271 終わりの始まり52
その巨大な影は四足歩行の獣のようであり、背中にはトンボの羽のような薄い羽根を震わして滑空しながら餅を持ち去ろうしていた。
キル
「っち、こんな時に」
まるでその獣を知っているかのようにキルが舌打ちをすると、
???
「あいつがでたのね!!」
ふわふわのフードを着たこの集団に似つかわしくないコケティッシュな感じの装備の子がテント村の奥の方から出てきた。
キル
「バカ!危ないから出て来るなと言っただろ」
???
「あ、ダイン達だ」
そう言ってフードを少しあげて顔を見せたのは蒼き狼の娘ポルカだった。
キル
「総員!アイツを捕獲しろ!」
部下たち
「おおお!」
ポルカちゃんの為だ!
今度こそ!
網を放て!
キル
「悪いが勝負は後回しだ」
そう言ってキル達は怪物を追いかけて行く!
ポルカ
「絶対捕まえてアナタ!」
キル
「だから!それはやめろ」
ポルカ
「いいじゃん!旦那なんだから」
キル
「違う!」
なんだろ妙なイチャつきにイラっとする!今なら奴を倒せる気がする!!!!!!!
先生
「ダイン目が血走っとるぞ」
もちピー?
ゲンゾウ
「まあ、アレだダイン先は長い」
クリス
「どんまい!」
クリスさん久しぶりに出てきてゲンゾウさんの横に立ちにこやかに言葉の暴力を!
今ならゲンゾウさんを……
ヨッジー
「ダイン、そんな場合じゃないだろ」
ウィズ
「しっかりしてください」
そんな茶番を見ていたポルカは
ポルカ
「とりあえず、お茶でも飲んで落ち着いたら」
「っく」
とりあえず、戦う雰囲気も冷めてしまったのでポルカのテントに案内されてお茶をいただくことになった。
テントの中に入ると中は思った以上に広く、またテントというよりも小さなアパートの部屋のような感じだった。
ゲンゾウ
「ほう、これは職人のアイテムか……なかなかの腕だな」
ポルカ
「えっへん!うちのギルドは優秀なんだから」
「で?その優秀なギルドさんがココで何をしてたんだ?」
ポルカ
「それは……」
そういうと急にさっきまでの天真爛漫な感じに影が射したかのようにゲンキが少しないトーンの落ちた声で、
ポルカ
「さっきのみたでしょ?」
ヨッジー
「ああ、かなり強そうだったが」
「あの怪物を狩ろうとしてたのか」
すると急に強い口調で、
ポルカ
「怪物なんかじゃないわ!アレは父さんよ」
「ええええええ!?」
先生
「完全に野生化しておったが」
ポルカ
「間違いないわ!私にはわかる」
あの大きな怪物が蒼き狼!?




