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王子様知りませんか?  作者: 苺鈴
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うちの王子君2

 その時、ドアが開いた!今度は…誰だよ?

「ごきげんよう、王子君!あなたの危機に駆けつけました!王子君のために、ご奉仕するにゃん!」

 入って来たのは…頭が包帯ぐるぐるで、なぜか全裸で…前だけタオルで隠した…。

『ヤマネコさん!?何しにきたの?』

「王子君の危機を知らせる鈴の音が聞こえたので、入浴中だったんですが、急いで駆け付けた次第であります!王子君、何があったんですか!?」

 ああ、加藤さんに奪取されそうになったからかな…?でも、来るの遅すぎ…。これじゃ『SAWDO』の先生方並みに役に立たないね…。

「ヤマネコさん、僕は大丈夫だよ!それより、ヤマネコさんも無事で良かった…!」

「私のことは、心配ご無用です!…それでは、私は帰ります!」

「ちょっと、待ってヤマネコさん!…よかったら、うちでご飯食べていかない?」

「いいんですか?」

「僕も、ヤマネコさんなら大歓迎だよ!!」

「ありがとうございます!それでは、お言葉に甘えさせていただきます!」

「ヤマネコさん。とりあえず、俺の服着て!その格好だと風邪ひくよ?」

 俺の服に着替えたヤマネコさん。

「ありがとうございます!洸の温もりがします…。」

「キモいこと言わないでよ…。王子君のお兄さんみたいだよ…。」

「洸!…私をあんな変態ブラコン野郎と一緒にしないでください!!」

 ヤマネコさんのオッドアイの瞳が殺意を込めた光を帯びて俺を睨みつける…!

「…ごめん失言でした!それより、ヤマネコさん。どうしてもうちで一緒に暮らせないの?」

「はい。私は、絶賛指名手配中なので…。ご飯をいただいたら、またすぐに逃げ回らなければならないのです!」

「ヤマネコさん、ごめんなさい…僕のために…!」

「王子君。前にも言いましたが、全て私が勝手にやっていることです。王子君は、自分を責める必要などありません!そんな悲しい顔をしないでください、王子君が笑顔でいてくれることが私の幸せなんです!」

「ヤマネコさん、じゃあ、毎晩俺んちで一緒にご飯食べない?それくらいなら大丈夫でしょう?」

「とっても嬉しい申し出ですが…それは、できません。私のこの瞬間移動魔法は、かなりのエネルギーを消耗するんです。ですから、本当に王子君が危機に瀕している時しか使えないんです!それに、空の上の連中は、そろそろこの『セカイ』にも捜索を始めるでしょう!」

 加藤さんに奪取されそうになっただけで、そんなすごい魔法使ってもらっちゃったんだ…。

「そっか…。じゃあ、俺、今日は腕によりをかけて美味しいご飯作るね!!」


 今日の夕ご飯は、サバの味噌煮定食!ヤマネコさん、ネコに育てられたから、きっと魚好きだと思って。

「これ全部、洸が作ったんですか?」

「そうだよ!サバは、脂がのっていて今が旬だし、味噌も独自に研究して配合したんだ!」

「すごいですね!それに…この芸術的な玉子焼きは!」

「洸の玉子焼きは、宇宙一だよ!ふわふわで、甘さと塩味がちょうどいいんだよ。」

「えへへ。王子君、宇宙一は言い過ぎだよ。」

「それに、彩りも栄養バランスもばっちりですね!」

「そんなに…褒めないでよ!もう、照れちゃうじゃん!!」

「洸、すごく嬉しそうだね。」

「褒めてのびるタイプですね!」


 夕ご飯を食べ終えて、食器を洗う俺と食器を拭くヤマネコさん。王子君は、寝てしまった…。

「ヤマネコさん、逃げなくて大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。また、瞬間移動魔法ですぐ消えられますから。洸の美味しいご飯でエネルギーをチャージできたので!」

「それならいいんだけど…。あのさ、ヤマネコさんは、王子君の本当の名前を知ってるの?」

「はい。とても素敵なお名前です!…ですが、今は星野王子君です!」

「そうなんだけど…。俺には、教えてくれない…?」

「そうですね…。洸になら…教えてもいいですが…。王子君に絶っ対に言っては、なりませんよ!!王子君に言ったら…洸を…。」

「俺を…?」

「殺します。」

「えええ!?じゃあ…やっぱりやめとく!!」

「…本当にいいんですか?」

「気になるけど…。俺が万が一うっかり王子君に話して…ヤマネコさんに殺されたくないもん!」

「王子君の本当の名前は…」

 て!ヤマネコさん、俺の耳元に口を近づけて、教える気満々じゃん!!

「だから、いいって!!」

「遠慮しないでくださいよ。」

「ヤマネコさん…もしかして、俺のこと嫌い?…俺にわざと王子君の本名教えて…口滑らさせて殺す気とか…?」

「何を言ってるんですか…。私は、洸のことが好きですよ!洸を殺したいなんて思っていません。王子君が好きなものは、私も好きなんです!」

「じゃあ、王子君が俺のことを嫌いになったら…。」

「私も洸を嫌いになりますね!」

「ヤマネコさんって…。」

「私が何です?」

「いや…なんでもないよ。」

 ヤマネコさんの王子君愛は、かなりヤバいね…。キモいお兄さんとレベルが変わんないよ…。本人には絶対、言えないけど!!

「…洸、改めて…王子君のことよろしくお願いします。…私は、王子君のそばにずっといてあげることができませんから、あなただけが頼りなんです!!」

「うん、わかってるよ。ヤマネコさん…王子君は、必ず俺が幸せにします!!」

「…二人ともさっきから、何話してるの?」

 王子君が起きて来た!

「王子君の将来について洸と語り合っていたのですよ!さて…片づけも終わりましたし、そろそろお暇させていただきます!」

「ヤマネコさん…。本当に行ってしまうの…?」

「はい。でも、王子君が危機に陥ったら、必ず助けに来ます!!」

「ヤマネコさん、気をつけて…。お腹が空いたら、いつでも家に来てね!!」

「ありがとう、洸!今日はご馳走様でした!それと…。」

 ヤマネコさんは、俺の耳に口を近づけ…ある言葉をささやいた…!!これって…まさか!?

「ヤマネコさん!さっきの言葉って、王子君の…!」

「洸、絶対に話してはなりませんよ!それでは、ごきげんよう!」

 ヤマネコさんは、消えてしまった…。これが…王子君の本当の名前…!


「洸、ヤマネコさん何て言ってたの?…洸?」

「王子君…。君の名前は?」

「星野王子!」

「そうだよ。…王子君は、うちの王子君だよ!それ以上でも、それ以下でもないんだよ!」

「洸、何言ってんの?」



 

 





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