プロローグ
はじめまして
ゆっくり更新になります
普段はソシャゲのシナリオライターをやっております
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地響きと共に、崩れゆく聖堂を轟轟と燃え盛る炎が飲み込んでいく。
そんな聖堂の中で、厚い刀身の剣を構えた青年が、
法衣に身を包んだ教主であろう男と対峙している。
法衣の陰に隠れ、その表情はよく見えない。
青年の傍らには、およそ10名以上の人間が横たわっているが、
それらの皮膚は焼けただれ、息がないことは火を見るよりも明らかだ。
剣を正中に構え、一歩たりとも動かない青年自身の衣服の一部は焼け焦げ、表情には疲弊の色が浮かんでいる。
対する教主もまた、片腕は肩から下がなく、空を包む法衣が炎が巻き上げる風にはためいていた。
「お前ここで殺す。これ以上被害者を出したくない」
青年はそう、自分に言い聞かせるようにつぶやき、
剣を握る拳に力を込める。
「しばしの別れだ。惜しかったな」
教主の言葉を引き金にして、青年が教主に肉薄する。
振り上げた剣が、法衣ごと首元に滑り込む寸前、
教主の足元に描かれた陣が稲光のごとく、まばゆい光を発した。
「さよならだ。惜しかったな」
真っ白な視界の中、
青年の耳にははっきりとその言葉が届いた。
振り下ろしたであろう剣は空を切り裂く。
光りは聖堂を、街を、国を飲み込み、
その瞬間、世界から1人の男がいなくなった。