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第2弾 忘れ物の話をしていたら、なぜか記憶の書き換えの話になった件 ~記憶の所有権とロールバック領域を巡る僕らの放課後~  作者: とまCo
第12話 記憶を取り戻す(そして違和感)

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第12話 記憶を取り戻す(そして違和感)~再計算の影~ [4/4]

 教室の空気は、

 “今日”のはずなのに、

 どこか薄い膜を一枚挟んだように感じられた。


 昨日を取り戻したはずなのに、

 世界が“昨日のまま”ではない。


 黒板の文字。

 B君の笑い方。

 O君の筆跡。

 AB君の赤字。


 どれも“少しだけ違う”。


A君(……昨日を取り戻したのに……

  なんで……こんなに違うんだ……?)


 胸の奥に、

 冷たい疑問がゆっくりと沈んでいく。


B君「A、ほんとに大丈夫か?

  なんか……ぼーっとしてるぞ」


A君「……うん。

  ちょっと……考えごと」


 B君は首をかしげた。

 その仕草はいつも通りなのに、

 “間”が違う。


 昨日のB君は、

 もっと反応が早かった。


A君(……昨日のBと……

  今日のB……

  同じ……?)


O君《A君……

  無理はしないで》


 声は優しい。

 でも――

 昨日のO君は、

 もっと“観測者”のような声だった。


 今のO君は、

 “人間らしい”。


A君(……昨日のOと……

  今日のO……

  どっちが本物……?)


 AB君がノートを差し出す。


AB君【A君、これ……

   昨日の続き】


 そのノートの赤字が――

 “四重”に見えた。


 昨日のAB君は“二重”だった。

 でも今は――

 四層に重なっている。


A君(……昨日のAB……

  二重だったよな……

  でも今は……四重……?)


 胸の奥がざわつく。


 昨日を取り戻したことで、

 世界が“昨日に戻った”のではなく――


 **世界が“昨日と今日の境界を再計算した”のでは?**


 その考えが浮かんだ瞬間だった。


 黒板の文字が、

 ほんの一瞬だけ“二重”に揺れた。


 揺れたのはA君の視界ではない。

 黒板そのものが、

 “別の昨日”と“別の今日”を重ねているような揺れ方だった。


A君「……っ……!」


 黒板の揺れの奥で、

 淡い光がにじむ。


 文字の隙間から、

 世界の裏側が透けるように――


〈!-- 整合性:再計算中。 -->


 ログは音もなく浮かび、

 そして黒板の揺れとともに

 “世界の方へ吸い込まれるように”消えた。


 まるで、

 世界が自分の内部処理を

 A君に見せてしまったことを

 慌てて隠したかのように。


B君「A?

  今……黒板……揺れたよな?」


A君「……見えたのか?」


B君「いや……

  なんか……気のせいかも……」


 B君は首を振った。

 でもA君には分かる。


 **見えたのはA君だけ。**


 世界の“再計算”は、

 A君の視界にだけ漏れている。


O君《A君……

  顔色が……》


A君「……O。

  昨日の……お前……

  こんな声じゃなかった」


O君《え……?》


 O君は困惑した表情を浮かべた。

 その表情は“今日のO君”のもの。


 昨日のO君は、

 もっと無機質で、

 もっと“観測者”に近かった。


AB君【A君……

   本当に……大丈夫?】


 AB君の声が、

 四重に響く。


A君(……昨日のAB……

  二重だった……

  でも今は……四重……

  世界が……

  “昨日と今日を重ねている”……?)


 胸の奥が冷たくなる。


 昨日を取り戻したことで、

 世界は“昨日を戻した”のではなく――


 **昨日と今日を“再計算して上書きした”。**


 その可能性が、

 A君の中で確信に変わっていく。


A君(……俺の昨日……

  本当に……

  この世界の俺の記憶……?)


 その疑問が胸に沈んだ瞬間――

 黒板の文字が、

 完全に静止した。


 揺れも、

 重なりも、

 光もない。


 ただの黒板。


 ただの今日。


 ただの世界。


 ――のはずなのに。


A君(……違う……

  これは……

  “昨日と今日の折衷案”だ……)


 世界が、

 A君の取り戻した昨日と、

 今日の整合性を合わせるために――


 **“新しい今日”を作った。**


 その瞬間、

 A君の視界の奥で

 最後のログが一瞬だけ光った。


〈!-- 整合性:再計算完了。 -->


 ログはすぐに消えた。

 もう二度と現れないように。


A君(……世界が……

  昨日と今日を……

  “上書きした”……)


 その答えは、

 まだ誰にも言えない。


 ただひとつだけ確かなのは――


 **昨日は戻った。

  でも、世界は昨日のままではない。**


 A君は静かに息を吸った。


A君(……俺の昨日は……

  本当に……

  俺のものだったのか……?)


 その疑問だけが、

 静かに、しかし確実に

 A君の中で広がっていった・・・

これにて第2弾は完結です。


放課後の与太話は、気づけば

“記憶の所有権”と“世界の整合性”に触れてしまいました。


昨日を取り戻したはずなのに、

今日が昨日と同じとは限らない――

そんな当たり前のことを、

A君たちはようやく知ったのかもしれません。


※この物語はフィクションです。

※整合性の再計算は、読者の皆様には影響しません(たぶん)。

※unknown-node-02 の退場理由については、作者も説明できません。

 観測者はいつも静かに消えるものです。


次の放課後で、また会えるといいですね。

世界が同じ形を保っていれば、ですが。


第2弾のキーワード:

「記憶の所有権」「整合性」「再計算」「観測者」

「unknown-node-02」「二重化」「四重化」「昨日の残響」

「rollback-core」「アクセス権」「世界優先」「意志の揺らぎ」

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