60.忘却の姫22
修行という割には教えてるという感じのオーラではない、
その目には狂気に満ちた怒気が込められているような視線が突き刺さる。
これは子ウサギを狙う虎の様なそんな一方的な匂いが…
トゥシエ
「なんなのよコレ!」
ヴェール
「なんなのよ!この状況やっぱりお外怖い!」
「先生、みんな怖がっているのでお手柔らか…」
ビュン!!!
俺が言い終わる前に俺の横を剣が凄い勢いで通り過ぎた。
ターニャ
「殺し合いだ」
「え?」
ターニャ
「ヤルかやられるか二つに一つ」
「え?」
ターニャ
「いくぞ!」
その瞬間ターニャが物凄い勢いで接近してくる。
「ダイヤモンドシールド!!」
俺は防御を上げるが、次の瞬間移動でもしたのかと思うくらい後方に飛び遅れて
物凄い衝撃と痛みが襲ってきた。
「なんだこの威力は」
ターニャ
「分身して力が落ちている上に、目で見える位にスピードを落としてやってるんだ」
「これで?!」
ターニャ
「さあ!いくぞ」
またターニャが迫ってくる!このままじゃマズイ!何か仕掛けないと、
「セイントサンダー!」
ターニャ
「生ぬるい!」
剣の一振りで俺の攻撃は払われて、再び瞬間移動する。
ターニャ
「お前は憑依スキルに頼り過ぎている、お前自身の力のつかい方、鍛え方が出来ていない」
言ってることはその通りだから反論も出来ないが、この状況をどうやって打開しろと?
俺は逆切れにも似た感情が湧き上がってくる。
トゥシエ
「何やってるのよ!しっかりしなさいよ」
ヴェール
「逃げましょう」
ターニャ
「何を観戦者のつもりでいるんだよ!ターニャ式旋風の型 残風」
ターニャの剣に風が集まり出し竜巻のような形状になりそれを叩きつける!
トゥシエ
「え?!えええ!」
ヴェール
「うそでしょ!」
二人も俺と同じように吹っ飛ばされる。
ターニャ
「言ったはずだ、これは殺し合いだと」
研ぎ澄まされた刀の様な目を俺達に向ける。
「これはやばいな」
トゥシエ
「何なのよ一体!」
ヴェール
「痛いのは嫌です!」
ターニャ
「ごちゃごちゃ言ってないで戦え!」
再び構えるターニャ。
受け身に回っても良いことはない……
「くっそ!ホーリーラッシュ!」
トゥシエ
「援護するわ!ダークストーン」
ヴェール
「こっちこないで!ホーリーキャノン!」
ターニャへ2人の攻撃が着弾し、そのタイミングで俺の攻撃を当てたはずだったのだが、
キン!
俺の手槍が何か固い壁の様なモノに当たりそれ以上前に進まない!
どんなに力を込めようとまるでそこから先が巨大な壁でもあるかの如くビクともしない。
やがて二人の攻撃の靄が取れた瞬間目の前に透明な剣がまるで壁の様に俺の攻撃を止めていた。
ターニャ
「ターニャ流 碧の型 剣壁」
「うそだろ」
ターニャ
「嘘じゃないだろ、良く見ろこれが現実だ!撃の型 無双刀」
どこから現れたかもわからない無数の剣が繰り出される、慌てて盾を構えたが気づいた時にはまた瞬間移動していた。
トゥシエ
「私の家がボロボロになる!!!」
俺の体は心配してくれないのね。
ヴェール
「こんなの無理です(涙)」
そこへ無情にも……
ターニャ
「泣いてる暇があったら考えろ!射の型 速射」
無数の剣が二人を襲う!
トゥシエ
「止めなさいよ!」
ヴェール
「いやーーー!」
こんなのどうすれば良いんだよ!無理ゲーだ!




