クーとクロえもん
4大天使様達の『チカラ』によって、下界へとやって来た僕、クー。ここは、日本という国。ガブリエル様から頂いた、ルシフェル様の羽が示した座標がこの日本という国のとある都市だった。
そして、軍から支給された僕の服装は、なぜか黒い男子学生服…。僕、一応女の子なんだけど…。そして、制服のポケットには、ルシフェル様の黒い羽と通信機。
「ガブリエル様の話だと、この羽が僕をルシフェル様の元へ導いてくれるはずだけど…。」
ポケットから黒い羽を取り出す…。でも、羽は何の反応も示さない…。
「黒い羽さん、ルシフェル様はどこにいるの?…教えてくれないと羽毛をむしりとるよ?」
「やめてください!!」
「うわあ!?しゃべった…!?」
黒い羽が、しゃべった!?しかも、なんかド●えもんみたいな声だね…。の●代じゃない方の。
「全く、野蛮な子ですね!!」
「あんた、しゃべれるの?」
「はい!僕は、なんたってあの偉大な大天使ルシフェル様の羽なんですよ!」
「黒い羽さん、僕をルシフェル様のところに案内してくれない?」
「嫌です!!」
「じゃあ、その先の方の羽毛をむしりとるよ?」
僕は、片方の手で羽をつかんで、もう片方の手の指で羽の先を掴んだ。
「ぎゃあああー!!やめてください…!お助けください…!」
「じゃあ、案内して。」
「…なんて、乱暴な!…育ちが悪いんですね。」
「ああ。どうせ、僕は孤児だよ。…先の戦争で僕の家族は、みんな死んだんだ。ルシフェル様は、その戦争で敵側に味方したんだって?僕の家族を奪った…敵側に…!!」
「それは、誤解です!!ルシフェル様は、あの戦争をやめさせようとしたんです!!ルシフェル様は、平和を愛する心優しいお方です!!あの戦争で罪のない人々が傷つくことに酷く心を痛めていました…!!」
「そうなの…?ルシフェル様は、戦争をやめさせようとしたって本当なの!?」
「はい!ですから、ルシフェル様は、敵味方関係なく中立の立場に立って戦争を終わらせようと奮闘なさっていたのです!!しかし、それがあらぬ誤解を招き…裏切り者の汚名を着せられ、国外追放処分になり…あのお美しかった翼を…片翼をもぎ取られ!…ああああー!おいたわしやルシフェル様…!!」
「それで…ルシフェル様は、今どこにいるの?」
「あなたは、あの国の軍の犬です!!そんな輩にルシフェル様のことを教えるなんて死んでもごめんです!さあ、煮るなり、焼くなり、羽毛布団にするなり好きにしなさい…!!」
「黒い羽さん。ルシフェル様は、今、王子様の弟君の誘拐容疑がかかっているんだよ!」
「何ですって!?ルシフェル様がそんなことをするはずないじゃないですか!!…僕がまだあの方の背中にいた時…まだ真っ白だった時、あの方は、自分への審判が下るのを待つ牢の中で…自分のことよりも、両親を失った幼い二人の王子様の身を案じておりました…!!」
「じゃあ、ヤマネコさんの正体は、ルシフェル様じゃないの!?」
「…ヤマネコって誰ですか?すみませんね、僕はずっとガブリエル様の本のしおり代わりに使われていたので…。外の世界のことはほとんどわからないんです…。」
「ヤマネコさんっていうのは、弟君の誘拐犯で、ルシフェル様がヤマネコさんじゃないかって軍は推測してるんだ。黒い羽さん…お願い、僕をルシフェル様の所に案内してくれないかな?…軍の任務ではなく、僕個人としてお会いしたいんだ!会えばきっと、ルシフェル様がヤマネコさんかどうかわかると思うんだ。」
「…いいでしょう、あなたをルシフェル様のところまでご案内します!!あなたの瞳は、嘘をついていないようですから。僕もルシフェル様にお会いしたくて、いてもたってもいられないのです!!…ところであなたのお名前は?」
「僕は、クー!黒い羽さんは?」
「…僕に名前は、ありません。」
「じゃあ、僕が名前をつけてもいい?」
「…変な名前じゃ嫌ですよ。」
「あんたは、今日から『クロえもん』!!どう、可愛いでしょう?」
「うーん。なんか、いまいちですね…。でも、いいです。僕クロえもんです!」
「それじゃあ、クロえもん。僕をルシフェル様の所へ案内して!」
「はい!」