279 終わりの始まり
???
「あんたなら私の力を具現化出来るって聞いたけど」
「誰に!?」
???
「そんな細かいことはどうでもいい!出来るの!出来ないの!」
「出来ます!」
圧倒的な圧力というかプレッシャー!女頭領の醸し出す嘘は絶対付けないと思わせる眼力に思わず声が上ずる。
ヨッジー
「どうしたダイン!?」
「今ここに蒼き狼の母と言う霊が!」
アネゴ
「なんと!」
ウィズ
「なんて言ってるんですか」
「ええと」
???
「体を貸しな」
「体を貸せと」
ヨッジー
「おう……」
???
「あいつには一度ガツンっと言ってやらならいと思っていたが、もう大人だからと見守る形で我慢していが、こんな状況に……くーーー」
「それは」
???
「孫まであんな状態など我が血統の恥!私の不始末は私がつける!」
「ええとあの~お母さま」
???
「早く!体を貸しな!」
「はい!スキル:魂の代弁」
魂の代弁でお母さまを具現憑依させると体が赤と白の毛皮で出来た鎧へと変わり、がっしりとしてはいるが細身の女性へ、髪は鎧の白い部分と同化してしまうほど長く目つきは細く吊り上がり鼻は高い美形ではあるが……
赤き獣
「よし、全盛期手前くらいの体というとこか~まあ良しとするか」
言葉遣いの悪さと酒で潰したのかわからんがものすごいだみ声
ヨッジー
「おう……」
ゲンゾウ
「迫力が違うの~」
ウィズ
「はい」
赤き獣
「ここからは手出し無用だ、ちょいときつめの仕置きをくれてやらんとな」
その目は怒りもあるが久しぶりの戦闘に胸躍るような怪しい光を放っているように見える、
そして、ヨッジー達はその目に促されるように赤き獣の邪魔にならないように後方へ退避する。
赤き獣
「ありがとよ……さて」
その目線は暴れまわっている蒼きワインへと
蒼きワイン
「あははっは/はははは」
狂った様な笑い声をあげてスキルを放ちまくっている蒼きワインに向かって
赤き獣
「この馬鹿もんがああああああ!」
その声にびっくとして蒼きワインの動きが止まる
赤き獣
「このバカ坊主が!」
蒼きワイン
「どしたの?/まさか」
その姿を見るや交互に変わる姿の男性部分が驚愕の表情、女性の方が困惑の表情になる
蒼きワイン
「だれ?/母さんは死んだはず」
赤き獣
「お前がこんなじゃおちおち寝てもいられねえから戻って来たんだよ」
蒼きワイン
「お母さん?/いや偽物だ」
赤き獣
「また現実逃避か!」
蒼きワイン
「……/うるさい偽物が」
赤き獣
「ほえるね~子犬がまあ良い私らの流儀は拳で語った方が早い」
そんな流儀嫌だ!
蒼きワイン
「…/消えろ」
その声にニヤリと笑う赤き獣の表情は母の慈愛が感じ取れないのだが……




