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俺の価値観
若干の性的描写が含まれますのでご注意ください。
「……ハハッ」
燃え盛る家の前に子供が一人。首から下がっている十字架のネックレスが炎を反射してギラギラと光る。
長い前髪から覗いた瞳は光を宿さず 鋭く冷たいものだった。頬から目にかけて黒い何らかの痕が残っており、その全てが常人とは思えないもの。
歳は12,3程度だろうか、幼くもなければ大人びてもいない。
「助けて、なんて無様に言いやがって。お前らみたいなのが一番ムカつくんだよ。俺は下らない“正義”なんか翳さねえ。邪魔をするな……」
低いその声はまさに刃と形容する他ないだろう。
グレーのパーカーに黒いTシャツ、濃い藍のジーパンと簡素な格好だったがそれがとても似合っていた。
指をぱちんと鳴らしたかと思えば、新しく家屋が燃える。赤ん坊の泣き声や母親の狂った声などの悲鳴合掌を背に、口元を歪めていた。