118.忘却の姫～ミキシングミッション 雫の涙12
どこまで広がる海、嫌になるくらいに澄み渡る空
絶好の海日和を見たのは一瞬だった、YUKITOさんの船に乗り込み今居る場所は
地上とは真逆の暗く悲しい位闇が続く地底だ、敵に見つからない為
光源類はほとんどついて居ない、センサーの光だけが不気味に灯っている。
「真っ暗だね」
ヨッジー
「まあな～」
アネゴ
「遊びに来てるわけじゃないんだから仕方ないわね」
ジョニー
「あの綺麗だった空はもう見る影もない」
イワミー
「緊張感ないわね」
むすっとした顔が薄ら光ってる非常灯の効果も相まってなんか怖い！
船内にはいつもの、俺、アクアさん、ヨッジー、ウィズさん、ジョニー、ゲンゾウさん、イワミーさん、アネゴ、先生そしてYUKITOさんと大所帯ではあるが船内は大きく
狭さは感じないが暗さと緊張感からなぜみんな一か所に固まってる。
YUKITO
「狭いのだが……」
「そうなんですけど、なんとなくね」
ウィズ
「自由にしてて良いってのはわかるんですけどこの雰囲気だと」
YUKITO
「はあ～情けないな、今茶でも入れてやるからそれを飲んで落ち着け」
そういって操縦席から離れようとする
「え！？操縦は」
YUKITO
「大丈夫だ、ほとんどが自動操縦だ」
「そうなんですね」
YUKITO
「まったく、私を倒した相手が…まあそういうとこがアイツと馬が合ったんだろうが」
ぶつくさ言いながら奥へと行ってしまった、
そしてなんとも言えない沈黙が辺りを支配する。
ぶ～ん
しずかな機械の音だけが聞こえる空間は正直不気味だ、
ヨッジー
「なんかすげープレッシャーを感じるな」
先生
「落ち着かんかい馬鹿者」
ヨッジー
「落ち着いてるつもりなんだけども」
ゲンゾウ
「まあ、気持ちはわからなくわないがの」
先生
「はあ～情けない、お前等もっかい！修行ゾーンへ送るか！」
アネゴ
「いやーーーー！お刺身は嫌」
「アネゴ落ち着いて！」
パニックになったアネゴを抑える！
アクア
「落ち着いて下さい！刺身なんかにはしませんから」
イワミー
「アホくさ」
YUKITO
「なんだ、今度は騒がしいな」
紙のカップにお茶を人数分入れたYUKITOさんが戻って来た、
「すみません、もうちょいで治まりますから」
その後、アネゴを網籠にいれることで落ち着きを取り戻し、
YUKITOさんが入れてくれたお茶をみんなにまわした。
アクア
「オレンジの匂いがします」
YUKITO
「ああ、私の故郷のお茶だ」
「YUKITOさんは確かYUTAKAさんと同郷でしたっけ？」
YUKITO
「ああ、そうだ」
「昔のYUTAKAさんってどんな感じだったんですか？」
YUKITO
「そうだな、臆病だけどアニキぶりたがるヤツだったな」
「臆病だったんですか？」
YUKITO
「そうだ、心配性で私がちょっと怪我しただけで回復効果の薬草を大量に私の口に詰め込んで死にそうになったことあった」
「笑えないっすね」
YUKITO
「まあ、でも面倒見もよかったし臆病な分計画や戦略を上手に練りみんなから認められるようになっていった」
昔のことを話すYUKITOさんはどこかいつもの仏頂面ではなく、柔らかい表情をしていた、そんな話を聞いてく内に大分おちついてきたのだが……
ブービービ
突如赤い警告光がその空気を一変させた。
