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困ったことになりそうだ

はじめまして。いつも皆様の作品を読んでいるだけてましたが、思いきって投稿してみました。

誤字脱字ありましたら、申し訳ありません。

読みやすくすることを意識しておりますが、読みづらかったら申し訳ありません。

完結目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。

入学式も終わり、ある程度の仲良しグループが決まった頃、それは始まった。

 

「5月18日の体育祭ですが、まずは実行委員を決めないといけませんね」   

担任の若葉ちゃんが教壇にたち、朝のHRで告げた。

 

若葉ちゃんは今年3年目になる教師で見た目も実年齢も若く、怪盗紳士を手玉にとるヒロインぐらいスタイル抜群である。

女子生徒からはお姉ちゃん的な存在として人気がある。

 

思春期の男子にとっては妄想のネタになりやすく、真面目な瞳を若葉ちゃんに向けトリップするのは仕方のないことである。

 

そんななか、窓の外に目を向ける男子生徒が1人だけいた。

 

「終礼のHRまでに決めといてね。神無月さん、あとはお願いしますね。」

 

さらりと用事を学級委員に押し付け、職員室に戻る若葉ちゃん。

 

相変わらずいいケツしてるなと、感慨にふける男子達を尻目に、神無月ありさは外の景色を見ている宮沢佑都に目を向ける。


(立候補がいればいいけど、そんなのいるわけないか…)

 

ありさは誰に体育祭委員をやってもらうか考えるのだった。

 

佑都も若葉ちゃんの言葉は聞いていたが、関係ないと心の中で判断していた。

  

お昼休みになり、佑都のもとに幸人が昼飯を持ってやってきた。

幸人は中学からの親友で、佑都の事情を知る数少ない協力者である。

 

「今日の佑都のおかずはなんだろな~」

「またかよ。たまには幸人も僕が食べられるものを持ってきてほしいもんだよ。」

「まぁまぁまぁ、そう言うなよ。世の中ギブアンドテイクということで。」

「で?今日はどれ?」

「このブリをくれ!」

「…これマグロだから?せめて当ててくれよ。」

「いやいやいや、揚げ物の中身はわからんよ。前と一緒でブリの竜田揚げと思ったんだが、マグロかい。」

「とりあえず食ってみてよ。自信作だなんだ」

 

幸人は佑都の弁当箱から一つ、つまんで口に放り込む。薄味だがしっかりと下味をつけたマグロが幸人の口の中で溶けていく。

食べた瞬間に幸せが身体を駆け巡る。


「…これだから佑都との昼食はやめなれない!」

「それはどうも」

 

幸せな顔をした幸人を見ながら、自信作の弁当を食べていく。

幸人は朝買ってきたコンビニ飯を食べながら、月曜日は、なんのおかずにするのかとしつこく佑都にからんでいた。

 

「宮沢くん、今少しいい?」

 

学級委員長の神無月ありさが昼時に宮沢佑都に話をかけた。

なんとなく察しがついたので佑都は先回りをした。

 

「申し訳ないけど体育祭実行委員はやりませんので。」

「…なんで私がその話をすることわかったの?」

 

「誰でもわかると思いますよ。朝、若葉先生の話を聞いて、まだ決まってない体育祭実行委員。夕方までに決めないといけないし、部活も委員会もやってない人で、さらに暇そうな人にお願いしようと。このクラスで当てはまるのが僕かと思いましてね。」

 

客観的に見て、話がきてもおかしくはないなと、佑都は思っていたのだ。

 

「わかっているなら引き受けて欲しいんだけど、どうしてもダメかしら?結構困っているのよ。」

 

「僕も用事がありますので、遠慮させていただきたいのですが。」

 

「…あと、クラスメイトに敬語は使わなくていいんじゃないかしら。距離感を一方的に突き放されて不愉快になるわ。」

 

「それは失礼しました。これが自然なんで諦めてください。」


空気がピリピリしはじめた頃、助け船を出す友人。

 

「まぁまぁまお、神無月さん、そう焦らないで。佑都ももう少しオブラートに包んで断りなよ。飯が不味くなっちまうだろ?」


「幸人くんがなんで宮沢くんと一緒にいるか分からないけど、いつも空気を悪くする宮沢くんの尻拭いは大変じゃないかしら」


「まぁまぁ神無月さん、委員長として大変だと思うけど、やる気がない佑都に任しても、実行委員に行かなかったらさらに大変じゃない?だったら、他のやる気のある人に頼んだらいいんじゃないかな。神無月さんからお願いされたら大抵はオッケーしちゃうよ。」

 

神無月ありさは、学年で1,2を争う美少女の1人だ。優等生タイプだが、堅苦しくなく、基本的には誰とでも仲良くでき、人気があるのだ。スタイルもよく1週間に1度は告白を受けるのだ。


「だから困っているのよ。無理をしてまでやって欲しくないし、部活とか委員会を休んでまでやるようなことじゃないと思うのよ。いい条件が揃っているのが宮沢くんなんだけどね。」

 

ありさは佑都にいい感情は持っていなかった。それは何事も無関心を貫き非協力的な態度に腹をたてていたからだ。女子に対してはさらにその態度がひどくなるのだ。

 

でもだからと言って他の人に頼んだら自分の考えを妥協したことになるので嫌になってしまう性格なのである。

 

「ん~神無月さん、確かに佑都は帰宅部でなにもしてない。体育祭実行委員をやっても支障はないと思うけど、本人はやる気がない。」

 

「…そうよね。やる気がないと他の人に迷惑をかけちゃうわよね。学級委員としてそれは困るわ。」


幸人とありさのやりとりを静かに聞いている佑都。心の中では、幸人がうまくやり過ごしてこの場は収まると思っていた。

 

「そこで提案なんだが、佑都と俺の二人で実行委員はどうだい?」

 

幸人と発言に思わず「は!?」と声を洩らしてしまう。

 

「別に二人でもいいけど、どうして?」

 

「俺も佑都も部活や用事があるから、毎回の集まりには行けない。お互いに行ける日を決めておけば負担は減るし、神無月さんも困らない。どう?」

 

こまった展開になってきたと、佑都は弁当の残りを食べながら考えていた。

 

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