ウォータリア8
またやってしまったのだろうか……
いや、やってしまったのだろ……
俺がいくら止めようとしたところで俺の体は止まらないのだから……
どんなに諍おうと記憶は薄れ行き行為は行われる……
相手が逃げてくれたかもしれない……
そんなわけないか、今までだって無用な希望に何度裏切られたか……
徐々に光が戻ってくる……
見たくもない景色を照らしだす……
シールドの拘束が解かれそこには男が一人現れてそのまま倒れ込んだ。
村人の様な粗末でボロボロの服にショートソードを装備した痩せこけたどこか幼さを残した少年で、
唯一前の面影があるとすれば籠手の部分が少し残ってるくらいだ。
ヨッジー
「あいつはさっきの鎧野郎なんだよな?」
「ああ、そのはずだが……」
先生
「先ほどまでの覇気がないの~」
ゲンゾウ
「うむ、むしろ疲労しきってるような」
アクア
「主!」
「うん」
ヨッジー
「おい!不要に近づくなよ、あぶないぞ」
アネゴ
「大丈夫よ、そんな気力があるようには見えないわ」
「おい、大丈夫か?」
???
「……俺は又殺しを」
アクア
「いえ、あの方達は逃げました」
???
「!」
「ああ、親子二人で逃げた」
???
「そんなバカな!執行人の力の前から逃げれるはずなど」
ゲンゾウ
「本当じゃ、儂らが逃がした」
???
「ありえない!それならばお前たちも罪人になるはず……」
「え?そうなの」
ヨッジー
「う~ん、それは無さそうだな…俺達は違うエリアから来たから、この国のルールみたいなモノは適用外みたいだぜ、ステータスも何も変わってないし」
???
「別のエリア?」
「ああ、別の国から来たんです、国交が開かれてつい先日こちらの国に」
???
「そうなのか……助かったありがとう」
アネゴ
「礼を言われることなんてないわ、あなたからすれば罪人を追っていたのでしょ?お仕事の邪魔に」
???
「ちがう!」
男はそれまでの力尽きたような状態からは思いもよらない強い語気で否定した。
???
「俺は殺したくて殺したわけじゃない……」
そう言って無理やり立ち上がろうとしている。
???
「俺は……もう沢山だ」
そう言ってフラフラと歩き始める、その目線は暗い森を見つめる。
アネゴ
「そんな状態では危険よ」
???
「来るな!俺は誰も居ない所で……もう誰も……そしてそこで土に」
バコ!
シリアス雰囲気をぶち壊す先生の一撃!
先生
「ガキが偉そうなことを吹く出ない……ダインそのガキを運べ、ウィズ回復を」
俺&ウィズ
「はい!」
アクア
「手伝います」
ヨッジー
「厳しいね」
ゲンゾウ
「さすがじゃの」
俺達は町へと引き換えした。