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ミッドナイト・ロマンス

 珈琲ポットにお湯を注ぐと、コクのある珈琲の香りが漂い始める。ぽた、ぽた、と焙煎した珈琲が一滴ずつカップへ落ちてゆく。


 豆球が仄かに部屋を照らしている。

 窓からは月光が静かに差し込む。


 小さな骨董品をコレクションした棚にはラジオを置いている。そのラジオをいじって、丁度音楽を垂れ流している局に合わせた。


 ノイズが混じって聴き取りにくい。

 『I─Iove,so ──went you─』

 それをBGMに、豆球の元、小説を広げて読み耽る。


 そろそろだろうか、と珈琲ポットを覗いてみると、いい感じに出来ていた。

 まだ温かい珈琲をマグカップに注いで、啜る。ホッとして溜息が零れる。


 本に視線を戻し、再び読み耽る。

 ラジオの音楽コーナーは終わり、パーソナリティが雑談をしている。

 『That's right──when─goin─fo─』



 私は珈琲について全く詳しくない。

 骨董品を集めるほどお金に余裕は無いし、ラジオも通勤時の車内でしか聞かない。


 『皆さんから頂いたお便りを紹介致します』


 このコーナーを聞いていると、時たまかなり面白いものがある。とはいえ、わざわざラジオを聞くためだけの時間を作ろうとは思わない。仕事の色々でそんな余裕は無いからだ。読書も然り。


 『ラジオネーム○○さんからのリクエストです』

 その言葉に続き、最近流行りの音楽が流れ始める。

 『I─Iove,so ──went you─』


 しんみりとしたオシャレな曲だが、歌詞の内容は一切分からない。聞き取れないところも多々ある。英語は学生時代の苦手教科だった。


 それでも、私のロマンは夜の海外にある。

 今夜も和室で独り、敷布団に寝っ転がって、妄想してみる。


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