特訓(麗花&鈴花編)
「なんかまいどまいどこれ言うのイヤだって紅花に放り投げられた…。じゃあ始めるわよ~。今日は麗花と鈴花だから適当に頑張ってちょうだい。影との至近距離の戦いに備えて、この二人をこけさせたら勝ちにするわ。よーい、スタートー。(棒」
パエルに放り投げてみたらむちゃくちゃ適当になってるー。
「パエル適当すぎ。」
麗花が苦笑する。
「お母様、遊んでいいの?」
鈴花が私の顔をのぞきこむ。その顔には、私の答えがわかっているのか、笑顔が浮かんでいる。
「いいわよ。あの二人を困らせるほどに遊びなさい。あまり本気を出してはダメよ。」
この二人も子供とはいえ、ヴァンパイアだ。あの二人くらいなら、簡単に引き裂いてしまうかもしれない。
「「はーい!」」
いつの間にか麗花まで笑顔になっている。最近相手をしてやっていないから、遊べることが嬉しいのだろう。
「そろそろいかないと二人とも待ちくたびれちゃうわよ?」
「はーい!」
二人で庭へとパタパタ走っていく。庭へと顔を向け、危なくなったら、どちらかをバリアするために、本を手に取る。麗花と鈴花があの二人とどんな戦いを見せるのか楽しみだ。
「お兄ちゃん。たくさん遊んでね?」
「私たちを楽しませてね?」
にこにことこれから公園にでもいくような笑顔で麗花と鈴花は笑う。大牙は気にしていないようだが、光牙はそれに答える。
「今回は君らをころばせば勝ちなんだよね?だったら長引きそうだよね。多分たくさん遊べると思うよ。」
「そうだね!最近遊んでなかったの。嬉しいな♪」
二人して翼をばたつかせる。
「会話してねえでとっととやろうぜ。」
大牙が構えるように促す。麗花と鈴花は構える。
「いくぜ!光牙!」
「オッケー。」
光牙の闇のオーブと、大牙の氷がまじりあって攻撃をしてくる。
「お兄ちゃんたちも合体技作ったんだ。じゃあ私たちもいこうか。」
麗花と鈴花がうなずいて、せーの!と声を揃える。
「「痺れ花!」」
二人の手から、きれいな白薔薇と、赤い薔薇がこぼれる。花びらが、風に舞う。この子達の技は、きれいな薔薇を使っていることが多い。でもこれにさわると…ってもう触ってるし。
「うわっ。ヤバっ。大牙、これさわったら痺れるよ!」
「気づいてなかったのお前だけだろ…。普通、名前の時点で気づく。」
花びらを避けながら大牙が突っ込む。そのコントのような会話がおもしろかったのか、麗花と鈴花が笑い転げていた。
「とりあえずこれ消すぞ!エリアル・ゴースト!」
光る虎のちからで、すべてのはなびらが飛び散って、消える。
「あ~あ。消えちゃった。ねぇねぇ。お姉さま。今回から動けるんだし、至近距離の攻撃しようよ。」
「あら、それいいわね。やりましょう、やりましょう。」
二人でてを叩いて喜ぶ。シャキッと鋭い爪をとりだし、麗花は大牙に、鈴花は光牙に飛びかかる。光牙たちはパワーで、麗花たちはスピードで相手を圧倒しようとする。すごい攻防ね。あ、ヤバい。壁に光牙たち追い詰められちゃった。麗花たちは迷いなく爪を降り下ろす。
「バリア!」
透明なシールドが現れて、麗花たちの攻撃を防ぐ。
「ほどほどにといったでしょう!」
麗花たちに叫ぶ。
「「うー。ごめんなさい。」」
「あぶなー。死んだと思った。」
二人が息を吐く。
「まあ、本当だったら死んでるわね。そろそろ長引きすぎてるから、麗花たちもう技出しなさい。」
「はーい!」
「「いっくよー!ムーンリット&サンリット!」」
さっきと同じ麗花の白薔薇が出る。それが大牙の腕をかする。
「これ花びらがナイフになってるぞ!気を付けろ!」
気を付けるのはいいけど…。麗花にしか注意が向いていないのはヤバイんじゃないかな?
「いくよ♪」
ほらやっぱり。麗花に注意が向いているすきに、鈴花は上空で待機していた。二人にすきができたときに翼をたたんで急降下。手足に炎をまとわせて、打撃の攻撃をする。でも…。
「よっと。」
ちょっと油断していたのか光牙に足を引っかけられて簡単に転んでしまった。
「鈴花!」
鈴花に気を取られて、同じく大牙に足を引っかけられてずっこける。
「大丈夫?」
「大丈夫か?」
二人が麗花と鈴花を立ち上がらせる。
「大丈夫。楽しかった~。ありがとう。」
二人がにっこり笑う。見ていたみんなで庭に降りる。
「これで特訓は全部終了よ…って、何この空気。」
まわりの空気が、確かに重たくなっている。これは…影だ。大量の。
「全員構えなさい!影よ!」
パエル、美風、連華、麗花、鈴花、大牙、光牙が同時に構える。量がかなり多い。どうなることやら。
今度は特訓が終わったと思ったら影登場にしてみました。次の話では影と戦わせようと思っているのでお楽しみに。