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2023年バースデー  作者: 澪ナギ


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3/4

傍にいるから、いつかすべてを乗り越えたその先で、愛してると唄ってほしい

 誕生日は、恋人からのとびきりの愛をもらう日だ。


「リアス」

「うん?」

「お誕生日、おめでとー」

「あぁ、ありがとう」


 日付が変わった瞬間、クリスティアからの祝いの言葉に感謝を伝え、抱きしめる。


「ずっといっしょ」

「あぁ」


 俺からはできない約束を聞きながら、ベッドへ倒れこんで。ハグ以上はできなくとも、抱きしめてくれるのに微笑み。

 応えるように、強く、けれど優しく抱きしめた。





「リアス」

「どうした」


 一度眠った恋人が起きれば、まどろみながら抜けきらない甘ったるい声で俺を呼ぶ。

 ただ、見つめても何も言わない。それには慣れているので、目元をくすぐってやった。

 気持ちよさそうに目を細めたクリスティアはまた俺に抱き着く。


 ときに頬を摺り寄せて、また抱きしめて。

 恋人からの愛に、自然と顔がほころんだ。




「リアス」

「あぁ」


 日中も彼女からのあついハグをもらい、夜になれば、再びベッドにもぐりクリスティアは俺を甘く呼ぶ。

 見つめあって、どちらともなく微笑んで。

 クリスティアから、手が伸びてくる。


「またひとつ、年を重ねたね」

「……あぁ」


 少しだけ大人に戻った恋人に、頷いて。

 開く小さな口から発せられる音に、耳を傾ける。


「去年、たのしかった?」

「もちろん」

「今年も、いっぱいあそぼ」

「あぁ」


 ――ねぇ。


「今年もずっと、そばにいさせてね」


 願うように言われ、思わず抱きしめた。


 朝と違って、思いのままに強く抱きしめながら。


「……俺のセリフだ」


 小さく、こぼす。


 守ることのできない自分だけど。

 いつも見殺しにしてしまうけれど。


 愛していて、手放したくないなんて最低だとわかっている。


 けれど、今度こそ。


 今度こそはと、また心に誓って。

 一年に一度、互いに口にする言葉を紡ぐ。


「俺の傍にいてほしい。これからもずっと」


 体を離し、目を見て言えば。


 愛してるを言えない彼女は、その目にいっぱいの愛情を込めて。


「うん」


 頷き。


「ずっと、ずっと。傍にいるよ」


 愛してるの代わりを、俺にくれる。


 それに、互いに笑って。


 日付が変わる深夜零時。

 互いの体温を手放さぬよう、強く抱きしめあった。


『傍にいるから、いつかすべてを乗り越えたその先で、愛してると唄ってほしい』/リアス




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