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王国の裏側

7月が…

「すまないね。…さてと…。どこから話をしようかな…。気付いたと思うけど、フィニアスは、私の甥なんだ。私の妹…アニエスの…亡くなった元正妃。その…子供がフィニアスだ。私とアニエスには、幼馴染みがいてね。私と同い年なのだけど、二人は、一緒になる約束をしていたんだ。そいつの家も侯爵家で、結婚することに、なんの問題もなかった。…でも…ある日…王城から、レム・フォード家にアニエスを正妃として…嫁いで貰いたいという…話がきた。その頃レム・フォード商会は、アーレル大陸でかなり有名になっていたし、5本の指には、入るであろう存在だった。私の父は、野心家でね…。当時、破竹の勢いでアーレル大陸に存在を大きくしていたゼウレス国と縁をもちたくて…アニエスを嫁がせたんだ」


侯爵の語る言葉に、自身がどうしてそんな話を聞かなければいけないのだろうか。と、思うサフィーナであるが、悲しげに揺れる侯爵の瞳と、フィニアスの母の切ない話に、サフィーナは、口を挟む事が出来ずにいた。


「私は…最初こそ反対したが、レム・フォード商会を大陸随一の商会にするんだと…侯爵家が王家に逆らうなど…と、父に激昂されてね。アニエスも…父には、さからえず…嫁いでいった。王家にはいったアニエスは、政略結婚だけど、王国のため、民のため、頑張っていたよ。自身のせいで、王国がたちゆかなくなる事を、あの子は望むはずもない…。あの子は、王国に望まれたのだから、王に愛してもらえるのだろうと、思っていたし、愛されようとしていたし…、政略だけれど、王を愛するようになった」


そんな、成り行きがあったことなど、国民には、伝わっていない。


「アニエスが嫁いで、二年目の春…。アニエスがフィニアスを身籠った。もちろん、王族は一同になって、男児をとアニエスに迫っていたし、アニエスは、ひどい強迫観念をもたされた。子供は、神の恵に近いものがあると、私は考えているのだけどね。やはり、王家を絶してはいけないという思いが、アニエスには、強かったと思う。でもね…。アニエスが子供を身籠って、すぐ…王は、アニエスを疎外したんだ。『孕んだのであれば、もういいであろう』と、言ったそうだよ」


「ひどいっ!なんでそんなっ!」


侯爵の話に思わずサフィーナは言ってしまう。そして、王に対して、腹立たしくなる。夜会の始めに元王妃の弔いを行っていたのに、それはパフォーマンスなのではないかと疑念がおきた。


「王にはね…アニエスの他に想い人がいたんだ…。王国が欲していたのは、レム・フォード商会の財力だったんだ。だから、そう言ったんだろう。でも、流石に子がなったというだけなら、男児とは限らない。前王は、王に男児が生まれたら、側妃を籠姫扱いしろと、命令したらしい。レム・フォード家の財力を失いたくなかったんだろう。…でも…王は、ほとんどアニエスの所に来なくなった。アニエスは、自身が男児を産めば、王に自身を認めて貰えるかもしれないと…言っていた。…10ヶ月後…フィニアスは生まれた。だが…王は、跡継ぎと認めただけだった」


サフィーナにとって、侯爵の話は、耳をふさぎたくなるような、話だった。王国から望まれたのに、愛されることのなかったフィニアスの母。フィニアスが生まれてもなお、疎外されていたこと…。フィニアスとフィニアスの母を思うと、サフィーナは、いたたまれなかった。


「後は…国民が知ってのとおり、フィニアスが2才の時、王太子が生まれた。アニエスは、もうその頃には、精神が病んでいた。正妃であるが、王には、遠い存在。…あの時の事がなければと、今でも常に思う事があるよ。…いや、父に何を言われようと、レム・フォード商会がどうなろうとも、アニエスを王国に嫁がせるべきでは、なかったと…。後悔ばかりしている。…そんな中で、フィニアスは、アニエスを支えようと必死で、自分を鍛えたし、国にとって、必要な人物に成長した。フィニアスが騎士団に入隊したのも、母を守りたかったのだ。ここだけの話…。アニエスは、離宮にフィニアスと一緒にいるとき、何度となく襲撃にあっていたんだ。見張りの騎士がいたからこそ、事なきを得ていた。…そんな中、側妃…いや、今は王妃だね。あの女がフィニアスを戦地にやって戦果をあげれば、離宮からフィニアスとアニエスの二人をだしてほしいと、王に進言したらしいよ。当然、戦争にでればフィニアスの身は、ただじゃすまないと、誰もが思った。…でも、フィニアスは、アニエスを…愛する母をあの離宮に閉じ込めておきたくなかったんだろう…。戦争に赴き、戦果をあげて帰ってきた。…だけど、アニエスはフィニアスが帰ってくる前の夜、自殺に見せかけて、殺された。これは、父も知らない話だ」


あまりにも酷い国の仕打ちをサフィーナは、苛立たしくなっていたが、今、一番の衝撃がサフィーナの頭の中を駆けめぐっていた。


もう、これ以上聞いてしまったら、後には戻れない。だが、サフィーナは、真実を聞きたいと…そう、思い始めていた。


あの、氷のような眼差しにまってしまったフィニアスの真実を…。





東京オリンピックまで後、2年!知っている人が出れる可能性があるから、頑張ってほしいっ!

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