317 終わりの始まり
あれから何往復したかわからない……
そのおかげで実が出来たまでは良かった、だがこの身が厄介でめちゃめちゃバランスが悪くてグラグラし、少しでも傾けたら落ち終いそうな状況になり、
とにかく振動を与えないよう運び神経をすり減らすウィズさん
今まで以上にノックともぐら叩きで肩が死にそうな俺……
トリモチを駆使し着実にレベルと実績を重ねるもピー……
言葉だけのGM……
GM
「さあ!ゴールは目の前です」
「大丈夫ですかウィズさん」
ウィズさんの方を見ると疲労困憊状態に見えるが笑顔で
ウィズ
「大丈夫です、早朝から夜ギリギリまでのぶっ通しアフレコに比べれば」
「え?」
ウィズ
「いや、なんでもないです」
……とりあえず聞かなかったことにしよう
「GMさん実もなったしもうOKでは?」
GM
「普通ならもうOKでしょう……だが!上のランクに行くためにはまだ追熟がいるんです……私もここで諦めた口ですが、今まさにリベンジの時」
「いや、あんたなんもしてないだろ」
GM
「そろそろ最終変化が」
しばらくするとその言葉通り実の中心からやや上の辺りから左右に白いヒゲ?のようなものが斜め上に向かってフサフサと生え出した。
そして、その後その生えたフサフサの下に窪みのようなものができまるで目を閉じてるような形に、さらに中心から下に小さな口が出来て……
???
「あああ、君がワシを育ててるモノかね」
その声はまるでどこかの社長のような妙に威厳のある声だった。
ウィズ
「しゃべった?」
「しゃべりましたね」
GM
「はい!そうです、この度はお目にかかれまして幸栄でございます」
急に媚びを売るような声で実に話しかけるその姿は社長にすりよる社員の如し!
???
「ふむ、そうかしっかりやるんじゃぞ」
GM
「ははは!」
???
「ところで、少し喉が渇いたんだが」
GM
「なんと!ほら早くお水を用意して」
「え?」
GM
「急いで」
???
「なんじゃ、水はないのか……」
すると若干しおれたようになった。
GM
「今!今すぐもってきますから」
俺から水を奪い取るとそのまま鉢へと流し込む。
???
「おお、これは中々」
GM
「ありがとうございます」
そういうと俺たちを鉢からちょっと遠いとこへGMが引っ張り小声で、
GM
「あれが最終形態 社長さんだ」
「社長さん!?」
GM
「そうだ、今までとは違い状態を口で教えてくれるがその指示は細かく、また察することも必要となる」
「めんどくさい」
GM
「バカ!聞こえたどうする!……まあわからなくもない、私も若い頃に対応できず結果クリア出来なかったが……今なら出来る伝授しようサラリーマン処世術」
「……あまり知りたくないな」
ウィズ
「接待は……」
GM
「だまらっしゃい!……ん!?あの感じはなにやら伝えたいことがありそうな仕草!いくぞ」
すばやく駆け寄り低姿勢で
GM
「あの~どうなさいました?」
???
「いやの~ワシの名前はどうなってる」
「名前ってとくに」
話の途中で口を塞がる!
GM
「ええ!ありますともすっごくいいお名前が」
???
「ほう」
すると小声でGMが
「なんか、良い名前考えろ」
「今!?好みなんかしらないですよ」
GM
「インスピレーションで昔のかっこいい名前とか」
「う~~~ん」