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姫様と下僕  作者: 東雲 西雲
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昼飯と噂

「・・・い。おーい。舜くーん?いつまで寝てんの?4時限目終わったけど飯食べねえの?」


 自分の名前を呼ばれた気がする。俺を呼んでいるのはいつも昼食を一緒に食べる友人の沖巧己だ。・・・そうか、俺は4時限目寝てたのか。どうにも現国の時間が起きられない。あれは、授業なんかじゃない。そう、子守歌だ、きっと。などと寝ぼけた状態で阿呆みたいなことを考えていたら、返事が来ないものだからもう一度巧己が声をかける。


「舜、何?昨日夜更かしでもしてた?今日は、っていつも寝てるわおまえ。」


巧己は呆れたような調子で話しかけていたが、もともとの用件を思い出したのか、話題を変えてきた。


「そうだ、放課後どっかで遊ばん?俺今日バスケ部休みだからさ。」


やっと目も覚めてきたので、昼休み、初めて声を出した。


「すまん。今日も部活。土日とかなら大丈夫だけどね。」


「今日もか、おまえの部そこそこブラック?何部だっけ?・・・文芸部だったっけ?そんな忙しいの?」


「忙しい・・・訳ではないけど、特に何かしなくても出席はしないと部長に怒られるんだわ。だからすまん。」


「別にいいよ。バスケ部に入ってくれたらさ。」


「ん?まあそれなら・・・って、さらっと重い条件たたきつけてんじゃねーよ!運動は好きだが、部活で動くのはいいや。」


こいつ・・・。まだ、寝ぼけてるかもしれないと、言質を取ろうとしてきやがった・・・。恐ろしい。油断も隙も無いな。まあ言質とられても入る気ないけど。

俺は巧己から幾度となく部活の勧誘を受けている。自慢では・・・いや、自慢だ、俺は見た目は眼鏡をかけていて俗に言うインテリっぽい感じだが、運動は結構得意で全国狙えると言われたことがある。勉強は中の下、見た目のくせに勉強はできない。見た目と運動神経のギャップのせいか見た目はガリ勉、中身はゴリラだと言われたことがある。正直あれは、傷つくぞ、泣くぞ俺。


「冗談だよ。舜は頑固だし、観測的希望程度に言っただけだよ。」


本当かよ。目が冗談言ってる目じゃないんだけど。などと訝しむような目で見ていたら、そこで巧己が弾むような声で言ってきた。


「部活っていったら、あの人も何部かいまいち分からないよね。」


「あの人?」


「藤原栞さんだよ。」


いきなり出た名前に内心凄く驚いたがここで変な反応を見せると疑われかねないので自分がこれから発そうとする言葉を口の中で一回吟味しながら言葉を続ける。


「ああ。なんだ。部活分からないのか?その人。」


「・・・。」


巧己が黙ってこちらを疑うような目で見てきた。あれ?何か変なことを言ってしまったか?いや、そんなたいしたことは言ってないはずだけど、と頭の中で先ほど言ったことを焦りながらも確認する。


「藤原さんの名前は知ってるんだ。いっつも舜って関わりない人の名前は覚える気ないよね。なんならクラスにも数人名前と顔が一致した無い人いるでしょ。」


こわ。何こいつ、探偵?おまえそんな頭の回転速かったっけ?高校生探偵なの?薬飲まされて小っちゃくなるの?などと考えながら取り繕う言葉を口にする。


「いや、藤原・・・さん?は有名じゃん。流石の俺でも名前ぐらい覚えるぞ。ちょこちょこ周りからも藤原さんの名前出てくるし。」


「まあ、それもそうか。もしかして知り合い、または、気があるのかと思ったよ。」


危なかった。俺がボロを出して問い詰められるところだった。別にばれてもそんなに支障ないだろと思うかもしれないが、藤原栞、あいつは凄く人気なのだ。そこかしこからあいつの名前が聞こえてくる。昨日も三年の先輩から告白されたらしい、こっぴどく振ったらしいが。そんなやつと関係があることがバレてみろ。絶対面倒くさいことになるぞ。勘違いで悪口とか噂されたらたまったもんじゃない。そういう理由から俺はなんとかあいつと関係があることを黙っている。あいつに学校生活を壊されないように。

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