表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

第七十三章 凄腕パイロット現れる

空軍に入隊したマリは、最初は雑用係の女子事務員でしたが、マリの目から見て、空軍の飛行訓練は、あまりにもお粗末でした。そして遂に黙っていられなくなり、独り言で口に出すようになっていた。

その事は空軍基地で噂になっていたが、マリの上官が基地内で謝り、他の隊員達も、単なる女子事務員の戯言として放置していた。

ある日、マリの戯言が、基地を査察に来ていた政府高官の耳に入った。

政府高官も基地の指揮官の説明通り、最初は単なる女子事務員の戯言だと思っていた。

面白い女の子だと思い、休憩時間に話し掛けた。

政府高官も元空軍パイロットでしたので、マリの戯言には、確りとした裏付けがある事に気付いた。

マリはパイロットのライセンスを持っていた為に、マリに飛行させる事を基地の指揮官に提案した。

基地の指揮官は、女子事務員の戯言に、政府高官が何故そこまで拘るのか真意が理解できなかった為に確認した。

政府高官は、「私も元空軍パイロットだ。先程、その女子事務員と話をしました。彼女の話には、確りとした裏付けがあり、航空機に対する知識も確りしていて、単なる戯言とは思えません。」と説明した。

基地の指揮官は、「それでは、私達の飛行訓練がお粗末だと仰られるのですか?私達の説明と、単なる女子事務員の戯言と、どちらを信用されるのですか?」と自分が信用されてないような気がして政府高官に食い下がった。

政府高官は、「彼女はパイロットのライセンスを持っているので、実際に彼女に飛行させてそれを確認したいのです。」と返答した。

基地の指揮官は、「素人にジェット戦闘機を操縦させて、もし民家にでも墜落して死人が出ればどうなると思いますか?責任問題になり、只では済みませんよ。その提案は無謀です。」と反対した。

政府高官は、「決して無謀だとは思いません。彼女は自家用機を所有していて、セスナ機のようなプロペラ機からジェット機も操縦した経験があります。確かに、プロペラ機とジェット機とでは異なる為に、セスナ機しか操縦した経験がなければ無謀かもしれません。しかし、今も説明したように、自家用のジェット機も所有していて操縦経験はあります。確認するだけの価値はあると私は判断しました。しかし君は何故そこまで反対するのかね?彼女に操縦させると何か都合の悪い事でもあるのですか?まさか、あなた方の飛行訓練は、彼女の指摘通り、本当にお粗末なのかね?」と指摘した。

基地の指揮官も、そこまで言われると後へは引けなくなり返答に困っていると、それを察した政府高官は、「君は事なかれ主義のようですね。もし彼女の操縦技術が超一流であればどうするのかね?わが国にとって、重大な損失になりますよ。先程墜落した時の事を心配していたようだが、彼女が墜落した時の責任は、私が取るので君は何も心配しなくても良い。」とどうしても、マリの操縦技術を確認したいようでした。

基地の指揮官は、“そんな馬鹿な、アニメじゃあるまいし、単なる女子事務員が超一流パイロットである筈がない。責任を取らなくても良いのだったら、いいだろう。”と判断して了承した。

この提案で、基地内は大騒ぎになり、戯言では済まなくなりマリの上官もどうする事もできなくなった。

戯言という事を証明する為に、指揮官や政府高官の前で、マリに戦闘機を操縦させて、今後このような事がないように、証拠の撮影をする事になった。

墜落などの危険性もある為に、最新鋭のジェット戦闘機ではなく、壊れても良い、旧式で性能の悪いジェット戦闘機を使う事になった。

その事はマリにも伝えられたが、マリは性能が悪くてもジェット戦闘機なので思う存分アクロバット飛行ができる事で満足していた。

基地の指揮官は、「戦闘機より人命の方が大切なので、どうにもならなくなればパラシュートで脱出するように。」と指示した。

マリが離陸すると、マリの飛行を確認する為に、指揮官と政府高官も別の軍用機に乗って離陸した。他の隊員達は、これでマリの戯言もなくなるだろうと安心していた。

マリは、五~十分程飛行すると、そのジェット戦闘機を身体の一部であるかのように、自由自在に操れるようになっていた。

政府高官に提出する証拠の映像を撮影する為に、近くを飛行している大型ジェット機に、真正面から突っ込んだ。

大型ジェット機の乗組員が、「危ない!衝突する!」と叫んだ瞬間、マリの操縦するジェット戦闘機は、大型ジェット機の下に潜り込み、空気の流れを利用して、性能以上の急旋回をした。

他の隊員達が、一瞬マリの戦闘機を見失い、マリに通信で呼掛けると、「あなた方は一体どこを見ているの?右側を見なさい!」と返答があった。

その通信で急旋回した事に気付いて、「いつの間に右横に来たのだ?何故あの旧式のジェット戦闘機で、あのような急旋回ができるのだろう?」と隊員達は驚いていた。

今度はエアポケットを利用して急降下し、そのスピードを利用する事により、急上昇した。これも性能以上の急上昇で、他の隊員達が、また、マリの戦闘機を見失った。

マリに通信で呼掛けると、「あなた方は何度私を見失ったら気が済むの?これが実戦でしたら、もうとっくに私に撃墜されていますよ。あなた方の目は、本当にどこについているのですか?この空軍基地のパイロットは、ど素人の集まりなの?上を見なさい!それでよくジェット戦闘機のパイロットが勤まるわね。」と返答したので、急上昇した事に気付いた。

「何故あの旧式のジェット戦闘機が、短時間で、あの高度にまで上昇できるのだろう?」と驚いていた。

その後の飛行も、驚きの連続で、近くの軍用機から見ていた指揮官は開いた口が塞がりませんでした。

政府高官は、「矢張り、彼女の言っていた事は本当だった。しかし、これほどの操縦技術だとは思わなかった。私の知る限りでは、彼女以上のパイロットは空軍には在籍していない。秘密部隊以上の操縦技術だ。」と驚いていた。

やがてマリの飛行が終わり、空軍基地に着陸した。

マリは戦闘機から降りて政府高官に、「御免なさい。今日は朝から頭痛が酷く、最悪のコンディションでしたので、こんな子供染みた飛行しかできませんでした。今度来られる時には、もっと真面な飛行をしますので、今日はこれで勘弁して下さい。」と報告した。

それを聞いた他の隊員達は、「最悪のコンディションであの飛行?今日の飛行は子供染みた飛行だったら俺達の飛行は何だ?」と不満そうでした。

政府高官は透かさず、「ですので、君達の飛行は彼女に、ど素人と指摘されたのではないのかね?」と指摘されて、返す言葉がありませんでした。

マリは、「子供染みた飛行しかできませんでしたので、もう少し飛行しようとしましたが、旧式の戦闘機でしたので、機体が限界で、これ以上飛行すると翼が折れそうでしたので終わりにしました。」と補足説明した。

ど素人と言われ頭に来た隊員は、“事務員の癖に生意気な!”とプッツンと切れて、「旧式の戦闘機しか操縦させて貰えなかったのが、そんなに不満か?これでも立派な戦闘機だぞ!翼が折れる訳ないだろうが!」とマリが操縦していた戦闘機を、操縦しようとした。

マリが止めましたが、無視して離陸を強行した。その後、数分で翼が折れて墜落した。

パイロットは急に機体のコントロールができなくなった為に確認すると、翼が折れていた。

パラシュート使用可能高度まで上昇していませんでしたのでパイロットは、「うわっ!そんな馬鹿な!」と自分の目を疑いながら脱出したものの、低空の為にパラシュートが開かず、地面に叩き付けられ、現場に急行した基地の軍医により死亡が確認された。

その後、会議室でマリが今の飛行について映像を見ながら説明した。

今の飛行が単なる偶然ではなく、確りとした裏付けがあった事を知り、隊員達は驚いていた。

マリは最後に、「実戦では、敵は戦闘機の性能などの情報を掴んでいると思いますので、性能以上の飛行をすれば、敵の裏をかくことも可能です。あなた方が私の操縦する戦闘機を見失ったようにね。ここで大切な事は、性能以上の飛行をする為に、戦闘機の耐久性が問題になります。操縦桿を握っていれば、操縦桿や座席に伝わる振動などから、翼などの機体の状況が体に伝わり、良く解ります。何故、先程のパイロットは離陸直後に、戦闘機は翼が痛くて涙を流していた事に気付かなかったのか私には理解できません。戦闘機が可哀想です。もっと大切に扱って欲しかったですね。恋人のように大切に扱えば、戦闘機もそれに答えてくれてパイロットの思うように飛行してくれます。」と説明した。

隊員達は、“振動から翼の状態が解るのか。そんな限界まで飛行した事がないので解らないな。”と驚いていた。

基地の指揮官は、「彼女は、私の理解を超えています。この空軍基地より、もっと然るべき部隊へ配属すれば、彼女はまだ若いので、私達の想像を絶するパイロットに成長すると思います。」と政府高官に進言した。

政府高官は、「私が気付かなければ、アメリカ空軍が超一流パイロットを損失する所だったのですよ。人を見る目がない君には、基地の指揮官は無理かもしれませんね。」と指摘した。


次回投稿予定日は1月21日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ