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2.親切な心は持つべきだ

 


  はぁ。それにしても本当に困った。

 このまま時が止まってしまえばいいのに!

  明日の今頃、私は一体どうなってしまっているのだろうか…

 と言うか、明日以降の人生が危ういわ…一生パシリなんて嫌だよ!!!



 と、その時ふらふらと覚束ない足取りの男がぶつかってきた。

  とっさのことにふらついてしまったが転ばずに済んだ。ふっ。体幹鍛えててよかったわ〜


  しかし、男の方は倒れてしまったようだ。自分からぶつかっておいて倒れるとか大丈夫か、この人?そしてそれから苦しそうに息をしながら立ち上がらなかった。

 …。

 ふむ。具合が悪いのかな?

  男は上下セットの紺のジャージを着ており、髪も乱れているし、長めなせいで顔もよく見えない。なんて言うか全体的にもさいな。髪も真っ黒だし、なんだか野良猫みたいだな。

 男に近づいてみると、手を掴まれた。なんだこいつ?ナンパか?と思ったがどうやら違うらしい。私を掴む手が以上に熱い。やはり熱があるらしい。


  うーん。このままここに放置するのは人としてどうかと思うしね…

 と言うか、手!!手を離していただけませんかね!?

 とりあえず


「あの、大丈夫ですか?救急車呼びますか?

 」


 と聞いて見た。すると苦しそうな声で


「…いい。家近くだから大丈夫。」


 と答えた。

 そうですかー。わかりました!じゃあ手を離してください!

 って言おうと思ったのだが目の前から苦しそうな寝息が聞こえて、男が眠ってしまったことを悟った。

 大丈夫って言ってるけど大分大丈夫じゃないよね!?


  手を離してくれないので仕方なく、私はタクシーを捕まえ男の方を担いでなんとか乗車した。重かった。意識がないとさらに重くなっちゃうもんね。


「あの、家の場所教えてもらっていいですか?ここから近いんですよね?」


  しかし、返答はない。寝息だけが聞こえてくる。

 ちょっとー!それが分かんないと困るんですが…


「お客さん、どこに行けばいいかな?」


  タクシーの運転手さんに聞かれた私は仕方なく、本当に仕方ないので私の住んでるアパートの住所を伝えた。

  隣に座っている男を見る。うん。この人なんかもさそうだし、1日くらい家に泊めてあげても良いよね。

 普通の私ではまずしない判断だったが、アルコールで鈍った頭で考えた結果、男を連れ帰る事にしてしまった。



「毎度ありがとうございました!

 お客さん、大丈夫かい?良かったらその人部屋まで連れて行くの手伝うよ」


  運転手さん、優しすぎる!私もまたこの重たい男を担いでいけるかどうか心配だったんだよね。


「ありがとうございます!

 そうしていただけるととても助かります!」


  私が男の頭を、運転手さんに足を持ってもらいなんとか運ぶことができた。えっちらおっちら男を運ぶ大人2人の光景はさぞかしシュールだっただろう。幸い、誰にも見られなかった。

  それにしても1人ではかなりきつかっただろうなと思った。運転手さん、ありがとうございます!!


  改めてお礼を言うと運転手さんはひらひら手を振って帰って言った。


  いい人っているもんなんだね。私も人には親切にしよう。優しさは世界を救えるかどうかは置いといて、誰かを救うことは出来るんだなって学びました。





  そうして自室に戻ると、そこにはやはりもさい男が寝ていた。

 どうしたものかね…


  とりあえず熱が出てるから冷えピタ貼ろう!

 目が覚めたら飲む用の市販の風邪薬も確かここら辺にあったはず…

 ってあれ?ない…。最近風邪なんて全然ひいてなかったからなぁ〜どこ行っちゃったんだ?

 今度部屋の片付けをしようと誓った瞬間であった。


  なんとか探し出した冷えピタを貼った後、リビングに客用の布団を出し、男をそこに移動させた。持ち上げるのは諦めてゴロゴロ転がして移動させた。これが意外と楽しかった。



  それから私はお風呂に入り髪を乾かすとそのまま寝室へGO!ベットにダイブしたのであった。



  なんか、今日は見知らぬ男の人を連れ帰っちゃったりして疲れたな〜

 明日には治っているといいんだけどねぇ。

 ん?待て、なんか忘れてる気がする…大事なこと忘れてる気がする…

 あーでも思い出せない…。と言うことはきっとそんなに大事なことじゃないんだろうな!

 よし、もう寝よう!



  部屋の電気を消して僅か1分で私は夢の世界へ旅立ったのであった。

 そう、私はすっかり忘れていたのだ、なんとしてでも3人に紹介する彼氏を確保しなければならないことを。自分が窮地に立たされていることを。



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