表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/31

第七十六章 陽子の両親、来校する

ある日、陽子が通う高校から父母懇談会の通知が郵送されてきた。

菊枝は茂に、「陽子が通う高校から父母懇談会の通知がきました。」と茂も陽子の通っている高校の事を知りたいだろうと思い伝えた。

茂は、「父母懇談会?何だそれ。父兄懇談会の事か?」と陽子が勝手に行った高校で何があっても俺には関係ないが、一応知っておこうとしていた。

菊枝は、「父兄は昔の言葉で、父か兄と言う意味で、母は駄目だという事なので、女性を差別している為に、今では差別用語になっています。今は父兄ではなく父母です。」と相変わらず茂は手が掛るわねと呆れていた。

茂は、「そんな事はどうでも良い。要は陽子の同級生の親との懇談会があるのか?授業参観の事か?陽子が授業を受けている様子を、他の親達と教室の後から見るのか?」と懇談会の意味が解ってないようでした。

菊枝は、「そこまで噛み砕いて説明しないと解らないの?授業参観と懇談会とは違うわよ。小学生じゃあるまいし、授業参観なんて、高校ではないわよ。陽子の同級生の父母達と雑談して、親睦を深めるのよ。私は陽子の同級生の父母達と話をすれば、陽子の同級生の事がある程度解ると思いますので、スケジュールを調整して出席しますが、あなたはどうするの?」とまさか懇談会の意味が解らないとは思わなかったわ。茂には黙って私だけ行けば良かったわ。と後悔していた。

茂は、「そうか、それじゃ俺もスケジュールを調整して出席するよ。陽子の同級生の親がどんな親なのか、この眼で確認したいからな。」と陽子がどんな生活をしているのか、同級生の親に確認しようとして乗り気でした。

菊枝は、「確認したいって、何の為に確認するの?懇談会だから、陽子の同級生の親と仲良くなる事が目的で、確認だなんていうと、何かを調べようとしているように聞こえるわよ。懇談会に出席して大丈夫かしら?変な事しないでよ。ところで、スケジュールを調整するといっても、あなたにスケジュールなんてあるの?」と茂が懇談会で何かするのではないかと心配そうでした。

茂は、「俺だって組員から娼婦の事で相談され、組員と同行する事だってあるんだぜ。その他、系列の組との打合せなど色々と忙しいんだから。」と馬鹿にされたようで怒っていた。

菊枝は、「警察に出頭する事の間違いじゃないの?」と指摘した。

茂は、「俺は警察に呼び出されるようなドジは踏まないぞ。」と不機嫌そうでした。

菊枝は、「それは私の透視力があるからでしょう?今まででも、私が透視力で教えないと、何度警察に捕まっていたことか。あなたも懇談会に出席するのね。学校と陽子には、私から連絡しておきます。」と茂が陽子の通う高校で変な事しないか心配していた。

菊枝も茂も陽子の同級生の両親と色々と話をしたかったので、二人共スケジュールを調整して、陽子と高校に父母懇談会に出席する事を伝えた。

陽子は、「うちの高校は、一ヶ月に一度だけ土曜日の午前中授業があります。最近の企業は週休二日制が多い為に、学校が授業の土曜日の午後から父母懇談会があります。学校の文化祭が近いので、私のクラスでは、授業が終わった午後から文化祭の準備をするので、父母懇談会の時には私もまだ学校にいます。」と母に伝えた。

菊枝と茂は前日に移動して、陽子の為に建てた家に泊まった。

茂は放し飼いのトラに驚いたが、菊枝が簡単にトラをねじ伏せたので、スケバンの菊枝は猛獣でも簡単に倒してしまうのかと驚いていた。

久し振りに親子水入らずで過ごし、一人暮らしの事や学校や友達の事など色々と陽子の様子を聞き、翌日父母懇談会に出席した。

父母懇談会は学校の教室で行い、椅子を壁際に集めて荷物置き場にして、机を四か所に集めてテーブルクロスを敷き、お菓子や飲み物を置いて立食パーティー形式で行われた。

机を移動させる時に、生徒の私物が入っていれば紛失の可能性があった為に、現在使用されてない教室で行われた。

父母懇談会当日、教頭先生もたまに様子を見に来て、菊枝も茂も陽子の同級生の父母達や担任の先生や教頭先生とも色々と話をしていた。

母親の一人が、「実は娘から聞きましたが、お宅のお嬢さん、男子柔道の金メダリストと互角に柔道で対戦できるらしいですね。」と信じられなくて両親に直接確認した。

別の母親が、「私も息子から聞きました。オリンピックでも破れなかった、あの必殺技が破れるのを見て驚いていました。確か、お父様は格闘家だと聞きました。お嬢様は小さい頃から柔道をされていたのでしょうね。オリンピック出場を辞退されたそうですが、何故ですか?」と不思議そうに確認した。

他の父母達も、「そうらしいですね。お父様、何か理由があるのですか?」と不思議がっていた。

茂は、「そんなの知るか!」と無関心でした。

別のテーブルにいた菊枝が慌てて駆け寄り、硬くなった空気を和らげる為に笑いながら、「御免なさいね、この人、いつもこうだから。陽子はあまり柔道が好きじゃないようですね。空手の方が好きなようです。その他、剣道もできます。全て有段者です。」と茂は自分の事しか考えないんだから焦ったわ。と茂を連れてきたのは失敗だったと思っていた。

ある生徒の母親が、「実は私の娘が不良から言い寄られて断ると、学校の帰りに待ち伏せされたりストーカーされたりするので恐がっています。お宅のお嬢様と友達になって頂けませんか?」と菊枝に依頼した。

菊枝は、「お宅のお嬢様は何と仰っていますか?娘と友達になりたいと仰っていますか?もしそうだとすれば、お宅のお嬢様が私の娘に友達になってくれるように頼むべきじゃないですか?幼稚園の子供じゃあるまいし、友達を作る事に親が口を挟むのも可笑しいでしょう。もう高校生なので、それは本人同士に任せましょう。あなたが娘さんの事を心配する気持ちは解りますが、そうやって、何もかも親が面倒を見ているので、娘さんは何もできなくなり、何かあればどうすれば良いのか解らなくなってしまうのではないですか?所謂箱入り娘ですね。あなたがするのではなく、お宅のお嬢様に、“こうすればどうですか?”と助言すれば良いと思いますよ。それでも心配であれば、再度私に連絡して下さい。私の連絡先は担任の先生が知っています。」とあまり過保護にならないように忠告した。

このように、父母懇談会では陽子の柔道の話など色々として、父母達からも色々な話を聞いた。

父母の中には、「普通、娘を嫁がせて、出産する時はお里で出産する事が多いようですが、ここは田舎で近くに産婦人科がなく、車で一時間程かかるので、娘の出産の時はどうしようかと今から悩んでいます。」と悩んでいる父母もいた。

その他にも、田舎は不便だから、子供の就職は都会にさせる父母もいれば、逆に先祖代々のこの土地を子供に継がせる父母など、色々といた。

茂や菊枝が陽子の同級生の父母達と楽しく色んな話をしていた時に、町中で銀行強盗が発生して犯人が警察に追い詰められて逃げ場を失い、学校に逃げ込んで来た。

警察が、「しまった。そっちには高校があるぞ。高校生を人質に取られると厄介な事になるので、高校へ入れるな!大至急高校に連絡して門や玄関を施錠するように連絡しろ!」と無線で連絡を取り合っていたが、間に合わずに犯人は結局高校に逃げ込んだ。

パトカーがサイレンを鳴らして、次々と高校に来たので、父母懇談会中の父母達は皆、何事かと思っていると、校内放送があった。

「今、警察から連絡があり、先程銀行強盗が発生し、その犯人が学校内に逃げ込みました。武器を持っているとの情報もありますので、一人では絶対に行動しないで下さい。犯人の現在位置は不明です。犯人は人質を取ろうとしている可能性がある為に、不信な人物を見掛けても決して声は掛けずにその場を離れて、近くの警察官に通報して下さい。」と緊急放送があった。

父母達が驚いたり、不安で心配したりしている中、先生が、「犯人が逮捕されるまで、教室を施錠します。」と父母達を犯人から守ろうとしていた。

一人の父母が、「先程トイレに行かれた母親がまだ戻ってきていません。」と伝えた。

先生が教室の外を見ると、その母親が教室に向かって急いで戻っていた。

その母親が教室に戻って、教室のドアを施錠しようとした瞬間、反対側の死角になっている通路から、父母懇談会中の教室に出刃包丁を持って犯人が逃げ込んで来た。

犯人は人質を取ろうとして、血の着いた出刃包丁を構えて、「大人しくしろ!騒ぐと殺すぞ!」と怒鳴った。

父母達は悲鳴をあげて足がすくみ動けず、中には腰を抜かしたり、失禁したりする父母もいましたが、茂は一歩も引かずに、「上等じゃねえか。この俺を殺すというのか?殺せるものなら殺して見ろ!」と一喝した。

銀行強盗犯は、出刃包丁で脅せば大人しくなるだろうと思っていた為に、茂に一喝された事が予想外の出来事で、急に手足が震えだした。

銀行強盗犯は震えながら、「この糞ガキ!そんなに死にたいのなら、希望通り殺してやる!」と怒鳴った。

茂は、「出刃包丁を持っている手が震えているぜ。」と笑った。

銀行強盗犯は、「五月蝿い!黙れ!」と出刃包丁で茂に襲いかかった。

父母達や先生も、携帯を取り出すなど変な動きをすれば犯人に目を付けられそうで怖くてどうする事もできずに、どうなる事かと恐がりながら様子を見ていると、茂に襲い掛かった銀行強盗犯を、茂が簡単に捩じ伏せた。

「お前は武器がないと何もできないのか?素手で勝負もできないのか!情けない男やな!」と馬鹿にした。

茂と銀行強盗犯が争っている間に、父母達の数人が教室を抜け出して、近くにいた警察官に助けを求めた。

通報を受けた警察官は、警察無線で知らせて警察官数名が教室へ急行し、茂や父母達により、犯人は警察へ引き渡された。

警察官が、「この男だけですか?犯人は二人組みです。」と確認していると、警察無線で連絡があり、「もう一人も逮捕したそうです。」と父母達に説明していると教頭先生が来た。

「もう一人の犯人は、東城さん、あなたの娘さんを人質にとろうとして、逆に空手で撃退され、どうやら腕を骨折したようです。」と説明して警察官に、「これは正当防衛なので、うちの女生徒は無罪ですよね。」と心配そうに確認した。

警察官は、「犯人が、刃物を持って襲ってきたために、手加減できなかったそうです。犯人を負傷させましたが、その場にいた他の生徒達の証言もありますので無罪です。形式的な取り調べのみです。」と返答した。

教頭先生も、それを聞いて安心していた。


次回投稿予定日は1月30日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ