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王子様知りませんか?  作者: 苺鈴
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洸と千羽矢先生

 王子君を幼稚園に送り届ける俺。

「それじゃあ、王子君、今日もみんなと仲良くね!」

「うん。洸もお仕事頑張ってね!」

 王子君のその一言で、俺、あと10年は教師続けられるよ!!

 幼稚園の門を出る俺。すれ違う子どもたちとその保護者さんにあいさつしながら、通り抜ける。やっぱりお母さんが多いね…。お!前から歩いてくる男の子は、お父さん連れだね。

「おはようございます。」

「おはよー!」

「おはようございます。おはよー!朝から、元気だね。」

 男の人と、その子どもに挨拶しながらすれ違う…。あれ…あの人…もしかして!

「あの、待ってください!」

 男の人が振り返る。ああ!やっぱり…!!

「何ですか?…あれ、君は…。」

「…あの、千羽矢(ちはや)先生ですよね?俺、星野です。先生の教え子の星野洸です!」

「…洸君。あの洸君かい?わあ、大きくなったね!」

「千羽矢先生、あの頃と全然、変わらないですねー!!」

 そう千羽矢(ちはや)(るい)先生は、俺の中学2,3年の時の担任…俺の恩師であり、憧れの先生!!

「星野先生、おはようございます!…先生、その福●雅治似のイケメンさんは…誰ですか!?」

 姫ちゃんを送りに来た加藤さんが、目を真ん丸にして千羽矢先生を見つめてる。

「ああ、加藤さん。この人は、俺の中学の時の恩師の千羽矢類先生。先生、超かっこいいでしょう!」

「洸君、教師になったの?」

「はい!先生に憧れて、天之川中学で教師やってます!この子は、俺の教え子の加藤アナベルさんです。」

「はじめまして、加藤アナベルです!この子は、妹の姫です。千羽矢先生、星野先生よりかっこいいですね!あれ?星野先生の先生ってことは…千羽矢先生っていったいおいくつなんですか!?」

 加藤さん…たしかに千羽矢先生の方が俺よりイケメンだけど…。そんなはっきり言わなくても…。

「はじめまして、加藤さん。僕は、今年で42歳になります。」

『うっそー!?全然、見えないです!!』同時に叫ぶ、俺と加藤さん!!

「星野先生より少し年上くらいにしか見えないですよ!!」

「俺の担任してた時とほとんど変わらないですよ!?どんだけ、若作りなんですか!!」

「洸君も見た目は、大きくなったけど…中身はちっとも変わらないね。ああ、懐かしいな…あの洸君が教師になったんだ…。」

「千羽矢先生、ご結婚されたんですか?その子は、お子さんですか?」

「いいえ。僕はまだ独身です。この子は家が近所の子で、今朝はこの子のお母さんが体調が悪いので僕が代わりに幼稚園に送りに来たんです。ね、結城君。」

「うん!類おじちゃん。」

 おじちゃんって…。千羽矢先生なら、お兄ちゃんて呼んでも大丈夫だよ…見た目は!!

「洸君こそ、子どもがいるってことは…結婚したの?」

「いえ。俺もまだ独身です。俺の子は…血はつながってないけど、俺の大事な息子です!」

「…いろいろ訳ありみたいだね。でも、洸君ならきっと良い父親になれると思うよ!」

「ありがとうございます!先生にそう言ってもらえるとすごく自信になります。…俺、千羽矢先生のこと大好きです!」

「…星野先生。やっぱり…先生は、ホモなんですね…。」

「違うよ!!もう、千羽矢先生の前でなんてこと言ってんの!」

「そういえば洸君、高校は男子校に進学したよね…。」

「千羽矢先生、誤解です!!俺は、ノーマルです!!それに、あの高校にしたのは、地元で一番の進学校だから…そこに合格して先生に恩返しがしたかったんです!」

「洸君があそこを受験するって聞いたときは、驚いたよ…。洸君の成績じゃギリギリ受かるかどうかぐらいだったから…。洸君が合格した時は、嬉しかったよ…!」

「千羽矢先生、自分のことのように喜んでくれましたよね!」

「だって…あやうく少年院行きになりそうだった君が…。こんなに…立派になって…。」

「全部、千羽矢先生のおかげです!!」

「星野先生、少年院って何の話ですか…?」

「ああー!!加藤さん、そろそろ学校行かないと、朝練に間に合わないよ!!」

「誤魔化さないでください!!ああ、でもたしかに、そろそろ行かないと。」

「千羽矢先生、また会えますか?ご自宅は、この辺なんですか?」

「僕は、この近所にある児童養護施設『流星(りゅうせい)学園』の施設長をやってるんだよ。いつでも遊びに来てね。洸君のお子さんにも会ってみたいし。」

「はい!今度、王子君と一緒に伺わさせていただきます!」

「王子君?それが、洸君の息子さん?じゃあ…星野王子君…星の王子って狙い過ぎな名前だね…。」


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