第七十九章 陽子、同級生から相談される
陽子は学校で、陽子や父親が出刃包丁を持った銀行強盗を簡単に取り押さえた事や、母親が世界一の名医だという事が噂になり、学校で人気の的になっていた。
同級生の一人が、「実は、先日インターネットで何の気なしにクリックしていると、突然画面に、“会員登録完了しました。三日以内に三万円を下記口座に振り込んで下さい。”とメッセージが表示されたので、驚いて電話すると、やくざみたいな人が電話に出て脅されて呼び出されたのよ。呼び出された場所を地図で調べると、陽子のお父さんが住んでいる近くのようなのよ。怖いので陽子のお父さんに一緒に行って貰えないかしら?」と助けを求めた。
陽子は、「それはワンクリック詐欺と言って、電話せずに何もしなければ良かったのよ。」と返答した。
同級生は、「でも会員登録完了と表示されていたので、それを抹消してもらおうと思い電話したのよ。」と説明した。
陽子は、「普通会員登録の前には、住所や氏名を入力するでしょう?それに有料だと言う事を、はっきりと明記する必要があるのよ。裁判になっても、そこをクリックすれば、現金を入金する必要がある事を知っていたかどうかが問題になるのよ。何の記載もなく突然お金を振り込めと言われても、振り込む必要はないわよ。風俗などの場合は人に知られるとみっともなく相談しづらいので風俗関係に多いのよ。何十万とかそれ以上の金額ではなく数万円なので、へそくりでお金を振り込んでしまう人もいるようなのよ。クリックして、それが画面に表示されても、こちらの事は相手に解らないので放置しておけば良いのよ。法律的な話をすると、そこをもう一度クリックすれば支払う義務があるわよ。だって、一度クリックしているので、そこをクリックすれば有料だという事を知っているのでしょう?要は有料かどうかを知っているかという事なのよ。」と説明した。
同級生は、「私、そんなHなサイト見ていないわよ。皆そんな目で見ないでよ。しかし陽子、何故そんなに詳しいの?」と不思議そうに首を傾げた。
陽子は、「母の患者である弁護士に聞いたのよ。」と説明して、風俗が資金源の丸東組の組員に聞いた事を隠した。
陽子は、その同級生に相手の電話番号を確認すると、丸東組の電話番号でした。
“これはサブちゃんの携帯番号だわ。まずいな。私や父が一緒に行けないわ。”と呼び出された日時を聞き、「父に話を着けて貰うから、行かなくても良いよ。」と安心させた。
陽子は帰宅後、その電話番号に電話して、同級生の名前を名乗ると、組員の本田三郎は電話の相手が陽子だとも知らずに脅迫した。
陽子は、「サブ!私の声も解らないのか!ボケ!陽子よ。その子は私の同級生よ。待ち合わせ場所には行かなくても良いと言っておいたので、もうその子から手を引きなさい!今度その子に手を出したら、半殺しにするわよ!」と怒って電話を切った。
翌日陽子は、学校でその同級生に、「話は着いたので大丈夫よ。会員登録は抹消するので安心してね。」と微笑んだ。
同級生は、「有難う、陽子。陽子が話を着けてくれたの?その人と知合いだったの?昨晩、そのやくざみたいな人から電話があり、姉さんから、話を聞いたと謝っていたけれども・・」と陽子との関係を知ろうとしていた。
陽子は、“まずい、サブちゃん、余計な事を言いやがって。”と焦っていた。
咄嗟に、「昨晩帰ってから父に電話すると、私も知っている父の弟子だったのよ。だから、私からも電話して、一言注意しておいたのよ。父の弟子は私の事を姉さんと呼んでいるから、その人はそう言ったのよ。」と誤魔化して、“サブちゃん、今度会ったら只では済まさないから。”と思っていた。
色々と同級生達と話をしていると柔道の話になり、「道場以外での練習相手はいるの?」と聞かれた。
陽子は、「練習相手と同居しています。」と説明して、トラやライオン相手に練習している事を隠した。
皆は、親が医者で娘の為に家一軒建てるような裕福な家のお嬢様なので、“柔道ができる住み込み家政婦か警備員かな?”と思い、皆で訪ねる事にした。
そして身体のがっちりした柔道部員の男子生徒が、「一度その練習相手とお手合わせ願いたいですね。」と陽子の気を引こうとしていた。
陽子は、「辞めた方ほうが良いと思いますよ。簡単に腕の骨を折られるわよ。」と忠告した。
同級生達は、どんな練習相手なのか気になり、「お前なら大丈夫。一度試合してみろよ。」と勧めた。
学校が休みで、陽子が道場へ行かない日を見計らい、男女数名の同級生が陽子の家を訪れると、門は鉄格子の二重扉で厳重なので驚いた。
インターホンを鳴らすと、突然ライオンが門に向かって来て吠えたので、同級生達は驚いていた。
インターホンに出た陽子に、「ライオンが檻に入ってない!鎖にも繋がれずに放し飼い状態だ!」と慌てていた。
陽子はインターホン越しに、「ライオンは放し飼いにしています。ちょっと待ってね、捕まえるので。」と返答して、玄関から門に向かって来て、ライオンに首輪して檻に入れた。その後、何故か陽子は周囲を確認して同級生達を門の中に入れた。
門から家の玄関へ歩きながら、「広い家ですね。」などと雑談しながら歩いていた。
一人の同級生が、「先程ライオンを檻に入れてから周囲を見渡していましたが、何を捜していたの?」と不思議そうでした。
陽子は、「ライオンは檻に入れたけれども、トラが見当たらないので、どこへ行ったのか捜していたのよ。でも近くにいないようなので見付かりませんでした。」と冷静でした。
同級生達は血の気が引き、「えっ!?という事は、まさかトラは今、放し飼い状態なの?」と自分の耳を疑い、焦って確認した。
陽子は、「そうよ、放し飼い状態だけれども近くにいないようなので大丈夫よ。」と微笑んだ。
同級生達は慌てて、早く家に入ろうと、走って玄関のドアを開けようとした瞬間に陽子が、「トラは家の中にいる事もあるわよ。」と忠告した。
同級生達は、「えっ!?」と驚きながら、一瞬動きが止まった。
陽子が玄関のドアを開けて、「大丈夫みたいなので上って。」とトラがいない事を確認すると、同級生達は慌てて家の中へ入った。
全員、陽子の案内する二階の部屋に入った。
陽子の説明では、この家の全てのドアは、普通のドアと鉄格子の扉との二重ドアになっているとの事でした。そして、「見た所、この部屋にはトラはいないので、鉄格子の扉を閉めておけば大丈夫ですよ。それと誰でしたっけ?道場以外で、家での私の格闘技の練習相手とお手合わせしたいと言っていた人は・・・・」と陽子が聞いた。
男子生徒の一人が、“やっと俺の話になった。”と思い、陽子の前で良い所を見せようとして、「それを言ったのは俺です。今からお手合わせさせて頂けますか?」と指をポキポキと鳴らしていた。
陽子は、“いつ迄その強気が続くかしら。”と笑いを堪えながら、「庭に行きましょうか?」と誘った。
その男子生徒は、「ちょっと待って!庭には確かトラがいるのでは?」と怖がっていた。
陽子は、「何を言っているの?私の格闘技の練習相手はトラかライオンよ。トラは見当たらなかったけれども、ライオンは檻に入っているので、ライオンと闘ってみる?先日も説明しましたが、トラやライオンの前足の一撃を受けると、確りと防御しないと、人間の骨なんて簡単に折れるわよ。相手は猛獣なので、手加減してくれませんのでね。どうする?」と聞き返した。
男子生徒の動きが止まり、血の気も引き、「いや・・・その・・・、今日は体調が悪いので、また別の日にします。」と小さくなった。
その後、陽子が準備したジュースやお菓子を飲み食いしながら、家の事や世間話をしていた。しかし陽子の父親はやくざだとは言い辛く、矢張りここでも格闘家だと説明した。陽子は、また以前のように、やくざの娘だと爪弾きにされる事を恐れた為の嘘でした。
女子生徒の一人が、「帰る前にはトラを見付けて捕まえておいてね。怖いから。」と依頼した。
陽子は、「捜して来るわね。」と部屋を出て行くと、皆は慌てて部屋の鉄格子の扉を閉めた。
しばらくすると、部屋の前にトラを連れ陽子が戻って来て、「捕まえたわよ。」と皆にトラを見せた。
皆はそのトラを檻に入れる事を希望したので、陽子はトラを向かいの部屋に入れて、鉄格子の扉を閉めて皆のいる部屋に戻った。
「これで大丈夫よ。ライオンもトラも檻に入れたので、いつでも帰れますよ。」と安心させた。
しかし同級生達は、それを聞いても安心できずに、「ライオンとトラ以外に、毒蛇とかサソリとか猛獣のような変な動物はもういない?本当に大丈夫?」と念を押した。
陽子は笑いながら、「大丈夫よ、私のペットは、ライオンとトラだけですよ。」と皆を安心させた。
それを聞いて皆は、ほっとして、「陽子、泥棒が入れば危険だから、玄関に注意書きしておいた方が良いわよ。」などと雑談して、同級生達は帰った。
帰る時に、玄関から門へ向かって歩いていると、同級生の一人が、「おい、お前の足元にコブラがいるぞ!」と指差した。
皆焦りましたが陽子が、「コブラなんて、ここにはいないわよ。悪い冗談ね。」と焦っている同級生の姿が滑稽で笑った。
次回投稿予定日は2月9日です。




