王城の一室
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じめじめしてますねー。
「無っ…!」
サフィーナが、無理です!と叫ぼうとしたとき、サフィーナの口を大きな手が塞いでいた。
「伯父上、ミリーから、話を聞いたと思いますが…。よろしいですか?」
いつのまにかフィニアスが、どこからか颯爽と現れサフィーナの口を塞いだのだ。
「フィニアス!…ああ、私は反対しないよ。父にもちゃんと伝えておく」
「ありがとうございます。伯父上。よろしくお願いします」
といって、サフィーナの口から手を話すとサフィーナの両親に顔をむけた。
あっけにとられ、何も出来ないサフィーナと両親を尻目に話は続く。
「サフィーナ嬢のご両親とお見受けします。始めまして。フィニアス・アーロン・ネル・ド・ゼウレスです。また後程、詳しいお話をさせていただきたいので、後でご連絡申し上げます。私は、そろそろ、あちらに戻らなくてはなりませんので…。申し訳ありません。失礼します」
サフィーナは、颯爽と王族席に向かうフィニアスの背中をみていることしかできなかった。
「こっ、困ります!私はっ!」
フィニアスでは、話にならないと思い、サフィーナは、フィニアスの伯父であるアーロンへと言葉をかける。通常であれば、身分の低い男爵の娘が侯爵に向かって声をかけることなど、不敬にあたる。だが、サフィーナは、今、黙ってしまったら、フィニアスの婚約者になってしまう…。そんな事、望んでもいないのにだ。
だが、サフィーナに声をかけられた侯爵は、サフィーナを咎めず、優しい眼差しで、サフィーナをみていた。
「すまない。サフィーナ嬢。王城内の私の一室へ、来ていただきたい。もちろん、ご両親も一緒に…」
侯爵に、こんな風に言われて、断れる男爵がいるのならば、つれてきてほしいと思うルーベン一家である。
フィニアスの伯父、伯母である侯爵家とその家に仕えるフィニアスの侍女の後を、ついていきながら、フィニアスとサフィーナの婚約が、すでに決定事項になりつつある事に、狼狽えるしかなかった。
ダンスホールから出て中庭を横目に、少し奥まった部屋の前に来ると、侯爵が徐に、胸ポケットから、チェーン付きの鍵の束を出して、その重厚な扉の鍵をあけた。
ガチャリと、重い音がして、侯爵が扉をあけ、扉を押さえるようにして、侯爵婦人を中に通した。
「どうぞ」
侯爵がルーベン一家に、優しく声をかける。通常であれば、このようなことは、従僕の仕事だ。ルーベン一家は、自分達がその仕事をしたほうがいいのか、いやしかし、王城の侯爵の部屋の一部を、触っても良いものかと、悩みながら、おそるおそる、ルーベン一家が、部屋の中に足を踏み入れると、最後に入ってきた侍女によって灯りが灯された。
その部屋は、レム・フォード商会の扱う高級な品物ばかりで、ルーベン一家が、何十年かかって稼いだお金を使ったとしても、買えないであろう調度品の数々がおかれていた。
ルーベン男爵夫妻は、その高級な調度品の数々に、圧倒され、部屋の中に入ったのはいいものの、さらに狼狽える結果になっている。
「うわあああー!薬草園っ!」
そんな中で、場違いな声を出し、大きな窓に一目散によっていったのは、言わずもがな…サフィーナである。高級な調度品には、目もくれず、窓から見える薬草園に速足でいくという残念さ。先ほどまで、フィニアスの婚約者になるかもしれないと、いう焦りだけだったのに、薬草園にむかってしまうという残念さ。
「サ、サフィーナ!」
男爵に声をかけられたサフィーナは、はっと我に帰った。
「も、申し訳ありません!」
ぺこりとお辞儀をして、顔を赤らめて、すごすごと、両親のもとに戻った。
「いいよ。気にしなくて…。ああ、ミリーありがとう」
侍女が高級な調度品であるテーブルにお茶をセットするが、テーブルには、2つカップがおかれているだけだった。
「サフィーナ嬢。かけてください。申し訳ありませんが、ご両親は、あちらの部屋にお願いできますか?ご心配かとおもわれますが、この部屋には、ミリーも一緒におりますゆえ…。ご両親には、妻がお相手致します。申し訳ありません…。こちらの都合で、今は、お嬢様にしか、お話することが出来ないのです。もちろん、サフィーナ嬢が、私の話を聞いて、ご両親に告げるか否か、サフィーナ嬢が、判断していただいて、かまいません」
侯爵の言葉に、嫌な予感しかうかばないサフィーナと、戸惑いを隠せない男爵夫妻。サフィーナは、まだ15才だ。いくらデビュタントを、終えていたとしても、両親にとったらまだまだ子供で、どのみち、サフィーナから、侯爵の話を聞くことになるのであれば、一緒に聞きたいと思っていた。だが、そんな事を侯爵に対して言えるはずもなく、男爵夫妻は、侯爵婦人の案内で隣の部屋へと移動した。
「さあ。どうぞ」
優しく促され、サフィーナは、その時点で、やっとそこにある高級な調度品に、気がついた。そして、おそるおそる腰をおちつけたのだった。
この前ディズニー35周年行って来ました。夢の国で、想像する力いただきました。




