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第六十六章 菊枝、丸東組組員と決闘する

早朝菊枝の勤務が終わり、茂を自分の車に乗せて、「まだ刑事さんが張り込んでいるので、その毛布の下に隠れて!」と忠告して病院を出た。

梅沢刑事も、芹沢外科医が帰宅した為に思い過ごしだったと判断して城刑事と署に戻った。

茂は車の中で、「先生、昨晩俺に惚れたって言っていたが、本当なのか?こんなやくざな俺でも良いのか?あんたのように、家柄も良く、世界一の名医だと言っても過言じゃないほど優秀な外科医だったら、結婚相手は幾らでもいるだろう。」と菊枝の事を疑っていた。

菊枝は、「男の人は、自分より優秀な女性とは結婚したがらないので、結婚相手は幾らでも、という事はないですよ。それに私の家柄は良くないですよ。私は捨て子で、実の親は不明です。今の両親とは、養子縁組で親子になっただけですのでね。私はそれを高校生の時に知り、ショックで一年程ぐれていました。これでもスケバンの菊枝といえば、喧嘩が強い事で恐れられていたのよ。やくざは好きではないけれども、惚れる事は、家柄や職業とは関係ないわよ。東城さんが、何度も病院に来るからでしょう!この気持ちをどうしてくれるのよ!」とプライベートな話を始めて茂の前でした。

茂は、昨日俺の腕を簡単に捩じ上げた事やベッドに簡単に押し倒した事などからスケバンの菊枝の話もまんざら嘘ではないと判断して、「しかし、スケバンの菊枝が先生の事だったとは驚いたよ。実は俺の子分で数人、スケバンの菊枝と果たし合いをしてボコボコにされた組員がいますが、それが先生の事だったとはな。世間は狭いものだな。本気で俺に惚れたのだったら、俺も先生には不満はないので俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」と菊枝の透視力を手に入れようとして、結婚を仄めかした。

菊枝は、「やくざは喧嘩のプロのイメージがありますが、今の話だと、やくざの組事務所にいる東城さんの子分って、弱っちいのばかりみたいね。」と笑い即答を避けた。

茂は、“菊枝は透視力だけではなく度胸もあり喧嘩も強い。組員が怪我した時も外科医なので手当ても任す事ができる。やくざの女房はこの女しかいない!”と菊枝と結婚しようと考えたが、こんな美人女医が、喧嘩に強いだなんてとても信じられなかった為に、しつこいようだが本当かどうか再度確認した。

菊枝は、「私の事が信用できないのでしたら、決闘しても良いわよ。でも今の話だと、東城さんの子分は、弱っちいのばかりみたいね。一対一では決闘にならないと思います。東城さんは怪我しているので、東城さんの子分で、喧嘩に自信のある組員数人がかりで、私にかかって来なさい。喧嘩だけは誰にも負けた事がないと証明してあげます。」と話合いでは茂も納得しそうもなく、説得するよりも決闘した方が手っ取り早く結論が出ると判断して決闘を申し込んだ。

茂は、“俺の子分の喧嘩の強さは半端じゃないぞ。本当にそんなに喧嘩が強いのかな?”と半信半疑でした。

菊枝に組事務所まで送って貰い、そのまま菊枝を組事務所に連れて行った。

茂は組員に、「俺達は、今から、あれをするので、誰も部屋に入るな!」と組長室へ菊枝を連れ込み、もし拒否すれば、組員数人で押さえ込みレイプしようと考えていた。

菊枝は、“私はまだ付き合うと返事してないのに気が早いわね。もう性行為するつもりだわ。私もこの人は嫌いじゃないし積極的な所が好きだわ。”とそのまま茂と組長室へ入った。

その後、しばらくすると組長が朝帰りして組長室へ入ろうとしたので組員の哲也が止めた。

哲也から事情を聞いた組長は、「あいつに、そんな女がいたのか?どんな女だ?どうせブスだろう!」と馬鹿にした。

哲也は、「いいえ若くて、なかなか可愛い女でしたよ。しかし、あの女、どこかで見た事があるけれどもどこだったかな・・」と菊枝の事を説明した。

組長は、「本当か?あいつ、そんな女をいつの間にどこで拾って来たのだ?見覚えがあり若くて可愛いという事はタレントか?結婚するのかな?もし結婚すればお前達の姉さんになるのだからちゃんと挨拶しておけよ!しかし、タレントに、やくざの女房は務まるかな?」等と色々組員達と雑談していると、やる事をやってしまった茂が組長室から出て来た。

茂は、「あっ!親父、帰っていたのか?紹介するよ。俺の嫁さん候補の菊枝さんです。」と紹介した。

組員達は、「姉さん、今後、宜しくお願いします。」と挨拶した。

組長は、「菊枝さんですか?茂の父親の俊介で、ここの組長です。」と挨拶した。

茂は、「送って行くよ。」と車のキーを机から出して、菊枝の家を確認しようとしていた。

菊枝は、「私が車だって知っているじゃないですか。それより、東城さんは怪我しているので無理しないでね。それでどう?先程の約束ですけれども、今から屋上かどこかでやって見ますか?」と早くケリを着けようとしていた。

茂は、“本当にやる気のようだな、しかし今日はメンバーが揃ってない為に、別の日にしよう。“と考えていた。

「いやそれは日を改めましょう。今日は顔合わせという事で。」と、まだ半信半疑の茂は、菊枝の確認の意味で、以前スケバンの菊枝にボコボコにされた哲也に確認した。

「お前、昔、女にやられたんだってな?組員から強そうなのを選んで、四、五人で襲えば勝てるか?」と確認した。

哲也は、「えっ!スケバンの菊枝は、一年程で姿を消したので、やくざに殺されたという噂でしたが、生きていたのですか?どこで見付けたのですか?」と茂の予想外の質問に驚いていた。

茂は、「見付けたというより、お前ら、哲也のおかげで、弱っちいと馬鹿にされたんだぞ!今度は数人で掛かって来いと挑戦されたのでな。今日は、ほんの顔合わせだよ。」と説明した。

哲也は、「えっ?顔合わせ?」と茂と一緒にいる女性が、スケバンの菊枝だとは全く気付いていませんでした。

菊枝が、「あんた、あの時の小便タレじゃないの?勝手に殺さないでくれる?」と馬鹿にした。

その一言で哲也も気付いて、「あっ!思い出した!お前はスケバンの菊枝!」と菊枝を指差して驚いていた。

菊枝は、哲也の胸倉を掴み、「東城さんがね、私が本当に喧嘩に強いのかどうか知りたいらしいので、喧嘩に強い組員を、四、五人集めて、同時に掛かってらっしゃい。鎖や木刀などの武器を使っても良いわよ。私はお子ちゃまのお遊戯のお相手をしている程、暇じゃないので、あんた見たいな小便タレの弱っちいのじゃないのをね。」と胸倉を掴んでいる哲也を突き飛ばして帰った。

そのあとで、哲也は組長や他の組員達に大笑いされて、「お前、小便タレなのか。」と馬鹿にされた。

組長は、「茂、先ほど菊枝さんが約束だとか言っていたが、結婚しようとしている女と何故決闘するのだ?」と決闘の経緯が理解できない様子でした。

茂は透視力の説明をして、「医学的知識もある為に、組員が怪我した時に頼りになる。やくざの女房にするのは、あの女しかいないと思ったが、どうしても喧嘩が強いとは信じられなかったので確認すると、今回の決闘になりました。」と医師である事の説明を避けた。

しかし医師という多忙な職業柄、デートはたまにしかできずに、その最中も緊急呼び出しがあり、デートも碌にできませんでした。

そんな中、小便タレと馬鹿にされて頭に来た哲也は、喧嘩に自信のある組員数人を選び、茂と組長に、「同時に襲えば、絶対に勝てる!」と自信をもってメンバーを紹介した。

決闘当日、菊枝は、「先日も言ったように、素手でなくても、木刀や鎖やヌンチャクなどの武器を使っても良いわよ。でないと決闘にならないと思うのでね。あんたらみたいな小便タレのお子ちゃま相手なので、私は素手で充分ですけれどもね。」と余裕で笑っていた。

決闘のメンバーに選ばれた、喧嘩に自信のある組員は、「このガキ!言わせておけば何がお子ちゃまだ!なめやがって、今の言葉、後悔させてやる!」と怒っていた。

菊枝は、「どうしたの?怒った?でしたら、いつでもどうぞ。私を倒せれば、今の言葉を取り消してあげるわよ。」と腕組して余裕でした。

茂と組長と哲也の前で、組員達は菊枝を取り囲んだ。

菊枝は腕組みした状態から動きませんでした。

茂は、“哲也が自信を持って選んだこのメンバーは確かに最強メンバーだ。このメンバーだと怪物でも倒してしまいそうだ。いくら菊枝が強くても、このメンバーではどうにもならないだろう。途中で止めるか。“とどこで止めるか考えていた。

木刀を持って菊枝の背後に回った組員が、菊枝はスキだらけじゃないかと、木刀で背後から襲うと、テレジア星人の血筋で後も良く見える菊枝の空手チョップで簡単に折れて組員が折れた木刀を見ながら、「えっ!?」と思った時には、菊枝に胸倉を掴まれていて、投げ飛ばされ頭を強く壁にぶつけて、気絶した。

鎖を振回していた組員も、鎖を菊枝に握られて、凄い力であっという間に引き寄せらて、菊枝の膝蹴りで血反吐を吐き、菊枝に蹴っ飛ばされて倒れた。

同時に二人の組員が倒されて、今迄余裕だった残りの三人も身構えて真剣になった。

ヌンチャクなどの武器も、菊枝には全然歯が立たず、五人とも五分程で立てなくなった。

菊枝が哲也に、「喧嘩に強い組員を数人集めろと言ったのに、こんな弱っちいのを集めて私をなめてんのか?」と睨みながら迫ると、哲也は血相を変えて逃げ帰った。

菊枝は茂に、「武器のハンディーを与えても決闘にならなかったわね。東城さんの子分って、これで強いっていうのでしたら、矢張り弱っちいのばかりですね。この組員達の体調が思わしくなかったら、病院に連れて来てね。私が診ますので。」と菊枝は笑顔で息切れもしていませんでした。

茂は、“そんな馬鹿な!このメンバーがこんなに簡単に倒されるとは・・・”と菊枝の強さに驚きを隠せませんでした。

菊枝が去った後で組長は茂に、病院で診るとはどういう意味なのか確認して、菊枝が、神の手を持つと噂されている、有名な超一流外科医だと知り驚いていた。

組長は、「専門医が手術不可能だと見離した患者の手術を何度も成功させている、あの噂の名医の事か?組員が敵対する組に襲われて死にそうな時でも、下手な外科医より、世界的名医に頼めばなんとかしてくれて、病院から足がつく事もないな。スケバンの菊枝の噂は俺も聞いた事があるが、まさかこれほどだとは思わなかった。このメンバーをこんなに簡単に倒してしまうとは何度も修羅場をくぐりぬけてきたようだ。やくざの女房に最適だ。茂!あの女と結婚しろ!」と命令した。


次回投稿予定日は、12月22日です。

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