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第七十一章 やくざと刑事の子供

警視庁の梅沢刑事は、数年前に捜査中、やくざの丸東組に監禁され、風俗店で強制的に働かされていた女性数名を救い出し、警察で事情を聞いた後、開放したが、やくざに連れ戻されないかと心配して個人的に、その後の面倒も見る優しい刑事でした。

その中の一人で、記憶喪失の女性が詳しい事を知っていると他の風俗嬢から聞いた。

彼女が怯えていた事もあり、秘密を知っている彼女が、やくざに狙われる可能性があると判断した梅沢刑事は、独身男性の部屋なので、ここに匿っているとは誰も思わないだろうと判断し、彼女をマンションの自室に連れ帰った。

しばらく同居していると情が移り、彼女に風俗嬢だった事を口止めして、警察には詳しく説明せずに、記憶が戻らない状態で結婚して、三人の子宝に恵まれた。

一番上が女の子で佳子と命名した。

気が強く、将来はパパのように刑事になって、悪い人を捕まえると言っている。

学校でも刑事気取りで、虐めっ子を撃退すると、虐めっ子のターゲットが佳子に移った。

気の強い佳子は、矢張り刑事気取りで、虐めっ子を、“無駄な抵抗は辞めなさい!”と捕まえて、長々と説教し虐めっ子が、“今日は塾の日だから、もう良いだろう、解ったから。“と逃げようとしても、佳子は、その子の腕を確りと掴み、逃げられないようにして、「塾より、この方が大切よ。何がどう解ったのか説明しなさい。」と本当に理解しているのかを確認しようとした。

虐めっ子は、佳子の説明を、全く聞いてなかった為に、何も答えられませんでした。

佳子は、「あなたは何も解ってないの?」と呆れて、再び長々と説教を始めた。

虐めっ子達は、「佳子を虐めると、仕返しされるというか、長々と説教されて、最後に確認テストされるぞ。お陰で塾には遅れるわ、親には怒られるわで、まいったよ。」と不満を漏らしていた。

別の虐めっ子が、「そりゃ、そうだろう、あいつの親父は刑事だぜ、お前はあいつに逮捕されて、臭い飯じゃなく、臭い説教をされたんだよ。お前は立派な前科者だな。」と冗談交じりで笑っていた。

別の虐めっ子が、「あいつではなく、別の奴を虐めても、俺は佳子に捕まって説教されたぜ。逃げようとしても、確りと捕まえられていたので、臭い説教を、たっぷりと聞かされたよ。振り解こうとしても、あいつ女のくせに力が強くて、どうにもならずに、友達との約束の時間に遅れて、罰ゲームさせられたよ。」と悔しがっていた。

すると別の虐めっ子が、「誰かを虐める時には、佳子刑事には見付からないように、隠れて虐めないと、逮捕されて臭い説教を聞かされて前科者になるな。」などと雑談していた為に、佳子の前では、虐めはなくなった。

二番目は男の子で博と命名した。気が弱く、警察官には向いていませんでした。将来の夢は、学校の先生になる事です。

佳子は学校で、刑事気取りで虐めっ子を撃退したり、説教したりしていたので、博にも将来の夢である、学校の先生の真似事をさせようとした。

佳子は、近所の小さな子供を何人か連れて来て、博に学校の先生の真似事をさせたが、上手く行きませんでした。

佳子は博に、「始めてなので、上手く行かなかったのね。今日は何故上手く行かなかったのかを考えて、次回は上手く行くように考えてね。」と博の為に助言した。

佳子もまだ子供だったので、上手く行かなかった原因は、博が上がり症だったとは気付きませんでした。

三番目も男の子で修と命名した。正義感が強く、将来は刑事か弁護士か検事か法律関係の仕事をしたいと言っていますが、気が弱いのが欠点でした。

佳子は、「修は気が弱いので、やくざと真面に交渉できないのではないの?弁護士だと、私の敵になる事もあるのよね?検事だったら味方同士だし、刑事が逮捕した犯罪者を取り調べるだけだから検事が良いと思うわよ。」と勧めた。

修は、「姉ちゃん、何故、検事や弁護士などの仕事の内容を知っているの?只、ドラマで見ただけでしょう?ドラマと現実は違うよ。」と反論した。

佳子は、「何も知らないくせに生意気言うのなら、勝手にしなさい。」と怒った。

修は、「姉ちゃんこそ、何を知っているの?僕は、父さんの知合いの検事さんから直接聞いたんだよ。検事になるには、司法試験という、とっても難しい試験に合格しなければならないし、犯罪者の証言した内容が真実とは限らないので、確り調べないと、騙されると言っていたよ。ドラマみたいに一時間では事件は解決しないし、凄く大変みたいだよ。」と反論した。

佳子は、「そうね。修みたいな、お人よしは、簡単に誤魔化されるわね。でもそんな事を言っていれば、何もできないのではないの?どんな仕事でも、それなりに大変よ。私の友達のお父様が、銀行マンなのだけれども、一日の業務が終わり、最後に今日のまとめを行った時に、一円でも合わなければ帰れないそうよ。たった一円の事で、何時間も帰れない事があると、自分の財布から、一円玉を出そうかと思う事もあるそうよ。この仕事は大変だからなんて言っていると、将来確実に失業よ。乞食になり、飢え死にするわよ。」と怒った。

修は、「解ったから、そんなに怒らないでよ。姉ちゃん。」と謝った。

修が何も解らない小さい頃に、母親の腕を火傷させるなど、色々とありましたが、梅沢一家は、幸せに暮らしていた。しかし丸東組が逃亡した風俗嬢を捜していて、見付かった。

梅沢刑事が出張で、子ども達が学校で、女房一人の時に、買い物に出掛けた所を丸東組に拉致された。

梅沢刑事は、丸東組に連れ戻されたと判断して捜査したが、拉致された証拠はなく、目撃者もいなかった為に、失踪扱いになった。

それから数年後、妻の事が心配な梅沢刑事は、丸東組を捜査中に、丸東組を訪れた後に、行方不明になった。

警察は捜査した上で、丸東組を家宅捜索したが、丸東組が殺害した証拠も遺体も覆面車も発見できませんでした。

組員も、「俺達だって馬鹿じゃないぜ。刑事を殺せば、どうなるか解っているよ。」と取り調べで証言していたので、結局梅沢刑事の行方は解らず、事件は迷宮入りした。

警察は家宅捜索の時に、証拠は何も発見できず、予め家宅捜索がある事が解っていたかのように、綺麗に掃除されて、片付けられていた為に、情報が漏洩した可能性があるとして調べたが、不明でした。

それは、情報は漏洩したのではなく、菊枝の透視力で、警察の予定を確認して、丸東組は家宅捜索の情報を掴んでいたからでした。

警察も、まさか神の手を持つと噂されている、世界的な名医と丸東組組長の女房が同一人物だとは気付かず、その証拠や遺体や覆面車が、芹沢外科医院に隠されていたとは、夢にも思っていませんでした。

組事務所では、ルミノール反応が出ないように、菊枝が化学的に処理していた事までは、警察も気付きませんでした。

外科医院で、ルミノール反応が出ても、不思議ではないので、外科医院では、そのような処理は行いませんでした。

孤児になった子供達は姉以外に、一番下の修も弁護士や検事ではなく、刑事になって、お父さんを殺した犯人を捕まえて、お母さんを捜すと決意した。

佳子は、「殺されたとは限らないわよ。悪までも行方不明よ。勘違いしないで。所で博はどうするの?」と確認した。

博は、「刑事は、いつ命を落とすか解らない危険な仕事だし・・・」とはっきりとしませんでした。

一方、丸東組組長の茂にも女の子が誕生した。

菊枝が捨て子されていた時に、一緒に入っていたメモのコピーを見せて、名前は菊枝か陽子と書かれていた事を説明して、茂と菊枝とで相談すると、この二つの名前は、全然似てないので、何か強い思いがあるのかも知れないと判断して、茂は子供の名前を考えるのが面倒でしたので、菊枝の出産した子供を陽子と命名した。

陽子の弟として長男も誕生したが、格闘技は陽子には敵わず、勉強も陽子に敵わなかった為に、やくざの跡取りとしては、陽子を考えていた。

テレジア星人の血を引く陽子に、拳銃は軽く、陽子が、「お父さんを連れて行くな!」と玩具の拳銃のつもりで引き金を引き、梅沢刑事も、「なんでこんな小さな子に、拳銃が片手で軽々持てて、引き金に指が届くのだ。」と驚きながら亡くなったとは、誰も気付きませんでした。

陽子は、やくざという商売柄、格闘技は小さい頃から仕込まれたが、小学生の頃から家業が嫌でした。

将来は、この家業とは関係ない所で生きて行きたいと考えて、勉強に励んでいた。

元々母親は秀才で、母親が家庭教師をしていた為に、成績はいつもトップクラスでした。

しかし周囲からは、「やくざの娘だから、どうせカンニングしたのだろう!」と後ろ指刺されて、どこへ行っても爪弾きにされて、友達はできませんでした。

しかし、やくざの仕返しが怖く、虐めはありませんでした。話相手はいても、仲の良い友達はできませんでした。

こんな生活は嫌でしたが、義務教育の間は学区がある為に、自由に転校ができませんでしたが、新任で熱血教師の秋山先生が、陽子を庇ってくれた。

秋山先生は他の生徒にも優しく、不良には厳しく、不良からのリベンジも、オリンピック柔道金メダリストの腕で、不良達を捩じ伏せていた。

学校では人気者の秋山先生に助けられて、なんとか卒業まで我慢できた。


次回投稿予定日は1月11日です。

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