憶の“巻き戻し”だね】


B君「巻き戻しって……俺の記憶、ビデオかよ」


AB君【記憶は“状態”として保存されている。

   その状態が、何らかの理由で“前のバージョン”に戻った】


A君『前のバージョン……』


O君《つまり、B君の記憶は“更新前の状態”に戻されたってことだね》


B君「でもさ、なんで俺だけ……?」


 その問いに、AB君は黒板に黄緑のチョークで小さく数字を書いた。


 ――「02」。


A君『……また“02”か』


O君《AB君、それって……》


AB君【“02”は、記憶の状態を管理する“何か”の番号だよ】


B君「何かって……誰だよ」


AB君【誰、とは限らない】


A君『じゃあ……“仕組み”ってこと?』


AB君【うん。記憶を“戻す存在”がいる】


 教室の空気が一瞬だけ冷えた。


O君《unknown-node-02……》


A君『……記憶を戻す存在』


B君「おいおい、マジかよ。

  俺の記憶、勝手に巻き戻されてんの?」


AB君【痕跡を見る限り、そうだね】


A君『俺の記憶は“削られてる”のに……

  Bのは“戻されてる”ってことか』


O君《編集の方向が違うんだね》


 O君は黒板に近づき、AB君の書いた文字を見つめた。


O君《A君は“欠落”。

  B君は“ロールバック”。

  どっちも“編集”だけど、性質が違う》


B君「じゃあさ……俺の昨日の記憶、どっちが本物なんだよ」


AB君【どちらも本物で、どちらも偽物だよ】


B君「は?」


AB君【記憶は“状態”だからね。

   どの状態が採用されるかは、整合性次第】


A君『整合性……またそれか』


O君《世界が矛盾を嫌うってやつだね》


B君「じゃあ、俺の記憶が巻き戻されたのも……整合性のため?」


AB君【可能性は高い】


A君『でも……なんでBなんだ?』


O君《A君の欠落と、B君の巻き戻し……

  二つが同時に起きてるってことは――》


 O君は黒板の「02」を指さした。


O君《“02”が動いてる》


A君『……unknown-node-02』


B君「そいつが……俺らの記憶をいじってるってことかよ」


AB君【“いじっている”というより……

   “調整している”と言った方が近いかな】


A君『調整……』


 A君は自分の胸の奥に、昨日とは違う種類のざわつきを感じていた。


B君「なあ……俺ら、どうなるんだ?」


O君《まだ分からないけど……

  確実に“何かが始まってる”》


 教室の蛍光灯が、わずかに揺れた。


 ――記憶の巻き戻しは、静かに広がり始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ