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師匠は例外

1週間に1回、2回を目安に更新していきます。

よろしくお願いいたします。

(めんどうなことになってきたな)

 

佑都はそう思った。というのは、夕方のHR で、奇異の視線を浴びせられ、変な空気になってきたからだ。

 

若葉ちゃんからは"ようやくクラスに慣れてきて嬉しい"とか"友達100人作ろう"とか、今の小学生でもたてない目標までたてられた。

腐女子からは、幸人と二人でやることで期待の目を向けられたが、気づかない振りをしてやり過ごした。


若葉ちゃんからすると、いままで消極的で友達が少ない佑都が、幸人という保護者と一緒になってクラスに馴染もうとする姿に見えたのだ。

 

勘違いだが。

 

(なんか知らないけど、若葉ちゃんもやる気になってるし。しまいには学年トップを取ろうとか言いそう…)

 

「みんなー!!体育祭は本気で1位を取りに行きましょう!一致団結よー!」

 

(マジかー。フラグ回収早すぎだろー!。)


フラグをたててしまったことを後悔する佑都だった。

 

男子達は"お母さんと一緒のほうがよい"に出てくる歌のお姉ちゃんばりにテンションが高く跳び跳ねている若葉ちゃんをみている。

 

(胸が揺れているぅぅ!やばい!熱くなってきやがった!)

(デカイ!若葉ちゃんと幼児プレイ…ぐふふ)

(友達100人…俺達の子供は100人だな!とか言いたい!)

(生まれ変わったら床になりたい!パンツを見ながら踏まれたいぜ!)


相変わらず、トリップして話を聞いていない思春期一同。

 

真面目な顔をした思春期一同は、若葉ちゃんの言葉に"おー!!"と、とりあえずノリで答えるのだった。

もちろん、前屈みになりながらである。


(((男子ってほんとバカだなー。)))


こう思ってしまう女子一同。もれなくありさも呆れた目で男子達を見ている。

 

中には既に付き合っているカップルもいる。前屈みになっている彼氏を見て"あとで潰してやる!"と、般若になった彼女もいた。

 

放課後、教室で正座でうずくまり、シクシク泣いている男と、鬼嫁として将来有望株である彼女が目撃され、"ヤンデレ"とあだ名がつけられるのは、遠くない未来である。


(はぁ…めんどくさい)

 

佑都は、心の中で嘆いて、下校するのだった。

 

下校して、そのまま用事に向かう。佑都の用事とは"アルバイト"である。

 

とある食堂で調理を担当していた。校則でアルバイトは禁止されている。よって公に出来ないので、"用事"という単語で幸人と話をしているのだった。

 

アルバイトをした理由はいくつかあるが、1番の理由は"料理の研究ができる"ことであった。

 

佑都は幼少期より虚弱体質で、食べるものが制限されていた。"油っぽいもの"や"甘いもの"は禁止されている。

 

早い話が、昔の日本で食べられていた和食しか駄目なのだ。


でもだからといってこのまま"制限"した状態で一生過ごせるか?


答えは否だ。

 

佑都は自分が食べられるメニューを考え、増やしたいのだ。

 

それには料理を研究する場と、食材が必要だ。一介の学生には多種多様な食材を買うことが金銭的に難しい。


①"和食が作れる"

②"食材が豊富"

③"お客様からは顔が見えない"


この条件を満たしたアルバイト先へ向かう。


(ん…あれは絢香かな?)

 

下校中に前を歩く1人の女子がいた。栗色でウェーブがかかった髪。"ふるゆわ"という単語が似合う髪型と空気感。クラスは違うが同じ学校である。ありさと美少女1,2位を争うもう1人が"秋野絢香"であった。

 

小走りでかけより、声をかける。

 

「ども。」

 

「あ、ゆーと。びっくりしたぁ~。今から行くのぉ?」

 

「シフト見てなかったの?今日の定食はどうするつもりかわかる?」

 

「サバが安かったってお父さん言ってたよぉ~。"塩焼き"か"味噌煮"にするんじゃないかなぁ~。」

 

絢香は佑都のアルバイト先の看板娘であり、オーナーの1人娘だ。

 

佑都の両親と旧知の仲であり、昔から面識のあった秋野雄三氏にお願いをして働かせていただいている。

 

場所と余った食材を使って研究させてくれるので、正直アルバイト代を貰うのが気が引ける。

 

"等価交換だ!"と、言われていただいているが、納得はしていない。

 

絢香の話だと、"どこかの錬金術士"というアニメを見てセリフを言ってみたかったんじゃないかとのことだ。

 

言ったあとのドヤ顔は忘れられない。

 

絢香とは昔からの知り合いだった。幼馴染みというほど親しくはないが、それなりに親しい友人であり、"料理の師匠"だった。

 

佑都が料理を研究をしようと思った時から、"さしすせそ"を教えてくれたり、包丁の使い方や魚のさばき方を教えてくれたのは絢香だ。

 

絢香は佑都にとって素の自分を見せれる唯一の女子だった。


「じゃあ、終わったあとはサバを使った料理でも研究するとしますかね。」


「そうだねぇ~」

 

「毎回思うけど、絢香は僕に付き合わなくてもいいんだよ。夜更かしはお肌に悪いし。」

 

「気にしないでいいよぉ~。明日は学校休みだしぃ、私も花嫁修業になるしぃ」


金曜日は閉店後、いつも研究に付き合ってくれる絢香に佑都は感謝していた。

 

(…まぁ親しき仲にも礼儀ありだし、「他人」が自分のキッチンを使う時は一緒にいなきゃならないよな。)

 

佑都は早めに研究を切り上げるため、頭の中で段取りを組み始めた。


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