第11話 記憶の所有権(世界か、自分か)~所有権の揺らぎ~ [1/4]
黒い穴が閉じ、
ロールバック層の空間に静寂が戻った。
しかしその静寂は、
“嵐の前の静けさ”に近かった。
〈!-- rollback-core:保留 --〉
〈!-- 所有権:未確定 --〉
空中に浮かぶログは、
まるで“判断を待つ心臓”のように脈動している。
B君「……なぁ……
これ……どうすんだよ……?」
B君の声は震えていた。
恐怖ではなく、焦りと苛立ちが混ざった震え。
A君「……俺は……
昨日を……取り戻したい」
A君の声は静かだった。
しかし、その静けさは“決意”の色を帯びていた。
O君《A君……
君の気持ちは分かる》
O君はゆっくりとA君の方へ向き直った。
O君《でも……
“戻すことで世界が歪む可能性がある”》
B君「歪むって……
そんなの……!」
O君《軽い歪みなら……
僕たちの認識だけで済む》
AB君【でも……
大きな歪みなら……
“世界そのもの”が変わる】
B君は息を呑んだ。
B君「……世界が……変わる……?」
O君《うん。
A君の“昨日”は……
世界の整合性に深く関わってる》
A君「……俺の記憶が……
世界に影響してる……?」
AB君【A君の“昨日”は……
世界が“巻き戻し”を選ぶほどの出来事だった】
A君は拳を握りしめた。
A君「……でも……
俺の記憶は……
俺のものだろ……?」
その瞬間、
空間に鋭いログが走った。
〈!-- 整合性:警告。 -->
〈!-- 整合性:警告。 -->
B君「まただ……!
なんでAが言うたびに警告出るんだよ……!」
O君《“記憶は本人のもの”という考えが……
世界の整合性と衝突してる》
AB君【世界は……
“記憶は世界の一部”だと考えてる】
A君「……そんなの……
おかしいだろ……!」
A君の声が空間に響いた瞬間、
unknown-node-02 の影が揺れた。
影はゆっくりとA君の方へ向き直り、
空間にログを走らせる。
〈!-- access-level:再評価 --〉
〈!-- request-source:A --〉
B君「……あいつ……
Aの言葉に反応してる……?」
O君《A君の“意志”が……
unknown-node-02 の判断を揺らしてる》
AB君【でも……
揺らすだけじゃ……
“核心”は開かない】
A君「……じゃあ……
どうすれば……?」
その問いに、
空間が静かに応えた。
〈!-- decision-required --〉
〈!-- 所有権:未確定 --〉
O君《……A君だけじゃない》
AB君【4人全員で……
“選択”しないといけない】
B君「選択って……
“戻すか”
“守るか”ってこと……?」
O君
空間がわずかに揺れた。
〈!-- 整合性:警告(軽度) --〉
A君「……俺は……
戻したい」
B君「俺も……戻したいよ。
Aの記憶が消えるなんて……嫌だ」
O君《でも……
戻すことで世界が歪む可能性がある》
AB君【だから……
“4人で決めるべき”】
4人は静かに向き合った。
ロールバック層の空間は、
まるで“彼らの決断を待つ舞台”のように静まり返っていた。
A君「……俺の記憶は……
俺のものだ」
その言葉が、
議論の幕を開けた。




