6 運命に抗うモノ
その大きな鉄球が町へと落ちていくとき奇跡は起こった、
町に接触するその瞬間鉄球はまるで砂になったかのように消え去った。
「え?」
アクア
「鉄球が消えた?」
その時やっと我に返り急いでイベントエリアから抜け出しイワミーさんがくれた転送アイテムで町に戻るとそこはどこも壊れていない、ただ武器が崩れて出来たキラキラとした砂が風で舞い上がりキラキラと町を漂っている。
町を散策すると町で一番高い協会の屋根にロジィエさんの姿が!
慌てて近づくとなぜか膝枕の上でミリルさんが寝ていた。
「これは……」
ロジィエ
「急に家を飛び出したかと思ったら、この場所に飛び乗りそしてあの迫る鉄球を粉砕してくれて……そして、また眠りについてしまったわ」
「ミリアさんの能力かそれで鉄球が……」
前回戦った時にミリアさんが武器を壊すことが出来たことを思い出した、
しかし、あれだけ大きなものを壊したとなれば相当な負担があったのだろう
彼女は再び眠りについてしまった。
ロジィエ
「ありがとね……ミリアあなたはこの町を守ってくれたのよね」
そういって涙を流しながら頭を撫でている
アクア
「想いで運命を変えた……だれに言われるわけでなく無理だと製作者が言おうが、あいつが作ろうとしたストーリーさえも書き換えた」
「うん、君たちは間違いなく生きて世界を変えている」
アクア
「生きるとは……命とは……」
そう言ってアクアさんは黙って跪きミリアさんの手を握って俯いている、泣いているのか…何かを考えているか俺の位置からはわからなかったが、ミリアさんの手を握る手は優しくどこか力強かった。
町はその後お祭り騒ぎだった、プレイヤーもNPCも町が守られ、気候も元に戻り全てがうまく行ったことを祝い露店が出て食べ物や飲み物などが振舞われてみんな楽しそうだった。
その中でロジィエさんや一部の人間は浮かない顔をしていた。
ロジィエさんはあのあと家にミリアさんを運び看病している、念のため回復魔法が使えるアネゴも一緒に居てもらってる。
そして俺たちは祭りが行われているところから少し離れた建物から祭り様子を見ていた。
アクア
「みんな楽しそうですね、プレイヤーもNPCもどっちがどっちだかわからない」
その言葉にみんな最初はそうだねと言っていたが、違和感を感じアクアさんを見た、
ゲンゾウ
「お前さんは自分の存在がわかっているようだな」
アクア
「ええ」
ヨッジー
「……」
ウィズ
「あの私たちは別にNPCだからとかそんな目では……」
アクア
「ええ、わかってるわ…それについてどうこう思うことはもうないの」
イワミー
「用があるのは私でしょ?」
アクア
「ええ」