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第八十九章 博の同僚、事件に巻き込まれる

このような事件があったとは知らない梅沢博の次の派遣先企業は、部品の販売などを行っている商社でした。工場で勤務していた実績から、工場内部の事情に詳しい事が派遣契約の決め手になった。

ある日、女子社員の両親が田舎から彼女のマンションに出て来て、数日後田舎に帰ってから連絡できなくなった。

帰りに事故に遭ったのかと思い、心配になり警察に確認した。

事故の情報もなく、無事に帰った事を確認したいのですが、田舎なので近くに民家もなく、隣の家の人に見に行って貰う訳にもいかずに困っていた。

悩んだあげく、今週末の前後に有給休暇を取り田舎に帰ろうとして有給休暇許可願いを提出した。

彼女の上司は、「週末は一週間のまとめを行い、夫々休日に来週の予定を考えて、週始めに、一週間の予定を決めるので、こんな日に休まれると困ります。事情は解りますが、週末か週始めかのどちらかにして下さい。可能であれば週末の方が専務に睨まれずに済みます。」と説明した。

彼女は、「専務は週始めに何かあるのですか?」と不思議そうでした。

上司は、「専務が会社の最前線で仕事していた頃の上司は元日本陸軍の軍人です。私も詳しくは知りませんが、軍人は、月曜日のような週始めに休む事を嫌います。二日酔いであろうが熱があろうが月曜日の朝は必ず出て来いと言います。一週間仕事をしたのだから、必ず何か上司に報告する事がある筈だ。這ってでも出て来て、体調不良であれば、報告後帰れと言います。報告するのは月曜日でなくても週末でも電話でも良いと思いますが、軍人はそうらしいです。そのような上司に鍛えられた専務も同じ考えのようです。今後の為に、君も覚えておいた方が良いと思いますよ。」と専務の考え方を説明した。

困っている様子でしたので、博は姉に連絡して地元の警察に依頼できないか相談した。

佳子は、「今、担当している事件で、その家へ明日向かう事になりました。田舎で電車では乗り継ぎが不便なので、覆面パトカーを使用します。その家の人は、何か事件に巻き込まれた可能性があります。可能であれば、事情を聞きたいので明日一緒に来て頂けるように説得して!」と頼まれた。

博は事件の事や姉が刑事である事を説明すると、両親の事を心配している彼女が、何らか事件に捲込まれたのではないかと益々心配すると思い、「私の姉が、仕事で明日あなたの田舎に車で行きます。今、連絡すると、便乗させて貰えるとの事でした。週末や週始めは上司も嫌な顔をしていたので、明日から数日間の有給に変更すればどうですか?」と助言した。

彼女は見知らぬ人物と車で移動するのは不安で、しかも厚かましく思われると感じて断ろうかと思ったが、両親の事が心配で、一刻も早く両親の元へ向かいたく、電車は満席で切符がとれず、更に同僚の博から熱心に説得された事もあり了承した。

彼女が上司と相談して、明日から数日休みを取り、田舎に帰る事に決まった。

博から連絡を受けた佳子は、朝一番に博を連れて彼女の自宅に立ち寄り、東北の田舎に向かった。

覆面パトカーでしたので、彼女は警察車両だとは気付きませんでした。乗っているのは、後部座席の右側に博の姉、佳子と運転手役の刑事に、助手席に上司の警部と後部座席の左側の彼女を合わせて、四人で現地に向かった。

高速道路を走行中、地元警察から無線が入り、“玄関などは施錠されていて、新聞が数日間郵便受けに溜まっていました。旅行か事件に巻き込まれたのかは不明です。”と連絡があった。

警部が彼女に、「今、無線で聞いたように、あなたのご両親に用事があり、先程訪ねた者から今連絡があり聞いた通りです。旅行などに出かける事は聞いていませんか?」と確認した。

彼女は、両親に何の用があり、この人達は何者なのか心配でしたが、同僚の博の姉だし、今は高速道路を走行中でどうにもならないと判断して、しばらく様子を見る事にした。

彼女は、「家の鍵は私も持っています。旅行の予定等は、特に聞いていません。」とこの人達の正体も解らず心配そうに返答した。

警部は、この様子だと急いだ方が良いと判断して、運転手役の刑事に、「緊急走行しろ!」と指示した。

彼女は、“えっ!?緊急走行?”と思った瞬間に赤色回転灯を点けてサイレンを鳴らしたので、彼女はこの車が警察車両である事に気付き、同時のこの人達の正体も解った。

佳子は、「大丈夫、あなたのご両親は、必ず私達が見付けますので安心して下さい。」と心配そうにしている彼女の肩を、そっと抱きしめた。

彼女の田舎の家の近くまで来ると、サイレンを止めて、後は彼女の案内で家へ着いた。

警部が、「ご両親を呼んで来て下さい。」と何事もない事を祈って、彼女に依頼した。

彼女が鍵を開けて、「お父ちゃん、お母ちゃん、いないの?」と家の中へ入った。

しばらくすると、家の中から彼女の悲鳴が聞こえて、「け、け、刑事さん、来て!」と彼女が叫んだ為に、刑事達は一斉に家の中へ入ると、彼女の両親は刃物で胸を刺されて死亡していた。

死体は死後数日経っていましたが、飲み残しのビールは、まだ冷えていた。先程まで人がいた事は間違いありませんでした。

警部は、「ビールはまだ冷えている!殺人犯がまだ家の中にいる可能性がある。各自拳銃確認!油断するな!」と指示した。

佳子に彼女と一緒にいるように指示して、他の刑事と、家の付近と家の中を捜索していた。

しばらくすると、二階の押し入れの中に隠れていた、返り血を浴びた犯人を発見した。血の付いた出刃包丁を持って抵抗する犯人に拳銃を向けて、出刃包丁を捨てるように命令した。

犯人はやけくそになり、命令を無視して出刃包丁を振り回して刑事達に襲い掛かってきた為に、止むを得ず足を狙い発砲した。

犯人が転倒し、出刃包丁を落としたので、痛がっている犯人を取り押さえて、殺人と公務執行妨害の現行犯で逮捕した。

地元警察に連行し、何故死体の傍を数日離れなかったのかを確認すると、「一週間前に駅のホームで電車待ちをしていた時に、ホームに置いたカバンが、隣の女性のカバンと同じで間違えました。麻薬が入っていたので、どうしても取り戻さなければならず、カバンの中身からこの家を捜し出した。田舎なので誰も来ないと思い、家中捜していると、突然娘さんが数人の人たちと帰ってきたので慌てて隠れました。」と供述した。

刑事は、「彼女はカバンをホームに置いて弁当を買いに行っている間に、あなたがいなくなり、弁当をカバンに入れようとしてカバンを持った時に、重さなどから気付き、カバンを目印にあなたを捜しましたが、別の電車に乗ったらしく見付からなかった為に駅員に事情を説明して届けていました。数日間駅に保管していましたが、落とし主が現れませんでしたので警察に届き、警察で中身を確認すると麻薬でした。事情を聞こうとして刑事が拾い主の自宅に連絡しても電話に出られませんでしたので、地元警察に連絡の上、今日、こちらに来ました。ですから、いくら家の中を捜しても、家の中には麻薬はないよ。あんたも、まず駅に確認すれば、殺人犯にならなくても済んだものを。でもその前に、彼女のように重さなどから、解らなかったのかね?」と確認した。

犯人は、「麻薬を持っていた為に緊張していて、そこまで気が回らなかった。」と後悔していた。

殺人事件は解決して、麻薬に関しては、麻薬担当部署に任せたが、彼女は精神的ショックで、しばらく会社を休む事になり、同僚達は彼女の業務を皆でカバーしていた。

そんなある日、昼食後、博は同僚と公園のベンチに座り、彼女はいつから会社に出勤するのだろと雑談していると、覆面パトカーでパトロール中の佳子が声を掛けた。

佳子も含めて彼女の話をして佳子は、「彼女は相当ショックを受けていたので、しばらく休むかもしれませんね。」などと雑談して佳子が仕事に戻ろうとした時に、博の同僚が引っ手繰りに逢い、犯人はエンジンをかけて停車させておいた車で逃走した。

佳子は博の同僚を覆面パトカーに乗せて、追跡しながらパッシングとクラクションで警告した。

博の同僚は、「そんな事をすれば逃げられる。」と慌てていた。

佳子は、「これで止まってくれると、事を荒立てなくても済みますのでね。」と冷静でした。

博の同僚は不機嫌そうに、「もう、充分荒立っている!」と怒っていた。

佳子は、「そうね、停車しそうにないわね。」と諦めて、赤色回転灯を点けてサイレンを鳴らし、助手席の刑事に、「停車させなさい。」と指示した。

助手席の刑事がスピーカーで、「前の車、左によって停車しなさい。」と停車するように命令した。

それでも停車しなかった為に佳子は、「本署に応援を依頼して。」と指示した。

助手席の刑事が無線で本署に、車の車種、色、ナンバーと現在位置、逃走方向を連絡して、応援のパトカーと犯人を追詰めた。

犯人はパトカーに挟み撃ちにされたので、車を乗り捨てて歩道を歩いていた女子高生にナイフを突き付け人質にして、近くの喫茶店に逃げ込み他の客や店主を追出した。

佳子から連絡を受けた上司は、警官隊を現場に急行させて喫茶店を取り囲み、刑事が犯人を説得していた。

佳子は後部座席に移り博の同僚に、人命優先なので人質救出を優先しカバンは後回しになる事を説明していると、別の刑事が助手席に乗り込んで来た。

佳子に、「車のナンバーから犯人の事が解りました。犯人は丸西組の組員で、拳銃を所持している可能性がある為に拳銃携帯命令が発令されました。」と佳子に拳銃を渡した。

犯人が出前を要求したので、佳子が女性の方が犯人も油断すると上司を説得すると、上司は防弾チョッキの着用を条件に許可した。

佳子は女店員に変装して喫茶店に出前を届けた。

佳子が態と漬物を落とすと犯人は、「お前!何をしている!」と警官隊に取り囲まれてイライラしていた。

佳子は、「刃物を私に向けているので怖くて震えているのよ。」と怯えている芝居をしていた。

犯人は警官隊に包囲されて落着かず、「もう良い!丼まで落とされるとかなわん!出て行け!」と出前を取ろうとして、人質から離れた一瞬のスキを突き、佳子が犯人を投げ飛ばした。

佳子は犯人の腕を捩じ上げて人質に、「警察よ!早く逃げなさい。」と指示した。

人質が喫茶店から逃げ出して、それを確認した警察が突入して犯人を逮捕し、博の同僚のカバンも戻って来た。


次回投稿予定日は3月28日です。

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