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5話 女神の伝言

 遺書の書き出しのように始まったそれは、神の声のようだ。声の質から、女神だろうと想像する。


(これは録音のようなものですから、私と会話することはできません。また、貴方の頭の中に直接転送しているので、もし周囲に人がいてもこの声は聞こえないでしょう。)


 横目でオルタを見るが、急に喋らなくなった俺を何事かと見つめている。


(さて、何から話したものでしょうか……。一応時間に限りが有りますので、かいつまんでお話しましょう)


 ジェスチャーでオルタに黙っているよう伝える。話しかけられると聞き逃しそうだからな。録音ということだし、もしかすると一度きりしか聞けないかもしれない。


(まず、貴方の状況ですが)


 一瞬言葉を区切る女神。心の準備をさせる時間だろうか。


(今までの世界における貴方は、死にました)


 どうやら異世界転移ではなく、転生ものらしい。……いや、急にお前は死んだと言われても実感なんて沸かないものだ。柄にもなく現実逃避してしまった。心の準備のためには些か短い時間だったよ。


(現在貴方は転生し、貴方のいた世界とは別の世界、ロンヴィアにいます。転生までの間に私のもとで魂を管理し、生前の記憶や魂の特性、転生に値するものかどうかなどを読み取り、判断しています)


 魂の特性とはなんだろうか。これから説明してくれるのかな。


(記憶についてはそのままの意味ですね。魂の特性は……説明が難しいので貴方の場合をお話ししましょう。貴方の特性は、「死を惹きつける」ですね。また難儀な特性をお持ちのようで、私としてはなぜ十代後半まで生きていられたのか、不思議なほどです。これを聞いて、貴方には思い当たる節があるのではないでしょうか?)


 死を引きつける(・・・・・・・)……か。週一で事故や事件に巻き込まれたり、行く先々で問題が発生するのがこれのせいだとするならば、まぁ納得できなくもないだろう。

 女神の話は続く。


(人それぞれにこのように特性があります。尤も、貴方のようにマイナス効果の強い特性は滅多にないのですが……。)


 嬉しくないレア物のようだ。本当に嬉しくないな。


(そういったことを加味しまして、転生候補として挙げ、無事転生となったわけです。)


 ジャージに手ぶらで山の中スタートが無事だと言うのならな。オルタが来ていなければ詰んでいたんじゃないだろうか。指輪とか、見つけられる自信ないぞ。


(ですが、この魂の特性は転生しても引き継がれるもの。つまりこのまま転生させただけでは、貴方はまたすぐに死んでしまう可能性が限りなく高いと考えられます。)


 特性は消えていないらしい。転生したが、すぐ死んでしまうのでは意味はないだろうな。


(ですので、貴方には加護として「女神の幸運」を授けました。)


 運が良ければ死なないということらしい。……え?俺、運だけで生きていくの?


(この加護はとても強力なものです。どのくらいかと言われると……、そうですね。道端の石を拾って投げると、偶然地面がひび割れて石油が湧き出すくらいでしょうか)


 尋常ではなかった!そこまでの運なら死なないかもしれないし、運だけで金持ちも夢じゃないかもしれないな!


(とまぁこれほどの強力さなのですが、それ故に無闇に付加すると世界のバランスを崩しかねず、貴方に付加するのが初めてになります)


 てへぺろ。とでも言わんばかりの声のトーンである。なんだかまた不安になってきたぞ……。


(効果の程は保証しますが、いかんせん魂の特性が強いものです。なので実質の運としては、一般的な人より多少いいかな?そうでもないかな?くらいのものになるかと思われます)


 どれだけ強い魂の特性なんだよと突っ込みたくなるが、一応相殺されるだけマシだと思うことにする。……しかし、これだと俺は普通の人よりやや運がいいだけの人になってしまうのではないか?


(相殺されてしまってほとんど加護が効力を発揮しませんので、追加でもう一つ。「成長上限の無視」を付与致しました。これは筋力や魔力、また覚えられる魔法の属性など、全ての成長の行き止まりをなくすというものです。所謂限界突破とでも言いましょうか。)


 つまるところ、カンストがなく全属性の魔法を扱える可能性がある……ということだろうか。それ以外にもあるかもしれないし、これは便利だな。何においても成長が止まってしまえばそれ以上の努力は無駄になってしまう。しかしこれがあれば無駄になるということはなくなるのだから。


(まぁ、上限がなくなるだけで成長率が上がるわけではありませんので、得意不得意は現れる可能性はありますので覚えておいてください。)


 覚えられるが簡単に成長するわけではない、ということか。というか、サラッと流してしまったがこの世界には魔法があるんだな。……死霊術師もいるわけだしな。


(そうそう、転生とは言いますが、貴方の場合若くして亡くなられましたので、近い年齢でで転生させました。現在は15歳になっております。この世界では15歳から成人ですので、生活に支障はないかと思われます)


 赤ん坊からやり直しってのも大変だろうし、今の状況を見るに赤ん坊からだったら確実に死んでいるだろう。……いや、赤ん坊からだったら生まれるところから始まるのだろうか。まぁ考えても仕方がないな。


(さて、そろそろ時間ですね。指輪は一応ステータス向上の付加がなされています。付けるなり売って路銀にするなりしてください。尤も、神器ですので値がつくかはわかりませんが。)


 さらりとこの指輪もすごいものだというアピールをしていく。この女神、わりとお茶目なんじゃなかろうか……。


(では、貴方の異世界ライフが良いものとなりますよう願っております。神殿に行けば私と会話する機会もあるでしょう。その時を心待ちにしていますね……)


 少しずつ声が遠くなっていき、最後には聞こえなくなった。ステータス向上の指輪か……。結局俺は今のところただの人みたいだから、これをつけて少しでも死ににくくしないとな。


 ふと視線を感じて振り向くと、オルタがジト目でこちらを見ていた。


「……もういいのか?」


 かなり不機嫌そうな声音だ。説明するのに骨が折れそうだな……。


主人公が神の声にいちいち反応していることにややクドさを感じるかもしれません。

今後改善していけるよう努力したいところです

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