ミステリーは好きじゃない
4話目投稿です。文章を書くのは難しいですね。
佑都と絢香が一緒に歩いているのをありさは後ろから見ていた。
たまたま、下校するのが一緒になっただけ。いつもなら一緒に下校する友人だったり、熱烈なアプローチをする男子がいるのだが、今日はいない。
(あー。目の前に宮沢くんいるし。歩くスピードを調節しないとダメかな。めんどくさいなぁ)
ありさは、そんなに親しくないクラスメイトが目の前にいると、歩幅をゆっくりにして追い抜かさないようにしていた。理由は"気まずいから"である。
(ん?宮沢くんが少し走った。ラッキー!自分のペースで歩けるわ。)
ありさが小さなストレスを受ける前に、原因が過ぎ去っていったのだ。
同時に衝撃を受けた。
佑都が自分から女子に話をかけていたのだ
(えー!!宮沢くんが女子に話しかけた!)
しかも笑顔で。クラスでは幸人にしか見せない屈託のない笑顔を女子に見せているのだ。
ありさは興味が引かれた。
クラスでは無愛想で性格が悪く、無関心で女子を敵対視している佑都が、笑顔で楽しそうに、女子と喋っているのだ。
(これ、スクープね!!)
腐女子からはすると夢が壊れる話だ。
佑都は女子を敵対視していて、男しか興味がないと思っていたのだ。
(帰ったら優香に話してみよう!)
小山内優香は高校で知り合った親友だ。付き合いは短いがウマがあって一緒にいる。
(でも誰なんだろ?宮沢くんがこんなに親しげに話をしている相手は…あ!)
栗色の髪の主は、目の前にからくる自転車に気づいていなかった。
それは佑都に釘付けになり、佑都しか見えていなかったのだ。
気がつけば、事故になりそうだったが、佑都が絢香の肩を抱き寄せて事故を回避した。
絢香はなんで抱き寄せられたのか分からないまま、頬を赤く染めていた。
(…なんで?)
ありさは「絢香に対する興味」から、「佑都への苛立ち」へと感情がシフトした。
(なんであの子には気づかいもして、笑顔も見せるのに、私たちには見せてくれないの?)
そしてその相手は誰なのか。興味と苛立ちをもったまま、ありさは尾行を始める。
そしてとある定食屋に着いて、二人は入っていった。
駆け足で定食屋の前に立ち、中へ入ろうと引戸を開けようとするが、手が止まる。
"営業時間18:00~22:00"
今の時刻16:34である。
明らかに営業していない。
「なんなのよこれ。」
宮沢佑都と栗色の女、そして営業時間前に入店する定食屋。
ありさは悶々とした気持ちを持ったまま帰路に着くのだった。