282 終わりの始まり
割れた地面を降りて行くとそこには綺麗に削られたまるで地下鉄のような横穴が空いていた。
ヨッジー
「これはどこまで続いているんだ」
赤き獣
「逃げ足だけは早いね~かなり遠くまで移動してやがる」
アネゴ
「追いつけるかしら」
赤き獣
「足を止めりゃあ良い」
ウィズ
「スタン攻撃か何かを?」
赤き獣
「スタン?よくわからないがビビらせば良いんだよ、耳塞ぎな」
ヨッジー
「え?」
ゲンゾウ
「早く塞いだ方がよさそうだ」
ヨッジー
「え?」
赤き獣が大きく息を吸い
この馬鹿もんがああああああああああああ!
咆哮といえば聞こえは良いがめっちゃでかい大声としか思えないファームで穴に向かって叫ぶ!
ヨッジー
「耳塞いでても耳イテー!」
するとキルの手下達が
手下
「止まっている」
キル
「奴らが止まったのか?」
手下
「ああ、詳しくはわからんが多分マークの色からしてスタン状態だな」
後で聞いた話だが盗賊スキルの上位にはマーキングした相手の状況をマーカーの色で判別できるというモノがあるらしい。
赤き獣
「さあ、いくよ」
物凄い速さで暗闇を駆ける
ヨッジー
「ちょっと待ってくれ、暗闇じゃ」
慌ててウィズさんが照明魔法を展開し、ヨッジーが馬を召喚し配布してなんとか勝手に走る俺こと赤き獣を急ぎ追いかけること数分、
手下
「まもなくです」
そこには倒れて気絶状態から回復しようとしている二人が、
蒼きワイン
「っ頭が/急がねば」
回復が早かったのは蒼きワインの方で素早くまた穴を掘っていく、
そして遅れて立ち上がったポルカだが酔っ払いの様にふらふらしまだ体が動かないようだ。
ポルカ
「私も」
赤き獣
「まったく往生際が悪いね、もう一度」
再び大声を発動するが、
ポルカ
「同じ手は食わないわ、アイスガーデン」
幾重にも重なる氷のカーテンのようなものを展開してどうやら音声攻撃を防ぎ逃げようとするが……
赤き獣
「しゃらくさい!」
氷のカーテンごと拳で貫きポルカの首根っこを抑えつける、
ポルカ
「ぐっは!」
暴れようとしているが圧倒的な力の前にまるで地面をばたつく駄々っ子のようなポルカ、
赤き獣
「観念しなガキ」
ポルカ
「私はガキじゃない!りっぱな」
すると
キル
「貴様はガキだ!てめえだってあの親父と一緒だろなんだかんだ言って自分の為に組織の奴らほったらかしにして出てきたんだろ」
ポルカ
「そ それは」
氷の女王の影響が薄れはじめてポルカの元の体に近づき始めるが
キル
「だから」
キルが何かを言おうとしたその時
赤き獣
「うっさい」
ポルカを背後からぶったたき気絶させる。
ヨッジー
「え?」
ウィズ
「これから説得の良いシーンでは……」
赤き獣
「知るか、あとにしなアイツを追うぞ」
そう言ってポルカを引きずりながら先を急ぐ赤き獣、そして呆気にとられたキルが若干恥ずかしそうに、
キル
「てってめえら!いくぞ」
手下女性
「あらあら、せっかくの名場面が」
キル
「うっせえぞ!」
なんとも言えない空気のまま先を進む一行であった。




