2.同じ意味でも、肯定的に解釈しよう
ある日、僕がお客としてプロ野球の観戦に行った時のことです。
試合開始前にスタッフをしていた人と話をする機会がありました。
その人はプロの歌手を目指して日々トレーニングに励んでおり、そのひたむきな姿に心を動かされました。
お互いカラオケが好きと分かったので、僕は
「今度僕の友達と、一緒にカラオケに行きませんか?」
と、誘ってみました。
しかし、彼は少しうつ向きながら
「ごめんなさい。行きたいのはやまやまなんですが、僕はお金がないんです。だから行けません。」
と、答えてきました。
僕はそれを聞いてもあきらめずに、
「それならお金は僕が払うよ。『お金がないから行けません。』ということは『お金があればぜひ行きます。』と解釈していいんだよね?」
と、聞き返してみました。
同じ意味ですが、否定形の文章を肯定の形に変えただけで、彼の表情が変わりました。
最初はとまどっていましたが、すぐに
「それならぜひよろしくお願いします。」
と、嬉しそうに返してくれました。
僕はその場でメールアドレスを教え、球場内の自分の座席へと向かっていきました。
後日、僕は自分の友達を連れて、彼と一緒にカラオケに行きました。
窓口では僕だけ2倍のお金を払うことになったため、金銭的にはちょっとつらい思いをしました(汗)。
でも彼の嬉しそうな表情を見て、誘って良かったと思いました。
カラオケルームでは、僕が1番手で歌った後、次に彼が歌う番になりました。
プロを目指しているだけに、どんな声なのかなと期待していましたが、歌い出すとそのうまさに魅了され、すっかりファンになってしまいました。
あの時、言い方一つ変えただけで、こんな出会いにつながるんだなと実感しました。
その人とは2年以上が経過した今でも、親友としてメールで近況についてよくやりとりをしています。
彼が歌手デビューしたらCDを必ず買うつもりです。




