籠絡の規格外
5月だって。
一月に一度更新できればと思いながら頑張っております…。
待ってていただいている皆様に大感謝。
人は、あまりにも衝撃が強いと頭が真っ白になり、言葉もでないと言われている。が、サフィーナは、そんな事あるはずないと思っていたし、異世界の記憶の中に衝撃の強いものがあったが、言葉がでないという事は、なかった。
今、サフィーナは、あまりの衝撃に言葉を失っていた。
「まあ!まあ!まあ!まあっ!フィニアス様、本当ですか?サフィーナ様と?ああっ!なんて事でしょう!旦那様もお慶びになります!早速、私、今から旦那様に伝えてまいりますっ!」
「頼む」
「失礼します。サフィーナ様」
ぺこりと侍女がお辞儀をして、小走りにかけていく背中を唖然とするしかないサフィーナである。
「ふっ。政略でもいいのだろう?」
フィニアスの放ったその言葉に、一瞬で我にかえるサフィーナ。
「な、なにをっ!?何をいってっ!」
「ミリーは、俺とお前が婚約する旨を、伯父上に伝えにいったぞ。政略でも、いいのだろう?」
「冗談は、やめてくださいっ!」
サフィーナの顔は真っ青だ。狼狽えるばかりで、何をどうしたらいいのか、思考回路が定まらない。
「止めたいのであれば、早くミリーを追いかけたほうがいいのではないのか?」
フィニアスは、冷ややかな笑顔のままで、サフィーナを嘲笑う。
「そ、そうだっ!」
狼狽えながらも、サフィーナは、侍女が去っていった中庭に向けて足を運ぶ。
だが、サフィーナが狼狽えている間に、侍女のミリーは中庭を通り抜けてしまったようだった。
サフィーナは、焦るが故に、速く走る事が出来ない。ドレスということもある。ホールに戻り、駆け込んできたサフィーナを、数人の男女がとらえる。あからさまに、軽蔑の眼差しだったが、そんな事にかまっている余裕がない。サフィーナは、そもそも、貴族と言えど、人前で毅然粛然としていれば、良いと思っている。
サフィーナは、きらびやかなドレスの間を縫うように視線を飛ばすと、両親の姿をとらえることができた。
両親のもとにいくと、背の高い紳士とそれよりも少し低いドレスコードをした女性と、先ほどのフィニアスの侍女がいた。
「サフィーナ!」
サフィーナの父であるルーベン男爵が青い顔色で、サフィーナを呼ぶ。隣にいて、男爵の腕にしがみつくようにたっている男爵婦人の顔色も悪い。
「御父様、御母様!」
サフィーナが両親のもとにいくと、両親の目の前にいた背の高い紳士が、サフィーナに微笑んだ。
「君がサフィーナさん?始めまして。私は、アーロン・マックス・ネル・ド・レム・フォード。ミリーから、うれしい話を聞いたよ。フィニアスの事、よろしく頼むね」
そういって、フィニアスの伯父、アーロンが笑う。笑った顔はそっくりだけど、フィニアスの伯父であるアーロンの笑顔には、含んだものが感じられなかった。
「私からも、お願いするわ。始めまして。サフィーナさん。アーロンの妻、ローラよ」
優しく微笑んだローラの手にサフィーナの手がとらえられた。そっと握手をされたサフィーナの顔色も、すでに最悪だった。
「サ、サフィーナ」
両親共々、自身も狼狽え、どうすれば、いいか、サフィーナは、鈍くなっている頭で必死に考えた。
「は、じめまして。侯爵様、侯爵婦人様。ルーベン男爵家のサフィーナです。あ、の…侍女殿が、報告された件ですが…フィ…フィニアス様と私では、身分が違いすぎますし、大変ありがたいお話ではあります。ですが、フィニアス様に私がつりあうはずございません。大変、恐縮ですが、わ、私は、フィニアス様にお断りしました」
サフィーナが、おそるおそる言葉をはっすると、男爵も男爵婦人も、少しだけ顔色が戻ってきた。
そうなのだ。男爵家は、侯爵家と縁をつなぐなど、考えられないのだ。片田舎でのんびり領土を守っていけるだけの潤いが、あれば充分なのだ。それが、いくら取引をしているとはいえ、アーレル大陸随一の大商会と縁者になり、しかも、王族の一員であるフィニアスと婚約などと、苦労する未来しか見えてこない男爵夫婦は、サフィーナの放った言葉に、少しだけ安堵したのだ。
「えっ…。そうなのかい?」
侯爵が驚いた顔で、サフィーナに問う。サフィーナは、それだけでは、なかったが、それが一番の断れる理由になると分かっていてそう言ったのだ。男爵と侯爵では、本当に身分が違いすぎるのだ。本音は、フィニアスに興味はないし、あの冷徹な笑顔がサフィーナは、怖かった。だが、それを侯爵に伝えるのは流石に不敬だと思い、侯爵の言葉に頷く。「はい」と小さく囁かれたサフィーナの言葉にサフィーナの両親も、ほっとした表情にかわった。
だが、次に侯爵が放った言葉に、サフィーナ達は、また顔色を悪くした。
「サフィーナさんが断っても…それを望んだのか…。すまない。サフィーナさん…。やはり、フィニアスの事、よろしく頼むよ」
1年って早いんだと。つくづく…。この話を最初に投稿したのが昨年の12月だから、半年もたってた…。




