【Mの書き込み一】
うちは広告代理店。
チャキチャキのベンチャー企業である。
俺はタウン誌の営業マンとして採用されたが、雑用から何から、みんなが色んな業務を兼任していかなければならないらしい。
「営業は、人間学だ」と社長は言った。
人間力がものをいうらしい。
おもしろいと思った。
そんなもの、今の俺にはきっと皆無だ。
でも人は成長する生き物だ。
いつかその人間力とやらを身に付けて、人間学とやらを極めてみたい。
俺に言葉は難しい。
言葉がうまく出てこない。
まず、電話に出た時の「お世話になっております」というセリフがうまく言えない。
んなぜなら、世話になった覚えがない。
会社としてお世話になっている事は重々承知しているのだが、頭では分かっていても、自分に実感がないからだ。
当事者意識の問題だろうか。
それとも共感性?
どちらも重要な問題に思える。
明日から営業の飛び込みだ。
来た来た営業。絶対リアルだ。
ボロボロの靴しかないが、大丈夫だろうか。
「契約が取れれば何でもありだ。プーマの靴でもいいぞ。ガンガン飛び込んで、体で覚えてこい!」
とは社長の言葉。
さすがは社長、太っ腹。
必要なのは場数だ。
その全ての経験が、成長の為の糧となる。
場数を踏んで、前進あるのみ。
そんで今からだ。
ここからだ。
いつだって、そうだ。
人間不信とは、自分を信じられなくなるところから始まるのだ。
自分を信じ切れる人間は他人に左右されたりはしない。
他人はどうあれ、信じられるものがそこにあるからだ。
それは信念という言葉に置き換えられるかも知れない。
それのない人間には、自分がないのかも知れない。
自分がないから揺らぐ。左右される。
自分にとって、悪い方へ、ネガティブな方へと流される。影響される。
そんな気がする。
もう一度、自分を信じよう。
自分を信じるところから始めてみよう。
自分の中にある、その可能性を。
孤独の果てにあるものは
限りない自由だと信じて進め。




