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仮初の婚約者

9月も終わりがみえてる!あかんわ!


訪問していただき、ありがとうございます。



「…言い方をかえようか。私の言いたい事は、わかってくれるかい?」


「はい。…多分」


「そうか…。サフィーナ嬢には、申し訳ないけど…フィニアスの婚約者になっていただく」


なってほしい。ではなく、なっていただく。断言であった。しかしながら、ここまで聞いてしまった話と、あの凍てつくような人になってしまったフィニアスにサフィーナは、どうにかしたい。と思ってしまっていた。


サフィーナのお人好し気質は、前世から変わっていない。サフィーナは、自身がお人好しだ。などとは、思っていないが、以前のドレスを作ったさいにも、お人好しは、発揮されている。そう、サフィーナが今、着ているドレスの事だ。洋装店に支払った金額は、9割だ。残りの1割は、サフィーナが働いた分。店主は、サフィーナが新しいドレスをデザインし、お針子達にも、教えてくれた分を差し引いて、生地代だけでいい。と、サフィーナ達に申し出たが、サフィーナは、それはダメだと、言ってその割合になったのだった。


「…ひとつ…よろしいですか?」


「ああ?なんだい?」


「仮初の婚約者…という事で、お願いしたいのです。…フィニアス樣が、今後…本当に愛する人に出会った時、即座に婚約破棄を、お願いしたく、存じ上げます」


「え。だけど、それでは、もしそんな事になってしまったら、君が…」


侯爵家…いや、王家から婚約破棄された男爵令嬢では、なにか問題があるのかと、思われ、破棄になってしまったら、今後の婚期がなくなってしまう事は、誰から見てもあきらかだった。


「…わかっております。ですから、そうなった場合でも、男爵領の後楯をレム・フォード商会にしていただきたいのです。永劫…」


サフィーナにとって、大事なものは、家族であり、男爵領であった。弟が継ぐ男爵領。サフィーナが婚約破棄を、されれば、一時は、評判が悪くなるだろう。でも、レム・フォード商会の後楯が永劫あれば、評判も回復し、男爵領がたちゆかなくなることは、ないだろうと、そう思ったのだ。


もちろん、フィニアスの凍てついてしまった心をどうにかしたいと思っているのも、本心ではあるが、フィニアスがまともになったとして、それでもサフィーナを望むとは、サフィーナには、思えなかった。


だからこその、条件提示であった。サフィーナは、婚約破棄された後、それでもサフィーナをいいと、思ってくれる人がいたら、その時は、その人と結婚すればいいとさえ、思ったのだ。


「いや、しかし…」


侯爵は、存外にいい人であると、サフィーナは、感じた。多少、強引ではあるが、サフィーナの事を心配しているのが、わかった。


「未来永劫です。割にあうかと、存じ上げます。もちろん、今、聞いたお話は、誓って男爵家以外に、話がもれるような事は、致しません。もし、もれるような事が、あったのならば、レム・フォード商会の力で、男爵家をおとり潰しにしてもかまいません」


サフィーナは、両親が今の話を聞いたら、我が身の事を心配するのは、目に見えていた。だが、男爵領の民を棄る事など、出来はしないだろうし、万が一領土を棄てたとしても、アーレル大陸のどこにいこうとも、アーレル大陸随一のレム・フォード商会からは、逃げられないだろう。できうる限り、サフィーナは、今の話を両親にするつもりは、なかったが、しない。とは、断言できないし、あの両親であれば、今の話を誰かに話す。などという事は、ない。とは、断言できる。何のしろ、自身の秘密を、未だ男爵家以外の者に知られていないからだ。


「君は…。いや、…。わかった。約束しよう。もし、フィニアスがこの先、君以外と結婚したいと、告げる事があれば、すぐさま婚約破棄させる。それに、男爵領の後ろ楯をレム・フォード商会が、未来永劫行う事も。だが…今の話が、漏れたとしても、男爵領を潰しはしないよ。…一部の貴族の間では、真しやかに噂として、アニエスの死は、本当に病だったのか?と囁かれているぐらいだ。王家や、我が家の手前、噂は、あくまで噂なのだけれどね。…今、君だけに話をしたいと、君の両親に言ったのは、君の両親にこの婚約を反対されると、思ったんだ。…私は、狡いね。君、一人であれば、今の話を聞いて断る事は、ないと、画策していたのだから」


確かに、両親が聞いたら反対するだろう。もしかしたら、男爵領がたちゆかなくなるのをわかっても、サフィーナを泥沼にいれるようなこんな婚約は、了承しないだろう。


「いえ…。侯爵様のお気持ちは、私が思っている以上のものだと感じます。私がフィニアス様の…仮初めとはいえ、婚約者になることで、少しでも…慰めになりうるのであれば…。……あ、の…。それともうひとつお願いが…」


「なんだい?」


「薬草園の苗を…少しいただけませんか?」


侯爵にとってもフィニアスにとっても、大事な苗であることは、わかっていたが、サフィーナは、どうしても欲求に逆らう事が、出来なかった。婚約は、いずれ破棄されてしまうだろうから、なおさらだった。侯爵は、一瞬驚いたが、何だ、そんな事かというように笑って告げた。


「君が、フィニアスの婚約者なのならば、王城のこの部屋に入る事は、なんの問題もないし、その薬草園の管理をしても、なんの問題もないはずだよ」


と…ウィンクつきで持っていた鍵をサフィーナに渡した。

渡されたサフィーナは、ただただ、驚くばかりだった。




9月って30日までだった…。7連勤務が辛すぎたから、危うく更新できないとこだった!


待っててくれている皆様、大感謝です。

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