ウォータリア21
アクア
「主、飲み物をお持ちしましたこの辺りで採れるブラッキーの実を煎じたものらしいです」
「お!ありがとう」
少し離れた郊外でテントを立てて泊まっている俺達にアクアさんが気を聞かせて飲み物を持ってきてくれた。
バルバロイ
「すまない」
「別に気にしなくても大丈夫ですよ、無理言ってついてきてもらってるわけだし」
アクア
「そうですよ」
バルバロイ
「……」
「あの宿の人がなにか問題があったとか?」
バルバロイ
「……あの宿屋の店主は俺居た村の者だった」
「そうだったんですか……」
その後何も語ろうとしないバルバロイさんに無理に聞くのも良くないと思い、
ランプの灯りをぼ~っと暫く眺めていると……
バルバロイ
「俺は猟師の息子だった、だからよく親父の獲った獲物を宿屋や食堂に届けていたからあの顔を見た瞬間知ってる顔だとわかった」
「なるほどそうだったんですね、バルバロイさんの村は猟が出来るっていう事は豊かな山がある所だったんですか?」
バルバロイ
「ああ、あの村は四方を山に囲まれそこから湧き出す4つの川に囲まれていることからフォーリバーと呼ばれ、山も豊かだがその水による恩恵で農作物にも恵まれた所だ」
「良い所なんですね」
バルバロイ
「ああ、特にクリームベリーというものが名産でムーさんのベリーパイは絶品だった、
ムーさんってのは俺の幼馴染のおばさんでパイ焼の名人なんだ」
「ほう~美味しそうですね」
バルバロイ
「それに、この時期だとベラウ魚という魚が海の方から山の川に上ってくる……よくそれを友達と釣りに行った」
それから今まで見たこと無いような笑顔で故郷の事を語る。
「懐かしいなほんとに……だけどあの日から変わってしまった」
アクア
「職業が決まった時ですか」
バルバロイ
「そうだ……」
今までの笑顔から一瞬で元の顔に戻ってしまった。