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第八十章 陽子の正体、教頭先生にばれる

陽子の実家では、以前、陽子が浜辺で三人の不良に絡まれた事を父母懇談会で知った茂が、陽子を護衛する目的で、学校の近くに組事務所の建設を計画していた。

その計画をワンクリック詐欺の件で、組員のサブちゃんに電話した時に聞いた陽子は、“学校の近くに組事務所が建設されると、やくざの組長の娘だとばれるかもしれないわ。そうなれば、何の為に遠い田舎の高校に進学したのか解らなくなり、またやくざの娘として爪弾きにされるかもしれないわ。“と不安そうでした。

陽子は父親に電話して、「ちょっと小耳に挟んだんだけれども、私が通学する高校の近くに組事務所を建設するらしいわね。そんな事は辞めて!」と組事務所建設に反対した。

茂は、「そんな事を誰から聞いたんだ?」と組事務所建設の話題を口の軽い組員の話題にすり替えようとしていた。

陽子は話題を変えられないように、「誰だって良いでしょう!矢っ張り本当だったのね。私に内緒で何をコソコソしているのよ!何でも良いから辞めて!」と強硬に反対していた。

茂は、陽子が強く反対するので、「先日の父母懇談会で聞いたが、陽子、お前浜辺で友達と遊んでいると不良に襲われたらしいな。陽子が地方の高校に進学する我侭を聞いたのだから、今度は俺の言う事を陽子が聞く番だ。お前の用心棒として、お前がよく話をしていた組員を常駐させる。」と組事務所建設の必要性を説明した。

陽子は、「私が、あんな腰抜けに負ける訳ないでしょう。私は一人で大丈夫だから、組事務所の建設は辞めて!」と組事務所建設を中止させようとしていた。

茂は、「先日は、たまたま腰抜けだっただけだろう。いつもそうだとは限らないぞ。俺達に敵対する組が、陽子を狙う事も充分考えられるからな。」と陽子の反対を押し切り、組事務所建設を強行した。

茂は組事務所が完成するまで陽子は反対すると感じた為に、それに対抗する手段として、組長一族は、常時組員が護衛する事にした。

菊枝は、「外科医院の前で組員にうろうろさせないでよ。目立たないようにしてよ。」と何で私まで巻き込まれるのよと不満そうでした。

学校側も、学校の近くに、やくざの中でも特に恐いという噂のやくざの組事務所ができたので、対応に困り生徒達には、「危険ですので絶対に近付かないように。」と指導していた。陽子は何も問題が起こらない事を祈っていた。

茂は父母懇談会以来、事ある毎に、陽子に丸東組の五代目組長に就任するように説得していた。

陽子は、「私はまだ高校生よ。先の事はどうなるか解らないわよ。」と断っていた。

茂は、「そうだな。先の事は確かに解らないな。この俺がぽっくりと逝ってしまう事もあるしな。そんな時の為に、お前に後の事を頼んでおきたいんだ。」と説得していた。

陽子は笑いながら、「大丈夫よ。父ちゃんは殺しても死なないわよ。それに母ちゃんがいるから、まさかの時は神の手で助けてくれるわよ。」と返答した。

茂は、「いくら菊枝が神の手を持つ名医でも、死人を生き返らせる事はできないだろう。そんな時の為に、お前が俺の跡を継げ!」と説得した。

陽子は、「その時はその時よ。組員も何人もいるし何とかなるわよ。精々そうならないように暗殺には充分気を付ける事ね。父ちゃんが詰まらない事を考えている今この時も、ライフルで狙われているかもしれないわよ。」と笑っていた。

茂は、「陽子、お前、変な事を言うなよ。窓が気になるじゃないか。」と窓から外を眺めていた。

茂は陽子が、なかなか引き受けてくれないので、菊枝が卒業した大日本医療大学医学部は狭き門なので、まさか合格しないだろうと判断して茂は陽子に、「母と同じ大日本医療大学医学部に合格した場合には進学する事を認める。それ以外の場合は、丸東組の五代目組長に就任しろ!」と条件を出した。

陽子は合格する自信はありませんでしたが、これ以上の説得は無理だと判断して、「解ったわ。これで取引成立ね。」とその条件を呑んだ。

ある日、陽子が通う高校の教頭先生が、単車で学校から帰宅する時に、急いでいた為に、危険だと思いつつも、丸東組の組事務所がある近道を通った。

途中、道路の小石で前輪が滑り転倒した。骨折したらしく足が動かず、出血もしていた。携帯電話は転倒した時に壊れたらしく、全く反応しませんでした。転倒した場所が、丸東組組事務所の前でしたので、生徒達は近くを通ってなく、一般の人も避けて通る道なので困っていた。

丁度そこへ陽子が通りかかり、「教頭先生、大丈夫ですか?」と駆け寄った。

教頭先生は、「東城!お前何故ここにいるのだ。このあたりは危険なので、学校として通る事を禁止している筈だ。どこへ行くのだ?」と聞いた。

陽子は、“まずい、まさか組事務所へ行く途中だったとは言えないし・・・”と思い、咄嗟に、「先程教頭先生が、こちらの方へ曲がられてから事故を起こしたような音がしたので、もしや教頭先生では?と思い来てみました。しかし、今は、そんな事はどうでも良いでしょう。この状態では、私一人ではどうにもなりません。助けを呼ばないと駄目ですね。」と後を見ずに、後のドアを叩いて、「誰か来て!」と助けを呼んだ。

そのドアが丸東組の組事務所のドアでしたので、教頭先生は慌てて、「東城さん、そこは・・・」と陽子を止めようとしたが既に遅く、中から上半身に刺青をした組員が出て来た。

陽子は、また後を見ずに、「怪我人よ、中に入れて救急車を呼んで!」と指示した。

教頭先生は更に慌てて、「ここはまずい!」と慌てた。

陽子は、「今は、そんな事を言っている場合じゃないでしょう!教頭先生、出血が止まらないよ。失血死したらどうするの?皆、悲しみますよ。今日の所は何も言わずに私に任せて下さい。大丈夫ですから。」と説得した。

中から組員数人出て来て、教頭先生を抱えて中へ入った。

事務所のソファーに寝かされた教頭先生は、その横に立っている陽子に、「東城、お前、やくざと変な事に巻き込まれる前に、早く帰れ!先生は大丈夫ですから。」と陽子を丸東組に近付けないようにしていた。

陽子は教頭先生の肩に触れて、「本当に大丈夫ですか?肩が震えていますよ?」と冷静でした。

教頭先生は、「先生の事は心配しなくても良いから、東城は自分の事だけ考えろ。この震えは怪我から来るものだ。それより東城、お前怖くないのか?ここはやくざの中でも特に怖いと恐れられている丸東組の組事務所ですよ。」と雑談していた。

組員が陽子の後から近付いて来たので、教頭先生は慌てて陽子を引き寄せると、その組員は、お辞儀して、「失礼します、姉さん。携帯の電源切られているのですか?組長からお電話が入っています。」と電話の子機を陽子に渡した。

教頭先生は驚いて、「えっ?姉さん?東城さん、これってどういう事ですか?」と聞いたが、陽子は電話に出た。

「何!何か用?悪かったわね、昨日充電するのを忘れて、バッテリー切れです。で何!えっ!嘘でしょう?そんな事になっているだなんて、此奴ら何にも言ってないよ。うん解った。」と電話を切った。

顔を隠しながら、そっと陽子から離れようとした組員の胸倉を捕まえて陽子は、「こら待て!いてまうぞ!ボケ!ちょっと来い!」と組員を壁際に連れて行ったので、教頭先生は驚いていた。

そして小声で組員と話をしていたが、教頭先生には聞こえませんでした。

救急車が到着して、教頭先生には陽子が付き添い病院まで行った。

教頭先生の治療も終わり、手術が必要で、しばらく入院する事になった。

病室で教頭先生は、「東城さん、丸東組の組員の事を知っているのですか?組長の事も知っているようだし、組員は東城さんの事を姉さんと呼んでいましたが、まさか組長の情夫じゃないですよね。」と優等生の陽子が丸東組の関係者だったとは予想外でした。

陽子は、「ばれちゃったわね、教頭先生。見ていたから解ったでしょう?あいつらは私の子分です。先程の電話で組長が、“教頭先生には先日お世話になったので宜しく。”と言っていましたよ。」とばれたついでに伝えた。

教頭先生は驚いて、「私は、やくざの組長に知合いはいない。どういう事ですか?」と丸東組の組長だとも知らずに、どこかで会ったのかな?と疑問に感じていた。

陽子は、「私は組長の情夫ではなく娘ですよ。先日父母懇談会で楽しく話をしていたでしょう?怖いやくざで悪かったわね。これで丸東組が病院関係から足がつかない理由が解ったでしょう?神の手が組員を手当てしていたからですよ。芹沢外科医院は丸東組の救急指定病院なのでね。それから、学校の制服を教えているので、制服を着ていれば何かあれば助けてくれますよ。例えば、先日隣のクラスの女子生徒が地元やくざに絡まれた時に、丸東組の組員が助けてくれたでしょう?あれは偶然ではなく制服を着ていたからですよ。私も先程の父からの電話で知ったのですが、それが原因で、丸東組と地元やくざとの間で争いが始まり、果たし合いになりそうです。どうなることやら・・・学校には迷惑かけませんので安心して下さいね。でも学校には黙っていて下さいね。でないと、やくざ同士の抗争の原因が、うちの学校の女子高生だという事がばれるとまずいでしょう?」と上手く口止めした。

教頭先生も、女子高生がやくざに絡まれた事は知っていましたが、それが抗争の原因だという事になれば困るし、まして絡まれた女子高生には何の落ち度もないので処分する事もできず、陽子の言うように黙っているしかないと思っていた。

教頭先生は、“しかし、まいったな。しばらく学校に行けそうにもないな。東城さんはやくざの子分が数人いる幹部待遇だという事は、争い事を上手く解決できるのかな。”と思い、今学校で事件絡みの頭の痛い問題を陽子に頼んでみようかと考えていた。


次回投稿予定日は2月16日です。

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