2 小学校
よろしくお願いいたします
坂道を歩いて、小学校の前までやってきました。
運動場では体育の授業を行っていて子供達が競走していました。
校舎からは楽しそうな歌声が聞こえてきます。
「ここの小学校の隅っこは温かくて眠りやすいよ」
ブチ助が自慢げに言いました。
お母さん猫とここで一緒に眠ったことがあります。とても気持ちよく眠れたのを思い出しました。
よく子供達がやってきてブチ助を撫でてくれたのです。子供達の手は柔らかくて温かかくて大好きでした。
楽しそうな子供達の声はもっと大好きでした。
「ここは嫌だね」
茶々ばあさんが言いました。
「子供なんてうるさくてめんどくさい」
茶々ばあさんは飼い主一家の姿を思い浮かべました。
「あたしの飼い主のカエデちゃんはね、そりゃあ泣き虫な女の子だったのさ。ママさんのお腹から出てきたかと思えばギャーギャー泣いて、大きくなっても友達とケンカしたやら、ころんだとかでギャーギャー泣いて。もう、うるさくってねぇ」
しっぽがゆらゆら揺れました。
「オマケにあの子は不器用でね。あたしを撫でるのがそんなにうまくなかったのさ。手が冷たい子で、あたしを触るたびに『あたたかい』なんて言うのさ」
ブチ助はにゃあと鳴きました。
茶々ばあさんの顔は優しくて、ブチ助はなんだか羨ましくなりました。
ブチ助にとってのお母さんのように、茶々ばあさんにとってカエデちゃんは家族なんだと思いました。
「とにかく、子供がうるさいところは嫌だね」
「じゃあ違うところにしよう」
そしてまた二匹はしっぽを揺らしながら坂道を歩いて行きました。
ありがとうございました!