3.親切は人のためならず
日間ランキング5位!驚きで三度見しました。
読者の皆様にブクマ、評価していただいたおかげです!
ありがとうございます!
ふぁ〜
朝だ!朝が来た〜!
なんか、頭痛いんですけど…
この感じ、間違いない!二日酔いだな…
取り敢えず水飲みに行こう。
リビングに行くと、そこには見知らぬ男が寝ていた。
一瞬変質者か!?とか思ったけど、違うよね〜このもさっとしてるのは私が昨日連れ帰ってきたお方ですよね〜
一旦キッチンに行って水をグビッと飲むと頭がスッキリしてきた。
冷静になってみると昨日の自分の行動力には驚いたね。普通、知らない男の人を家に連れて帰ったりするか?いや、しない。でも具合悪そうだったからね…
あそこで見捨てることなんて出来ませんものね…
と思っていると寝ていた男がどうやら起きたらしい。
キョロキョロしてる。そりゃそうだよね、目が覚めたら見知らぬ部屋に居るとかもはやホラーだもんね。
「おはようございます」
声をかけてると、驚いたようで肩がビクってなった。正常な行動である。
「あの、私怪しいものではございません!
野垣 舞と申します!
実は昨日高熱で動けなくなって居る貴方を見つけてですね、家が近いとおっしゃっていたのでタクシーでお送りしようと思ったのですが住所聞く前に眠ってしまっていたので私の家にお連れしたのですよ。
決して誘拐とかでは無いので!」
自分で怪しく無いとか言ってるけど、余計に怪しく見えてたりしないよね!?大丈夫だよね!?
「!!
それは大変ご迷惑をおかけしましたっ!
俺は新藤 悠真って言います!
もしかして、野垣さんとぶつかったりしましたか?
その辺までは覚えてるのですが、それから先はさっぱりで…
本当にご迷惑おかけしてしまいすみません!」
ほう。悠真くんっていうのか〜
昨日は暗かったし、私も酔ってたからだけど、こうやって見ると大学生くらいかな?独り暮らしとかだと体調崩した時とか大変だもんね。
あ、なんか悠真くんが子犬みたいに思えてきた。ほら、あのもさっとした髪の毛がまんま犬だよ。
「いえいえ〜大丈夫ですよ。
あの、体調はどうかな?」
「あっ!冷えピタまで張っていただいて本当にありがとうございます。
はい。おかげ様ですっかり良くなりました!」
「それは良かった!
よろしければシャワー使ってね〜
服は弟のやつで申し訳ないんだけどこれで良かったら使ってね!あ、下着は新品ですのでご安心ください。
多分サイズも悠真くんに合うくらいだと思うので!もし合わなかったら他にも何個かあるので、遠慮なく言ってね!」
悠真くんはありがとうございますといってシャワーに行ってしまった。
いや〜たまにうちに泊まりにくる弟が服置いていてくれて助かったわ〜
それにしても、若い人って回復早いな…若さって素晴らしいな!!
私は朝食を作りにキッチンへ向かった。
こう見えて自炊はやる派だ。だってさ、外で買うご飯って毎日だとやっぱり飽きてくるしね〜
まぁ、毎日作るのは大変なので休日にまとめて作って保存してるのですがね〜
悠真くん、体調良くなったとは言ってたけどあんまり体に負担がいかないものの方が良いよね…
うーむ。よし!必殺!お茶漬けにしますか!
さっき自炊がどうのこうのと言いましたが、ここはご飯にささっとお茶漬けの素をふりかけ、お湯を注いじゃいましょう!
あ、鮭フレークもあったからこれもかけちゃおっと。これを入れるとさらに美味しくなるんだよね〜
たまに食べたくなるのでお茶漬けは常備してます。
朝食の準備ができたところで悠真くんが上がってきた。
「シャワーありがとうございました。気持ちよかったです!」
「それは良かったです。
朝ごはん、お茶漬けにしたんだけど良かったら食べてね!」
「本当に何から何まですみません。お言葉に甘えていただきます。お茶漬けってサラサラ食べられて美味しいですよね!」
お風呂上がりの悠真くんは髪を乾かしたようですが、相変わらずもさっとヘアーでやっぱりわんちゃんみたいです。でも前髪もうちょい切った方が良いと思うの。長いから顔があんまり見えないのよね。
それに癖っ毛なのかね?私はストレートだから憧れます。
菫の髪がウェーブしててお姫様みたいで良いなぁって小さい時思ってた記憶がある。
確か幼稚園生の時、それを篤に言ったら「舞はくるくるしてても姫って感じ全然しないと思うけどな」と言われた。幼稚園児のころからムカつくやつだったんだな。
思い出したらイラっとしたけど、美味しそうにお茶漬けを食べてる悠真くんを見てるとなんかどうでも良いや〜って気分になっちゃうから不思議だよね。
悠真くんを見てほのぼのしていると
「あの!昨日からたくさんお世話になってしまって本当にすみませんでした。
昨日の昼から熱が出ていたんですけど、どうしてもコンビニに行かなきゃいけなくて、俺一人暮らしだし、夜友人に頼むのもなと思って…行くのはなんとか行けたんですけど帰りに力尽きてしまったみたいなんです…
舞さんのおかげで体調も良くなりました!
本当にありがとうございます!
ぜひお礼させてください!」
お礼がちゃんと言えるなんて今時しっかりしてるね。きっと良い社会人になるよ!でも、お礼はなぁ〜私も酔ってて成り行きで連れてきちゃったわけだし…
「いえいえ!ほんと、そんな大したことしてないからお礼と大丈夫だよ!」
「いえ、そういうわけにはいきません!」
「いや、本当に大丈夫だか…
ブーブーブー
…。
チッ、誰だよ休日の朝っぱらから電話してくるなんて!まぁ、朝って言っても、もう10時過ぎてるけどね!でもね、こっちは会話中なんだよ!タイミングってものを考えて欲しいよね!
「ごめん、電話みたい。ちょっとでるね。」
悠真くんにことわってから通話ボタンを押した。
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「はい。もしもし野垣です。」
「あ、もしもし、おはよう。明だよ。」
明からの電話だったのか…ちゃんと誰からの電話か確認するんだった!知ってたら出なかったのに…
「おはようございます。一体どのようなご用件でしょうか?」
あー。絶対ろくなことじゃないよー。
「どのようなって、今日のことだよ。その反応、もしかして忘れてるんじゃないよね?」
え、なんか今日あったっけ?あれ?なんか大事なこと忘れてる気がする…
「ほら、今日の13時に僕の家に舞の彼氏連れてきてくれるって約束したでしょ?
その確認の連絡だよ。」
っあぁぁぁあ!!!それだ!!!すっかり忘れてたーー!!!!
そうだったよ…私、3人に約束しちゃったじゃんか…彼氏なんていないのに…
しかもこれ、今更いないとか絶対に言えないやつだよ。
「………。あー。そうだったそうだった!
ちゃんと覚えてたよ!
うんうん、13時ね。わかったよ。」
「そう、じゃ、そういうことで。」
ツーツーツー
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通話終了。
まっずい。そうだったよ。すーっかり忘れてたよ。なーにが「人生最大のピンチ」だよ!まるっと忘れてたよ…自分の頭が恨めしい…
どうしたものか…
私が項垂れていると
「あの、電話大丈夫でしたか?元気無くなっちゃったみたいですけど?」
悠真くんが優しく声をかけてくれた。
ん?待てよ、悠真くん。ここは土下座してでも悠真くんに彼氏のふりを頼んで見た方が良いかもしれんぞ…
寧ろ今の私に残された道はそれしかないのでは!?
「悠真くん。あのさ、嫌だったら断ってくれて全然良いんだけどさ、実は私今ものすごいピンチだったことを思い出してですね…
良かったらお願い聴いていただけないでしょうか…」
「? なんですか?俺にできることならなんでもやりますよ?」
お?
「ほんと!悠真くん、今日1日空いてます?」
「はい。今日は何にも予定ありません。」
おおお??
「実は彼氏のふりをしていただきたいのです。幼馴染達に彼氏いるって嘘ついちゃってですね。本当にいるなら見せてみろってなってしまって、困っていたんです。
幼馴染達、性格悪いから嘘だとバレたらそれはそれは恐ろしいことになるのが目に見えているのです。
頼れるのは悠真くんだけなのです…
どうか、よろしくお願い致します!!この通りです!!!」
ここで私は土下座をぶちかました。もう、悠真くんだけが頼みなのだ。縋れるものなら藁にでも何にでも縋りたいのだ。
うんうん。初対面の人にこんなこと頼むなんてありえないことは重々承知しております!!
ですが!!そんなこと言ってられる状況じゃ無いんです!!!切実に、切実に!!!
すると、
「舞さん、頭を上げてください。
俺で良かったらやりますよ!
むしろそれくらい安いもんですよ!」
快く引き受けてくれた。なんだ?神なのか!?天使なのか!?!?
「悠真くん!いえ、悠真様!!
本当にありがとうございます。助かります!」
顔を上げると、悠真くんが笑顔で頷いてくれた。いや、たぶん笑顔なんだと思う。だって、前髪のせいで口元でしか表情判断できないんだもん。でも口角上がってるからきっと笑顔なはず…
後光が見えるよ…眩しいよ〜
と、いうことで心優しい悠真様のおかげで私はピンチを切り抜けられそうです。
本当にありがとうございます。
いつもは神社に行ってもお賽銭ケチって5円しか入れないけど、今度行った時は最低でも50円は入れようと心に誓ったのであった。