思春期に勝てないよね
ブックマークしていただき、ありがとうございます!
なんか、ストック分を一気にアップしたくなりますが、自分の首を絞める結果になりそうなので、自制しております。ガクブルですぜ(;´д`)
今回は文字数少なめです。
「美味しいぃ~~!!」
絢香は佑都の作ったサバを味噌煮を食べて舌鼓を叩いていた。
シャワーを浴びて厨房に戻ってきた佑都に大絶賛を伝える。
佑都は、それはそうだと感想を返した。
佑都は、店が一段落するとシャワーを借りて、身体を冷やしている。
身体を冷やすという表現になるのは、佑都の虚弱体質が関わっているからだ。
宮沢佑都は、先天性の皮膚炎を患っていた。その結果、汗をかくことを酷く嫌っているのだ。
汗をかくとどうなるのか。
答えは負のスパイラルに陥るのだ。
汗をかく→
身体が熱いから痒くなる→
我慢出来ず、身体をかく→
かいた箇所が炎症して熱を帯びる→
また痒くなる
事情を知っている秋野家は、快くお風呂場を貸してくれるのだ。
そもそも、厨房に立たなければ良いのでは?と疑問を持つが、それは却下だ。
学生のときが料理を集中的に研究できる貴重な時間なのだ。
汗をかくは悪いことではない、皮膚の調子を整えるためには必要な行為である。
一生、汗をかかず過ごせるか?
答えは否だ。
料理をしている時は、アドレナリンの作用なのか痒みを感じない。
一段落すると、『待ってました!』とばかりに痒みが顔を出す。
よって、シャワーを浴びて、身体を冷やす行為で、鎮静化していた。
『鎮まれ!俺の痒みよ!』と、厨二病患者ならノリノリで言ってきそうだ。
「それはそうだってどうゆうことぉ~?」
「きちんと調味料を使えば、それなりに美味くなるだけだよ。僕から言わせたら。」
佑都は、調味料を使わない素朴な料理を好む。一般的な料理は、なにが入っているか分からないから、怖いのだ。
だから、佑都からすると、調味料に頼った料理は口当たりが良く、美味しくしやすいと感じていた。
「ゆーとだから言えるんだよぉ。そうゆうことぉ~」
料理をするうえで、『さしすせそ』は基本であり、大事なことだ。
しかし、それを丁度良く使えない人がたくさんいて、苦労しているのだ。
「さて、サバのみりん干しを今日は作ってみようと思う。」
「みりん干しは、結構、調味料使うけど大丈夫ぅ~?」
みりん干しは、砂糖、醤油、みりんを多めに使うことが多いのだ。
佑都はあえてそれを選んだ。
「だからだよ。市販のやつは味が濃いし、僕は食べられない。薄味のみりん干しが食べたいんだよ。」
(あと、保存食が出来たら楽だなと思ったり、今日は早めに切り上げたいから工程が楽のにしたいし。)
「そうなんだぁ~。じゃあ早速やってみようよぉ~」
通常のレシピより、半分の調味料を配合する。
といっても、今日は煮込んで容器にいれるだけ。半日以上漬け込んで、干さないといけない。
「簡単だねぇ~!!明日が楽しみぃ~」
「そうだな。上手く出来たらいいなー。明日の朝は早めにくるからさ。今日は早く寝たほうがいいぞ。」
「うん!お父さんに言っとくね!昼ごはんは、ゆーとのサバがあるって!」
「いやいやいや、まず味見してからじゃないとオーナーにだせないでしょ。期待しないでくれよ。」
佑都は美味く出来た時だけ、オーナーに試食をお願いをしている。食堂を切り盛りしているプロの意見は貴重だ。
佑都は、料理人を目指している訳ではないが、美味しい料理を食べること、美味しい料理を作ることに貪欲だ。
しかし、秋野家の思惑は違う。
絢香の結婚相手に佑都が良いと思っており、ゆくゆくは店を継いで欲しいのだ。
絢香本人も満更でもなく、佑都が食べれる料理を1つでも多く覚えるため、自分で研究したり、佑都が作るものも覚えようとしていた。
「あと、あの話も考えてくれたぁ~」
「ん?またあの話か。期限はまだじゃないの。」
「そうなんだけどぉ~。早めに答え欲しいんだよぉ~。」
佑都に上目遣いをしておねだりをする絢香の可愛らしさに思わずドキっとしてしまう。
毎回、こうゆうおねだりをされて『しつこいなぁ』と思うが、満更嫌でもないのだ。
佑都も思春期に勝てないのだ。