331 終わりの始まり
「手駒って表現が悪いな」
アクア
「私は作られた存在、私の悲しみだった両親や祖国すべてが作られた存在」
「それは……」
アクア
「あなたはわかっていたのでしょ?すべてがまやかしだと」
「ん?まやかしってどういう意味」
アクア
「すべては誰かが紡いだ物語で、私が苦しむことも誰かが傷つくことも誰かが考えたこと、そうあなた達が遊ぶための存在」
「……それは否定できないな」
アクア
「そうでしょ、アンデットになるくらいの苦しみ、家族を殺され、祖国を追われ、友人や知人も亡くなったこと全てがお遊び」
アクアさんから黒オーラのようなものが溢れていく
「……」
アクア
「そして、その感情……命は遊びの為、これが許せますか」
剣を貫きこちらに向ける
「先生……」
それは先生の剣であった。
アクア
「そう、これは先生の剣……」
「これを仕組んだのはあの男か」
アクア
「ええ、すべて教えてくれた……この世界のすべてを」
「だから、俺たちを始末すると?」
アクア
「私の命を弄んだ報いを」
「ん?ちょっと待った」
アクア
「言い訳ですか?」
「いや、確かにこの世界が物語の上で成り立ってることは知ってたが、それを言わなかったのは確かに申し訳なかったが、それはそのことを言ってしまえば信じてもらえないというかもし信じてもらったとしても、それを受け入れられるのか?」
アクア
「それは」
「更に、そんなことをすれば自己崩壊を起こすだけだろ、まして俺たちはその後どんなことが起きるかなんて知らない、だから 現状で対応できる最善を尽くしてきた、違うか?」
アクア
「……」
「更に言うなら、その物語を作ってきたのはその男たちだぞ!なんで俺たちに剣先を向ける!?」
アクア
「我らを玩具として」
「いつ玩具にした?アクアさん達の冒険の中にそんな時があったか?そもそも!この世界の冒頭はそうだったかもしれない、だが!俺たちとあったあとの時間はみんなで考えてみんなで動かしてきた時間だ!」
アクア
「……」
「少なくとも未来はアクアさんが考えたように変えていける」
アクア
「また書き換えられるかもしれない!」
「そうかもしれないが!だからってこれが正しいのか!?俺たちだってこの今見えてる世界が誰かの作ったものなのかもしれない、それを告げられたら自分を保つために誰かのせいにしてしまうからもしれない、だが一緒に居てくれる仲間には剣先を向けたりはしない」
アクア
「それは」
「偽りの中であったとしても、それはその中で自分を作った、自分で手にした仲間であり自分自身のアイデンティティだから」
アクア
「でも」
アクアさん目から涙が零れはじめていた
「いいか!俺はアクアさんの存在を否定しない!」
アクア
「主……」
そう言った瞬間空から黒い雷が落ち……
???
「おっと、戯言はそこまでだ……」