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第七十章 浜田、不良グループに襲われる

菊枝が学会でしばらく出張する事になり、その噂を浜田が耳にした。

浜田は、その間に不良グループに襲われないか不安になり菊枝に相談した。

「菊枝さん、しばらく出張で病院を留守にすると聞きました。菊枝さんが留守の間に、不良グループに襲われないか心配です。」と胸の内を菊枝に明かした。

菊枝は笑いながら浜田に、「浜田さんが最初不良グループに虐められたのは、私達が中学生の頃でしょう?あれから何年経っていると思うのよ。心配しなくても、もう大丈夫だと思うわよ。」と返答したものの、浜田が怯えていた為に、まさかとは思いましたが、念の為に周囲を透視で確認すると、当時浜田を虐めていた不良グループを数人確認した。

菊枝は、“案外しつこいわね。確かに浜田さんは美人だけれども、ここまでしつこいのは悪戯目的以外に何かあるのかしら。”と不信に感じて、組員に事情を説明して護衛を依頼した。

菊枝は、「浜田さん、私はあなたの言うように、しばらく学会で出張するけれども、浜田さんが心配しているので、念の為に、あなたの護衛を私の知り合いに頼みました。あなたには気付かれないように護衛してくれます。」と浜田を心配させるので、不良グループが近くにいる事は伝えませんでした。

浜田は、「菊枝さんがしばらく病院を留守にする噂は本当だったのですか?個人病院で医師が出張すれば、患者の対応はどうするのですか?」と疑問に感じた。

菊枝は、「出張前に、診察は休診にする事を貼り紙しておきます。ただ、入院患者に出て行けとは言えないので、休診と言っても、看護師は休みになりません。」と疑問に答えた。

浜田は、「シフトで入院患者のケアー担当看護師は出勤になる事は解りますが、診察や受付担当の看護師はどうするのですか?」と確認した。

菊枝は、「いつもは人手不足で忙しい思いをしていると思いますが、診察が休診の間は、診察や受付担当の看護師も入院患者のケアーに回れますので、その間少しは楽になると思いますよ。」と菊枝の考えを説明した。

浜田は入院患者の事が気になり、「菊枝さんが留守の間に、入院患者が急変すれば、私達はどう対応すれば良いのですか?それにこの事は、他の看護師も知っているのですか?」と自分だけ知らなかったのかと確認した。

菊枝は、「入院患者の容態に変化があれば私の携帯に連絡して下さい。もし、それで対応できなかった場合には、大日本医療大学第一外科の教授に、緊急搬送できるように協力依頼していますので安心して下さい。この事は明日の朝礼で説明します。浜田さんには不良グループの事もあるので、発表前に説明しておかないと心配すると思ったものですからね。」と浜田を安心させた。

浜田は菊枝に、「お気遣い、有難う御座います。」と感謝していた。

浜田は菊枝が出張した後、一人で帰るのは恐く、私に気付かれないように護衛を依頼しているといっても、周囲にそれらしい人は見当たらず心配でしたが、菊枝を信じて一人で帰る事にした。

不良グループが、最近浜田一人で帰っている事に気付いて、仲間に携帯で連絡して、車で拉致しようとしていた。

不良グループが、人通りの少ない通りで、浜田を車で拉致して移動中、「高校生の時は菊枝に邪魔されて説明だけで終わったが、今日こそは、導尿管や浣腸器を使って、強制的に失禁させてやるからな。」等とニヤニヤしながら説明していると、丸東組の組員が態と車を接触させた。

黒塗りのベンツから丸東組の組員が降りて来て、「おい、こら!どこを見て運転しているんじゃ!」と怒鳴った。

不良グループは丸東組のバッジを見て真っ青になり、風俗が資金源の丸東組に浜田を突き出して、「この女を差し上げますので勘弁して下さい。」と何とか逃れようとしていた。

組員は、「お前、俺をなめてんのか?後部座席に乗っていた女が車を運転していた訳ないだろうが!」と組事務所に連絡して車で迎えに来させて、浜田と不良グループを組事務所へ連れ込んだ。

組員が菊枝に連絡して事情を説明すると菊枝は、「学会は今日で終わりました。一晩泊まって帰る予定でしたが、泊まらずに帰ります。」と浜田が不安がっていると思い、直ぐに帰る事にした。

帰る前に菊枝は浜田の家に連絡して、今日は菊枝の家に泊まる事を伝えた。

夜中に組事務所に帰った菊枝は浜田に、「浜田さん、どうしたの?大丈夫?」と浜田の事を心配しながら、組事務所に入って来た。

浜田は聞きなれた菊枝の声を聞くと、涙が溢れて、「菊枝さん、助けて~」と泣きながら助けを求めた瞬間に組員達が、「お帰りなさい、姉さん。」と総立ちになったので浜田は組員の予想外の反応に驚いていた。

不良グループも驚き、「菊枝、お前丸東組の姉さんになったのか?」と信じられない様子でした。

組員が、「姉さんを呼び捨てにして、丸東組を馬鹿にしているのか?」と胸倉をつかんで睨んだ。

不良グループは組員に睨まれて、やばいとビビっていた。

菊枝は組員に、「こいつらがしつこく浜田さんを狙っていた理由は聞いたか?」と確認した。

組員は、「はい、高校生の時に、彼女に性的悪戯している様子を撮影してDVDを売る約束を丸西組の組員としていたそうです。悪戯する道具の購入資金として金銭を受け取っていた為に、今、丸西組の組員に脅迫されているそうです。」と報告した。

菊枝は、「丸西組の組員は何故、浜田さんに目を着けたの?」と疑問に感じて確認した。

組員は、「こいつらが中学生の時に、浜田さんを虐めている様子を偶然見て、美人だったので思いついて、高校生になった時に、丸西組の組員がこいつらに話を持ちかけたらしいです。」と菊枝に報告した。

菊枝は、「風俗は私達の縄張りよ、丸西組の組員の名前を聞き、締め上げなさい。」と指示した。

組員は、「姉さんの事だからそういうと思い、先ほど締め上げて確認しました。裏社会にDVDを高値で流して、要望があれば浜田さんを拉致して売り飛ばそうとしていたらしいです。」と返答した。

菊枝は、「丸西組の組員は、何故最初から浜田さんを拉致して自分達で撮影しなかったの?何故不良グループに依頼したの?」と不思議そうでした。

組員は、「DVDがどの程度売れるか解らず、拉致してリスクを負うだけの価値があるのか解らなかった為に、警察が動き、やばくなれば、こいつらに罪を押しつけようとして頼んだらしいです。」と説明した。

菊枝は組員に、「やる事が素早いわね。さすが茂の部下だけの事はあるわね。解りました、有難う。」と返答して、不良グループを、「丸西組の組員には、私が丸東組の幹部として話を着けますので、今後、浜田さんを襲えばうちの組員があんた達を殺すわよ。」と脅した。

そこへ茂が来て、「丸西組の組員とは俺が話を着ける。」と菊枝の透視力を失いたくなく、菊枝に危険な事をさせられないと判断した。

組員が、「態々組長や姉さんが話を着けなくても、俺達が話を着けます。」と点数稼ぎの為に提案した。

菊枝が、「解りました。この件は任しますが、もし話が着かなければ浜田さんが危険なので、その組員を拉致しなさい。」と指示して話が決まった。

菊枝が、「浜田さん、驚かせて御免ね。浜田さんが不良グループに狙われていた裏に、こんな話があったとは私も気付きませんでした。蛇の道は蛇と言うでしょう?あとはこいつらが話を着けるので心配しないでね。家には先ほど私から連絡しておきましたので、今日はここに泊まってね。」と浜田に夜道を歩かせる事を避けた。

茂は何故浜田を泊めるのか理解できず、「お前が送っていかないのか?」と確認した。

菊枝は、「私の車は高速を長距離走ったのでガス欠よ。組員に送らせれば誰かに見られると、真夜中なので変な噂になると困るのでね。」と説明した。

不良グループには、「もうあんた達には用がないので帰りなさい。」と追い出した。

不良グループが組事務所をでると、茂から指示されて裏口から出てきた組員数人に呼びとめられて、「これで済んだと思うなよ。手間を取らせた上に、姉さんを呼び捨てにした責任は取ってもらうからな。近々に組員が迎えに行くが、逃げれば地獄の果てまで追い駆けてぶっ殺すぞ。周囲に引っ越しすると挨拶しておけ!」と浜田と菊枝に気付かれないように脅した。

不良グループは真っ青になり失禁して、泣きながら走って逃げ帰った。

浜田は、「関西病院に在籍していたころ、確か菊枝さんはやくざと結婚したと聞きましたが、まさかやくざの中でも特に恐いと恐れられているやくざの組長と結婚したとは思わなかったわ。」と予想外の事に驚いていた。

菊枝は、「職業と惚れる事とは関係ないわよ。たまたま私が惚れた相手が丸東組の次期組長だっただけよ。」と返答した。

それを聞いて茂が、「もてる男はつらいな。」と笑っていた。

菊枝が、「何を言っているのよ。茂が何度も病院に来るからでしょう。ったく自意識過剰なんだから。」と呆れた。

茂は、「しかし、歴代組長は殆ど結婚してないぜ。拉致した女で自分好みの女を犯して出産させた子供を跡取にするか、組員を昇格させていたぜ。俺はちゃんと結婚したんだから矢張りもてるんだ。」と自負していた。

菊枝は、「仕方ないわね。私が茂に惚れたから、この話はどう頑張っても私の負けね。」と諦めた。

浜田は、「いくら菊枝さんの家でも、やくざの家で一人寝るのは恐いわ。」と怖がっていた。

茂が、「浜田さんは菊枝の同級生だから俺達の部屋で一緒に寝るか?」と浜田の腕を掴んで連れて行こうとした。

菊枝が止めて、「あなた、何するのよ。益々怖がっているじゃないの。私が客人部屋で浜田さんと一緒に寝るから、今夜はあなた一人で寝てね。」と浜田を連れて行った。

夜、蒲団に入ってから浜田は、「菊枝さん、惚れた相手がやくざだと知った時に、結婚は躊躇わなかったの?」とやくざの本部で眠れずに雑談を始めた。

菊枝は、「私は惚れる前から茂がやくざだと知っていたわ。しかし相手を冷静に見られれば、惚れた相手と結婚するのが一番良いわよ。私は相手が犯罪者でも乞食でもやくざでも、惚れれば結婚したと思うわよ。私の場合は、それがたまたまやくざの跡取だっただけで、全然躊躇わなかったわよ。でも波風は立てたくなかったので、両親には内緒にして茂は実業家だと説得して結婚したけれどもね。」と菊枝が結婚を決意した経緯について説明していた。

浜田は、「相手を冷静に見られるかどうかと結婚とは関係あるの?」と両者の関連性がよくわからなかったので聞いた。

菊枝は、「恋は盲目と言うでしょう?恋愛している時は、相手の良い所だけ見えていて、結婚してから悪い所が見えて来るのよ。それで離婚する人もいるのよ。それとは逆に見合いの場合は、結婚する前は相手の悪い所を捜して、結婚後に良い所が見えて来るので、離婚する人が少ないのよ。」と説明した。


次回投稿予定日は1月8日です。

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