死にたい
「死にたくなぃ……。」
真っ暗な病室のベッドに座る私は
つい、口から出た言葉に少し戸惑っている
でもそれは偽りの無い言葉だった。
私は、私が私でいれる場所を知ってしまった……
そのせいで今を…これから先も失いたくなくて。
生にしがみついている
「私とは…?」
スマホでググってみる。
論理的な言葉の羅列…
わかってはいたけど、余計に悲しくなった。
このスマホは、全くもって私に関心がない。
改めて知り、尚更に傷を抉られた気分だ。
心ってなんでこんなに強いんだろう。
なんで壊れないんだろう。
なんで?
こんなに苦しいのに…
生きたくなんてないのにっ。
夜眠って、朝目覚めなきゃいいのにって…
朝なんて2度とこなくっていいのにって…
ずっと辛いのに……
天気がいくら良くても
その暖かささえ感じられなくて
もう、明日なんて来なくていいのに
心に溜め込んでいた想いが、声になってでていた。
「もう嫌っ!!!…ねぇ…なんで?
なんでなの……生きてる意味が…
何にもない。なんで私にはなにもないの……。
ただ……ただ………。辛いだけじゃん……っ。」
静寂とも言える静かな部屋で、誰に向かって
言うわけでもなく抑えきれない感情がそのまま
震えた唇から溢れ出てきた。
そう言った後、机に置いてある鏡と私の
ぐちゃぐちゃになった顔が対面する。
醜い自分を見て、なおさら惨めになるのと同時に
少しだけ冷静さを取り戻す。
「ハハハ……。」
自分を映してる鏡に呆れて見せた。
何も感じれなくなればいいのに
ロボットでいぃや
ぁぁ……でも、いないなら居ないでいいのか……。
結局、必要とされても無い
生きてる意味?聞かれても……
何も………………答えられない。
その答えが何より辛いのに
その答えが何も出ない。
助けて欲しいほんとは……。
でも……
誰も信じれない…
信じられる人さえいない
両親にも言えない
家では両親に冷たく当たってるからだ。
そうしたくないのに
普通でいることを保ってられなくて……
呑気な笑い声を聞くだけで
別世界の他人だと思ってしまう
それにきっとまた、迷惑かけてしまう
なんて話したらいいかも分からない
ほんとに…最低だな私は。
育ててくれたのに
他人だとか言ってる。
それに、死にたいばかりの自分は
ろくでもない奴だよね。
大事に思われてるのはわかってるのに……。
何もできなくてごめんね……。
でも、大事に思ってるのはホントだからね……
でも、何も言えないから家では
いつもキツく当たってしまう
ごめん…ね。
グルグルと同じようなことを考えていたら
涙は枯れ果てたのか、でなくなっていた。
変わりに……疲れたのか瞼が重い。
泣き疲れた目でスマホの画面に
目をやると朝6時だった。
「はぁ………。もう死んぢゃいたいな
何もかも…どうでもぃぃ。」
ここ3ヶ月くらい毎日毎日、考えてる。
自殺の仕方を勉強してみたり
Twitterなんかで自殺と検索してみたり。
首吊りのロープの締め方
お風呂での感電死
煉炭や青酸カリ
飛び降り自殺
実際、飛び降り自殺を考えて
家のベランダに行ったこともある。
地面と数十分ほど向き合っただけになったが……
死んでやると思ってるのに、いざその時と向き合うと
死にたくない理由といい訳を探している私がいた。
生きたいじゃなく、死ぬ勇気がなくて。
だけど今はそんな失敗は忘れていた。
今日でもう終わりにしよう。
そう決意した。
狂った頭で机上のカッターを手に取り
洗面台に向かう。
リストカットは、手首の血管を切って
傷口を水に付けておくと出血多量で死ぬと
どこかで見たからだ。
本気で死んでやるって思って、力を込めて
カッターで手首を切ってみる。
肌に刃が食い込むところを見るとゾッとした。
ゆっくりと、その刃を引いていく。
プクッと血が浮き出てきた。
痛いけど、これで死ねるなら…
でも、、、怖くて力が抜けていく。
死にたいって思ってるくせに
結局……結局何もできやしない。
どうしようもない思いが
また涙に変わる。
血の付いたカッターが手から滑り落ち
カタンと音を立てた。
さっき切ったところが少し痛い………
血が少し垂れ流れてる…
でも、それだけだ………。
これで死ぬわけも無い。
ただ、私にはこれ以上できない。
悩んで悩んで、死にたいからやってみたものの
できない自分がまた、嫌いになった。
死にたいけど…死ぬ時くらい楽に死なせて欲しい…
今も辛いのに、死ぬのもとんでもなく、辛い
それに、とんでもなく怖い。
静かな部屋で私は机に伏せて、身体中の力が抜けるのを
感じていた。私には何にもないなと…
もう、このまま目が覚めることがなければいいのに
そんなことを思いながら…目を閉じる。