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4 住宅街

よろしくお願いいたします

次にやってきたのは静かな住宅街でした。


その中の垣根があるお家のお庭へ入りました。


「ここのおじいさんは一人で住んでいるんだ。雨の日は中に入れてくれて、優しく撫でてくれるんだ」


ブチ助は自慢げに言いました。

にゃあと鳴くと縁側の雨戸が開いておじいさんが出てきました。


「おやまぁ、ブチ。お友達かい?」


しばらくするとブチ助達にお水を出してくれました。

ブチ助が喜んで飲みはじめると茶々ばあさんもおずおずと飲みました。


「寒くなってきたねぇ」


おじいさんが言います。


「ブチ、もっと寒くなったらうちに来るんだよ」


おじいさんはブチ助の背中を撫でました。


「ごめんねぇ。本当は飼ってあげたいんだけど、もう私は老い先短いからねぇ。いつお前を置いて死んでしまうか分からないからねぇ」


ごめんねと続けて言います。それはおじいさんの口癖でした。

生き物を無責任に飼ってはいけない。ブチ助より先に死んでしまうかもしれないおじいさんは、そう言ってブチ助をお家で飼いたくても飼えませんでした。


「こいつは、いつもこうなのかい?」


茶々ばあさんが言いました。


「おじいさんはいつも、ごめんねぇって言うよ」


ブチ助が答えると茶々ばあさんはため息をつきました。


「人間ってのはめんどくさいねぇ」


また飼い主一家を頭に思い浮かべます。


「人間は死ぬことさえめんどくさい生き物だ。おととしだったか、カエデちゃんのおばあちゃんが死んでしまってね。ママさんやパパさんがあっちへこっちへと走っていってバタバタしていたのさ」


茶々ばあさんのしっぽがゆらゆら揺れました。


「お役所に死んだって言わなきゃいけないし、お葬式なんていう集会もしなきゃいけない。死んだら燃やしてから土に埋めるんだとさ。お墓っていうのも、仏壇っていうのも用意しなきゃいけない。死んだらおしまいじゃないんだよ」


めんどくさいねぇ。

そう言ってお水を飲みました。


「カエデちゃんも、ずっとずっと泣いていたさ。生きていれば、死ぬなんて当たり前なのに。泣き虫で、めんどくさいもんだった」


ブチ助は黙っておじいさんに撫でられていました。


「人間は年を取ると死ぬことばかり考える。生きてるだけでもめんどくさいのに、死ぬのはさらにめんどうで。人間って、やっかいな生き物だね」


くしゅん。

おじいさんがクシャミをしました。


「ブチ助、お友達さん。私はもうお家に入るからね。ゆっくりしていくんだよ」


おじいさんがお家に帰っていきました。


「めんどくさいってなぁに?」


ブチ助が尋ねました。

茶々ばあさんはニヤリと笑います。


「めんどくさいっていうのは、めんどくさいってことさ」


ブチ助は首をかしげました。


「とにかく、ここもダメだね。年寄りなんてめんどくさい」


二匹はまた坂道を登っていきました。





ありがとうございました

4話連続更新して完結します

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